酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅

  • 白揚社
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826990608

作品紹介・あらすじ

9000年前の酒はどんな味だったのか?トウモロコシのビール、バナナのワイン、大麻入りの酒、神話や伝説の飲み物…世界中を旅し摩訶不思議な先史の飲料を再現してきた考古学者が語る、酒と人類の壮大な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 旅というお題で、なぜ酒に行き着いちゃったのか自分でもよくわからないのだが「人類はどのようにして酒を飲み始めたのか?」というテーマで旅行します、って言われたら ちょっと面白そうと読んでみた。

    著者のマクガヴァン氏は ペンシルバニア大学の考古学者で、もともとご専門は近東=トルコ東部からイラン・メソポタミア文明あたり? らしい。
    化学にも明るいのか、出土品の化学分析を強みにしていて、土器や陶器の付着物などを調べ、古代の料理や発酵飲料をフィールドにするようになった、ようだ。

    彼の名を有名にしたのは、中国黄河流域 賈湖(ジアフー)遺跡から、世界最古の醸造酒を発見したこと。
    米を主原料にするも、当時はまだ麹発酵の技術が進んでおらず糖化が不十分なために ぶどう(野生のもの)やサンザシを加えることで糖分を補って酒を作っていた。
    紀元前7000年頃の話だ。
    そのことをつきとめ、醸造家と組んで復元酒も作ってみたそうだ。 

    この発見以前には、メソポタミアのビール、あるいはワインがもっとも古いと考えていたようで、偶然に中国での調査に関わった幸運にもかかわらず「あんなところで酒作ってたなんて、ありえんよな〜〜」的態度が見え隠れするのが、東洋人としては笑えてしまうのだがw

    マクガヴァン氏の業績本なので、いつ誰にあってどんな物質が出てきて云々と、一般向けとはいえ いささか細かくわかりにくい。

    もうちょっとまとまったものはないのかね?と探してみたら、ナショナルジオグラフィック日本版2017年2月号が 酒の誕生 という特集をしていて、 並行して眺めた。
    https://booklog.jp/edit/1/B01MYWUANT

    米国では2009年の出版
    日本語訳は2018年3月

  • 中国、中東、ヨーロッパ、アフリカ、北南米まで世界中のお酒の歴史を成分分析を元に詳細に解説。さらには動物が完熟したフルーツから原始的なアルコールを入手していたのではないかという仮説も展開。読むのは大変だが分厚い500Pでこれだけの歴史を展開されると、酒の歴史は人類の歴史であり、今飲んでいる自分も歴史の一部と感じられ、壮大な気分で酒飲みを正当化出来る点で、素晴らしい一冊。酒飲みでないと、眠くなるだろう一冊

  • 図書館で借りた。
    酒好きの考古学者が酒の起源について、語り・旅する本だ。果ては古代の酒を再現するという話まである。
    世界史が好きな人であれば、張騫が西から葡萄のを持ち帰り中国にもたらした…など、「そこにそんなエピソードがあったのか!」といった教科書には出てこないような発見が続くので楽しいと思う。

  • 古代の陶器など遺物に残った有機物を研究する生体分子考古学の専門家による世界中で飲まれているアルコール飲料、その起源と研究についてまとめたもの。話をすべての大陸だけではなく人類が誕生する以前、自然に発酵するアルコールや、原初の海にまで遡る。8000年前のワインがジョージアで発見されたその論文の著者でもあり、米国のブルワリーと共同して古代の飲料を復活されてぉいる。世界中の古代史そして科学だけではなく栽培文化面等、非常に幅広く長い歴史を扱う。改めて落ち着いて読みたい。

  • ふむ

  • 酒から始まる考古学

    石器時代にたまたま発酵飲料を飲み始め、多くの文明や文化が発酵飲料を嗜み、現代に至るまで沢山の種類の発酵飲料を産み出してきたのは言うまでもない。
    人類史の中でも、コミュニケーションをとること、儀式に使うことなどで酒はずっと飲まれてきたのだなぁと、この飲み物の得体の知れない魅力に感銘を受ける。

    かつての酒を再現した、シャトージアフー、ミダス・ダッチは是非飲んでみたい

  • なぜ人類は、アルコール飲料に魅了されるのか…。生体分子考古学の専門家である著者は、古代の土器に付着した残留物を化学分析・DNA分析しながら、その謎に迫っていきます。アルコールは、酵母・植物・多様な動物が互いの利益や繁殖のために築き上げた、複雑な相互関係の一部分。お酒を飲みながら味わう一冊です。

  • 【酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅】
    旅行のとき、旅先で飲むその土地のお酒が好き。そこに来た気になるから。どのお酒もそれなりの歴史があって、それなりにその土地に根付いているアイデンティティがあるから。

    この本はそんな次元のお話ではなく、邦訳タイトルどおり、お酒の起源を探るもの。

    想像していたよりも科学的な分析がなされてた。壺に残った残渣や壺そのものに対して、MS, GC, IR, C14やDNA分析、壁画に残った抽象画なんかを組み合わせて原料だけでなく、その産地まで特定しちゃう。
    面白いのは、特定した原料で当時のお酒を再現しちゃうこと。研究の出口として、これ以上ないように思っちゃう。いくつかは市販されてるようなので、もし機会があれば試したい。

    原題はUncorking the Pastだけど、まさにそのとおりのことを科学的な根拠に基づいてやってた。いいな。

  • 出土した土器の残渣から、その土器に入れられていたモノを科学的に検出するという手法を用いて、世界中の酒の歴史を辿った本。

    そこにある様々な原料から、その地域の酒の起源を辿るという内容そのものも面白かったし、その一方で何故酒がこれほど世界中で飲まれたのか、酒を飲むために多くの植物を改良していったのかという過程がとても興味深い。酔っ払う猿、ショウジョウバエもアルコールの影響からは逃れられず、ヒトとして、矜恃をもって飲んで行きたいと思う。

    ただ考古学的に、科学的に酒を分析するだけではなく、何故酒を飲むのか、酒を飲むことでどういう効果を得ていたのかのも同時に思考しているのも、筆者の面白さでもある。シャーマンの神秘体験の手段の一つとして酒が使われていることを、幻覚作用のある原料が酒に使われていることから解き明かしていくのも面白く、また北アメリカでそういった酒の痕跡がないことは、同様の効果をもたらすタバコの存在があるからという説明、またシベリアに糖度の高い植物がないため、酒が造られなかったという説明も面白い。

    私も先人のように、発酵させるという大人の自由研究をしたい。

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