- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828418636
作品紹介・あらすじ
隠された「真実」を科学の目で暴く!!気鋭の物理学者が、批判的思考で事件、事故の「謎」に迫る。
感想・レビュー・書評
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この本も2016年末大掃除をした時に、埃をかぶっていた一冊ではありますが、これを読んだ昨年1月から、レビューを書きたいと、ずっと気になっていた本でした。今年の正月は帰省をせずに時間が少しできましたので、これを利用して、この分厚い本のレビュー(付箋を貼った個所が多い)を書きたいと思います。
理系の目から見た、福島原発事故・福知山線脱線事故・STAP細胞事件・和歌山毒入りカレー事件・地球温暖化問題など、面白い切り口が満載です。私のレビュー書きながら、もう一度読んだ気分になって復習を兼ねたいと思っています。
以下は気になったポイントです。
・東日本大震災後、3月15日には東京にも放射性物質が飛んできた。これらの爆発は、水素爆発であり、水蒸気爆発ではなかった。水蒸気爆爆発は、ウラン燃料が入っている圧力容器・格納容器そのものが爆発してしまう事故で、多くの放射性物質がまき散らされる。チェルノブイリ事故がそうである。水素爆発は、圧力容器で生成した大量の水素が格納容器から排出され、空気中の酸素と反応して起こる爆発。なので、ウラン燃料、放射性物質は中に留まっていた(p37)
・コンピュータシミュレーションは、初期値や境界条件を恣意的に選べば、どんな結果もでてしまう。だから、おおよその値を見積もってから、コンピュータシミュレーションする(p41)
・政府発表では、チェルノブイリの10分の1、実際の放射性物質放出量は、計算放出量の100分の1以下であった(p42、47)
・福島では、放射線量があまりに低すぎて、科学的なレビューを通らない、研究の対象にさえならないと、がん疫学者がコメントしている(p48)
・福知山線事故において、ボルスタレス台車こそが事故の原因であると特定したが、これを扱った本は注目を浴びなかった。鉄道業界(台車メーカ、車両メーカ、鉄道会社、国土交通省)を挙げて開発してきたので、認めたくなかった(p128、131)
・事故の原因は、運転士のスピード超過だけでなく、車両の問題、カーブの曲率の問題が大きく絡んでいる(p134)
・のぞみの300系は、異常なほど揺れたので、不思議なほど500、700系が導入された(p136)
・理科系の大学院生がどうやって論文を英語で書くかというと、自分がこれまでに読んだ英語論文の文章をため込んでおく。そこから適当な表現を書き留めておく。これが、小保方女史の場合「盗用」とされた(p145、146)
・小保方氏と理研は、最初に、何にでも分化する万能細胞ができたと大風呂敷をひろげすぎた、常温核融合問題とよく似ている(p165)
・地球の気温は、数十年、数百年の周期でも大きな変化をしている、この数十年の温暖化は、過去の気温変動と比べて特異的な現象でないと、明らかになってきた(p214)
・二酸化炭素が増えても、その影響でできた水蒸気により雲が増加、太陽光が遮られ温度上昇が抑えられる(p217)
・現代までの30万年間の気温を見ると、温暖化してもその期間は短く、数千年で氷河期に逆戻りしている。まもなく地球は寒冷化すると、はっきりと予測できるが、いつ始まるかわからない(p220)
・二酸化炭素が増えても、地球が温暖化しても、排出権取引市場が崩壊したのでお金にならない、となった(p227)
・相対性理論とは、時間は独立しているのではなく、測定者そのものと「関係」している(相対的ではない)という理論である(p230)
・日本では原爆の開発が、仁科らによって率先して行われていた。ノーベル物理学賞が、多くの原爆開発関係者に授与されているという事実がある。ファインマン、フェルミ等、仁科の原子核物理は、湯川・朝永の2つのノーベル物理学賞を生んだ(p290、300)
2017年1月2日作成