600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書) (角川SSC新書 71)
- 角川SSコミュニケーションズ (2009年5月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784827550719
感想・レビュー・書評
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おもしろかった。クックパットの舞台裏です。
今、ITシステムに求められている、使いやすいWeb(UI/UX)のまさに実例として拝見しました。
気になった点は、以下です。
・クックパットは、なんともシンプルで骨太なサイトだった。
・白菜を検索するとでてくるのは、白菜がレシピに入っている料理でなく、白菜をたくさんつかった料理がでてくる。
・農家と付き合うようになってわかったのは、農家の食生活の豊さだった。大根だったら、大根ばかりとれる。ナスだったら、ナスばかりとれる。しかもとんでもない量なんです。旬の物を大量に食べるということ。で、どうなるかといえば、そのままでは飽きてしまうんです。
・検索窓がすぐにみつけられなかったことがある。おそらく、そのサイトの作り手は、ここに置けば見つかるだろう、くらいに考えていたんでしょう。でも見つけられない。多くの人が多分すぐ見つけられない。でもそれだけで、もうアウトなんですよ。サイトはユーザの信頼を失う。僕自身、もうそのサイトにはいきませんから。
・ユーザは広告を見に来てるわけではないんです。なのに、いきなり広告を見せつられる。これがどういうことなのか。リアルの店舗であれば、入り口の自動ドアが開くと、いきなり絵の前に他社の広告が現れて、行く手をふさがれるようなものです。
・謙虚に読み手のことを考え、これなら思いは伝わるかと必死で考えているかどうか。それこそ、クックパットが、そのサービス機能を「レシピを載せる」と「レシピを調べる」に絞り込んでいるのも、実はこのベースがあるから。
・ユーザが本当に何をもとめているのか、徹底的に探ったのである。ユーザへのインタビュー、ログの解析、ユーザーテスト、クレームやご意見の分析、いろんなことを徹底的にやりました。
・レシピをアップするときって、実はけっこう手間取るんです。手順を書きながら材料を忘れたことに気がつく。書きながら編集してるんですね。そこで、材料と手順を行ったり来たりして編集できる仕組みにしました。
・レシピを載せるクックパットといっているくらいなんですから、レシピを載せることに関しては、説明を見ないでもできるようにしなけれならない。
・本当に欲しいレシピに出会えていないのではないか、という仮説はアクセスログの分析からわかりました。満足する検索結果が得られなくてたくさん見たあげく、印刷しないで出ていってしまった。という事例が結構あった。
・ユーザが印刷したということは、そのレシピを実際に使おうと考えた可能性が高いということです。
・まったく、料理と関係のない広告は、ユーザのためにも入れてはいけないと思っていました。
・家庭を守っている女性というのは、社会から評価されるチャンスが以外と少ないんです。レシピコンテストという場で、その機会を作ることができたということです。
目次は、以下の通りです。
はじめに
序章 女性なら知っている。料理サイト「クックパット」
第1章 就職を選ばなかった男が辿りついた目標
第2章 クックパットはなぜ「女心」をつかんだのか
第3章 細やかなサービスを実現するのは、テクノロジー
第4章 広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイト
第5章 600万人を呼び込む「経営」と「マネジメント」
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クックパッドの事は、よく知っている。
妻も自分もかなり使い込んでいるサービスの一つ。
でも、会社の事はよく知らなかった。
最近、凄く流行っているレシピサイト程度の認識でした。
しかし、この本を読んでみて、単なるレシピサイトの一つでは無いこと。
サービスとしての徹底的なこだわり。
実現するための高度な技術力。
ここまで、やっているから今のクックパッドがあるんだなと納得。
ここまで徹底的にこだわり抜いてサービスを提供したいと思いました。
まあ、死ぬほど大変な思いもするんだろうけど(^^;) -
いやぁ。面白い本だった!
「料理が楽しくなることをやる」を主軸にしたクックパッドは、紆余曲折を得て今の地位にまで上り詰めたんだけど………ほんとに、好きであり、それを大切にしたいならば、そこに注力するしかないのだな、と感じた。
「ベターではなくベストを選ぶ」とか、目的のためになっているか否かを常に問いかける姿勢とか……頭が下がります。目的が腑に落ちてさらに好きだからできることなのだろうな、と思います。ハイ。
意外と硬派だった。 -
「絶対に忘れてはいけないのは、技術はあくまでも手段であり、道具である、ということです。」
cookpadの技術者のこの考え方は、ぼくも同じ技術者としていつも考えていること。当たり前のことだけど、技術が目的になっている人があまりにも多い。
また、cookpadの徹底したユーザー志向の哲学は本当にすばらしい。ユーザー志向であることがサービスの価値を高め、新たなユーザーを呼び、ユーザーに感謝され、運営者のやりがいにつながり、社会に貢献し、大きな利益を生む。
「『われわれの事業は何か』との問いに答えるには、顧客からスタートしなければならない」(P・F・ドラッカー) -
騒動が起こる前のお話。創業者に一票!
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この本で初めて「クックパッド」を知ったが自分にはナイ発想や考えこまれた仕掛けなどが非常に勉強になった。
WEBの仕事をする人は読むべき。 -
・Cookpadは、
・「料理が楽しくなること」がクックパッドの目的である。思想の一貫性。
・そのためには、安易なユーザー獲得に走らないということ。
・ユーザーの行動を見るのに、導線のログもちゃんと見てること。(経営者レベルが)
・説明が必要なサービスは、レベルが低いという心得ること。
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【クックパッドの信念を感じ取れる素晴らしい一冊】
クックパッドがどのようにして生まれたのかを、取材を通してわかったことを書いている。
メインは、創業者の佐野氏へのインタビュー。それに加えて初期のメンバーがクックパッドの企業としてのコアの部分について触れている。
どれだけユーザー目線を徹底しているサービスかがヒシヒシと伝わってくる。Instagramの広告に嫌気をさしていた私には、このクックパッドの形が目指すべき方向なのだと感じた。もちろん、この本の中でのやりかただと広告出稿にコストがかかってきてしまうため、どのようにして仕組み化するのかが大事であることは間違いない。
しかしながら、その広告一つに対するクックパッドという会社の情熱、信念は本当にスゴイと思う。
「極端な話をすれば、ユーザーを増やすことだって目的ではないんです。それで料理が楽しくならないならば」
個人的には、P40と41がグッと来る。これはバイブルになりそうだ。 -
ユーザーにサービスを提供するにあたってどういう視点を大切にするか、の部分に共感できる。妥協しない徹底的な姿勢に憧れる。
いつか自分が企画を立ち上げるなどするときはこの本を読み返したい。