憲法とは国家権力への国民からの命令である

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828417110

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  • ・近代デモクラシーはヨーロッパ社会で誕生した政治思想で、そのエッセンスは、「アメリカ独立宣言」に示されている。
    「われわれは、自明の真理として、すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され、そのなかに生命、自由および幸福の追求の含まれることを信ずる」

    ・アメリカ独立宣言は、トマス・ジェファソンが起草した。彼が念頭に置いたのは、イギリスの思想家ジョン・ロックの「社会契約説」であった。
    ・国家や社会が生まれる以前の「自然状態」においては、身分も制約もなく、人間は自由で平等だとする。
    そして、どんな国家や社会も、「自由で平等な」人間たちが対等に社会契約を結ぶことで生まれた、と述べた。
    ・国家権力は人民の同意と契約によって作られた物だから、その権力は人民に奉仕する為にある、とした。
    ・どんな権力であっても奪えない基本的人権として、「生命」「自由」「財産」の3つを挙げている。

    ・日本国憲法第13条には、ロック以来のデモクラシー思想、民主主義のエッセンスが詰め込まれている。
    「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」

    ・国家はどんな理由があろうとも、国民の生命、自由そして幸福追求の権利を守るべし。憲法第13条は国家にそう命じている。だが、この命令を、政府や国会は遵守していない。憲法違反が堂々と罷まかり通っている。

  • ・13条の歴史的重要性を訴えるのはいいのだが、そこから日本は死んでいる、憲法違反が起きているという主張へ至る論理はブログやエッセイレベル。政治学者、経済学者ならもう少し客観的事実に基づく丁寧な積み重ねをお願いしたい

  • 「憲法の急所は第9条」。多くの人がそう思っている。だが著者は、それが問題だと指摘。日本国憲法の最重要条項は、国民の「生命、自由及び幸福追求の権利」を保証した「第13条」だと述べ、従来の憲法論議の間違いや、日本人が知らない「戦争と平和」の常識などについて説く。


    第1章 失われている日本国憲法の精神
    第2章 総理大臣なき国家・日本
    第3章 「戦後教育」こそ、民主主義の敵
    第4章 憲法を殺す官僚の大罪
    第5章 日本人が知らない「戦争と平和」の常識

  • 本の内容と表題とに違和感をかんじ、言わんとする事に納得出来る部分もあるが、具体策も無く結局何が言いたいか分からん

  • いいですね〜 小室節。
    そして、憲法改正が巷間話題になっている今こそ、こちらの本は広く読まれるべき内容です。

    故・小室先生は問います。
    「日本国憲法で、何が何でもこれだけは守らなければならない、これが有効でなくなったら憲法の存在意義なんて雲散霧消してしまうと言う条文はどれか。これぞ民主主義の精華と言うべき条文は?」
    もちろん第9条ではありません。

  • 極めて明快に憲法を理解できる。今の世間で交わされている憲法議論がいかに不毛であることか。政治家には期待出来ないなか、マスコミに良識を求めたいがこれも無理な話か。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    これぞ民主主義の精華と言うべき条文は?

    それは憲法第十三条である。22
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    独立宣言を起草したのは、後にアメリカ大統領となるトマス・ジェファソンだが、彼がこの宣言を書くに当たって、その念頭に置いたのはイギリスの思想家ジョン・ロックの文章だった。

    ロックはアメリカ独立の約一五〇年前に生きた人だが、彼は先程も触れた様に近代デモクラシーの基礎理論を作り上げた人物として有名である。28

    「私有財産の発見」で民主主義も資本主義も確立した33
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    徳川幕府はどうかと言えば、「将軍の不在」はしょっちゅう起きていた。と言うのも、征夷大将軍とは天皇が授ける官職(然も令下の官)であるのだから、前将軍が死んだと言っても、直ちに後継者が相続出来る訳ではない。120

    こうした制度を見れば、天皇が元首である事は明々白々である。121

    その事は、現行憲法が総理大臣の空位を許している事でも明らかだ。若し、総理大臣が真の意味での最高決定権者であるならば、総理大臣の不在は絶対に許されない。124
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • 日本人に近代憲法は書けない…を納得せざるをえない一冊。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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