- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822870096
作品紹介・あらすじ
川端康成に見出され、ハンセン病とたたかいながらも、傑作『いのちの初夜』を世に送り出した北条民雄。23歳で夭折した作家の夢と絶望、そして愛。いのちの輝きをつづる感動の長編。
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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「人生は暗い。だが、たたかう火花が、一瞬暗闇を照らすこともあるのだ」。ノンフィクション作家・高山文彦が北条民雄の秘められた生涯を蘇らせた画期的評伝。世間から隔絶された療養所で紡がれる、人間存在の根本を問う作品の数々は、当時の文壇に大きな衝撃をあたえた。小説『いのちの初夜』が文學界新人賞を受賞し、北条は一躍の寵児となるが、容赦ない病に心身を蝕まれ、閃光のごとき人生の幕を閉じた。才能を見出した川端康成が北条の作品を世に放つべく、文壇を奔走する姿も克明に描かれている。
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北条民雄の壮絶な人生、いや壮絶な世界観。亡くなったのが23歳だから、来年には僕もその歳になる。そんな歳までに地獄に落とされて、社会から見捨てられ、そんなこと想像さえできない。ただところどころ窺える彼の揺らぎに、ああ同い年だな、と感じさせられた。彼の人生への想像と、自分との重ね合わせで強い衝撃受けました。
高山文彦氏の文章も、北条民雄の心の動きの繊細さが表現させられていた。凄い本です。 -
言葉にならない。ただ勢いで、どんどん読んでいった。こういう作家論もあるんだな。社会的文脈が必然である。この人の作品をもっと読んでみなければ、と思った。読んだきっかけは、岩波文庫に「いのちの初夜」が所収されているから。