ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822289911

作品紹介・あらすじ

MicrosoftやGoogleで世界標準の製品開発に
携わってきた技術者が書き下ろす、
あらゆるビジネスが「ソフトウェア中心」に刷新される
今必要な次世代型サービス開発の要諦


AI活用、デジタル・トランスフォーメーション、SaaSをベースにしたサブスクリプションビジネスetc.今、世界中の企業がITを駆使したデジタルシフト(事業のサービス化)を急いでいる。


日本企業がこの世界的潮流に取り残されないためには、かつての成功モデルである「製造業的ものづくり」から脱却し、ソフトウェアを中心としたサービス志向の開発体制を構築することが重要だと著者は説く。


ソフトウェアがビジネスの中心を担い、インターネットがあらゆるビジネスの基盤となりつつある今、日本企業はどう変化すれば生き残れるのか?


世界的IT企業で働き、現在は製造業をはじめとする日本企業の変革にも携わる著者が書き下ろす、ソフトウェア・ファーストな開発論をぜひ読んでほしい。

感想・レビュー・書評

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  • SaaS や、クラウド、アジャイルなどの流れが、顧客における評価ポイントで、何故、日本がおくれているのかが、描かれていて読みやすい内容だとおもいます。ソフトウエアで日本にも変化をおこせが著者のメッセージととらえました。

  • 常に進化し続けることが大事

    「先輩最近何か新しいこと始めましたか?」
    この言葉に即座に答えられる技術者になりたいし、答えてくれる人の下で働きたい。

    以下、印象的なシーン
    1.狩野モデルによる品質の5分類
    →これ初めて知った。1メーカー社員として覚えておこう。

    2.これからはデータの時代だという専門組織を立ち上げることに対する違和感
    →で、そのデータで何がしたいの?何を作りたいの?ここが決まってないプロジェクトが多い。
    データは手段だよね

    3.ソフトウェア開発を経営陣の必須研修にしてもいい
    →会社全般の仕事を全社員が一度は経験すべき(とは思う)
    というか、事務採用、技術職採用のようなやり方は時代遅れかも

    4.一般ユーザーとしてITを活用することが、ソフトウェア・ファーストを実践する第一歩
    →まずは自分で初めてみようってことか。それに加えて人気のあるソフトはなぜそうなったのか背景を考えれたら最高

    5.どこでも働ける人材が組織を強くする
    →うむ

    6.ディスラプティブな事業
    →社会のニーズに応えることも大切だが、こんなの作ってみたけどどうでしょうかという姿勢も大事。
    前者は貢献度が高いし、後者は幸福度が高いかも。

    7.プロダクト開発に臨む時は、仮に似たようなプロダクトがすでに世にあるような状態だったとしても類似のプロダクトが全くなく、どんなプロダクトにするべきか誰も考えていないという状況を想定して取り組むべき。
    →ムズイ

    8.ノウハウの蓄積
    →多くの失敗と学びが会社の財産になるのは間違い無いが、それをどう表現するのかはなかなか難しい
    定期的な有識者での共有会とかかなぁ

    9.技術的な実現可能性は一旦忘れてユーザーが求めるだろう仕様を形にする
    →さも現実を見てきたからできないという人のなんと多いことか、、、
    できないことは問題でなくてそのできなかったことから何を得られたかが重要だと思います。

    10.ジョブディスクリプションの例
    →求められてる要件が高すぎてちょっと面白かった。

    11.物理的に離してプロダクト開発
    →本来なら会社は足並みをそろえる時はそろえないといけないけどやってみる価値はありそう

    12.リモートワークか出勤か
    →0か1かではなく、うまく両方使いたい

    13. 1万時間の努力をすれば100人に1人の人材になれる
    →一年で仕事中に使う時間努力するとすると
    8時間×20日×12ヶ月=1920時間
    だから5〜6年はかかるなぁ頑張ろ

    14.好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心
    →まだまだ方がたりてない

    15.今持つ専門領域を島に例えて次のステップを考える
    →今すぐに役立たないかもだけどいずれ役に立つだろうことを学ぶのが勉強。役立たせられるかは自分次第

    16.スキルの棚卸表サンプル
    →年1で書こう

    17.感度の高いユーザーに
    →なります

    18.コンテナ/CaaS
    →仮想化技術最近面白いと思い始めました。

  • 以前(かなり前)、著者の出演するテレビ番組を見て、
    この方おもしろい人だな~と思っていたのですが、
    ようやく著作を読むことができました。

    で、実際に読んでみましたが、想像以上のクオリティの高さに驚きました。
    とても勉強になります。
    特に、自分のような非エンジニアで、今後DXなどの影響により、
    IT領域も少しずつ勉強していかないといけないという問題意識を持っているビジネス系の人には、
    まさにピッタリの書籍ではないかと思います。
    IT用語も出てきますが、最低限に抑えられていますし、
    脚注に解説が載っているので、本の中で大体解決・完結してしまいます。

    最後の章のエンジニアのキャリアパスについては、
    エンジニアの人(と著者のキャリアに興味を持った人)だけ読めばよいかと思いますが、
    3章(できれば4章)まで読むとソフトウエア開発について、
    網羅的に理解ができ、ビジネスサイドの考え(新規事業開発)と
    接続することができるのではないかと思います。

    これは絶対に買い!の一冊です。

  • ソフトウェアの実装を軽視し外注が当たり前となっている日本の製造業をはじめとした各業界が、DX分野で遅れを取っている理由が分かりやすく書かれていた。ソフトウェア自体をただの効率化ツールと軽視しているからこそそうなってしまう。

    ソフトウェアがパッケージ型からSaaS型に変化することにより、運用からのフィードバックを活かした短い周期の継続的なソフト開発が必要となる。このサイクルをスピード感を持って回すには社内にソフト開発に精通したエンジニアが必要。

    ソフトウェアの実装こそ技術やノウハウの結晶であり、外注したベンダーがドキュメントに残してくれるものではない。すべて外注していては会社に何も残らず、ベンダーが技術を持ち帰るだけである。

    自分も過去にSIerの仕事をしていたことがあり、更には現在、外注と内製を混ぜたソフト開発業務で技術の手の内化を進めているところであったため、読んでいて納得感があった。

    SIerという形態でマルチベンダーの製品を外向けに構築するエンジニアの多さは日本特有というのは知らなかった。

  • ビジネスの中心をソフトウェアと考えて取り組むという内容の本。
    ページ数も多く、1ページに対する文字数も多かったので、結構な量の内容で、経営者にも一社員も、IT企業もそうでない企業も参考になる箇所があると思える本だった。
    ようは、ソフト開発は下請けに頼らず、内製化して自分のものにするのが大事ということなのだろうと思った(本書ではこれを「手の内化する」と表現していた)。話にはよく聞くけど、日本と欧米の国を比較すると、日本だけが情報通信系の人材というと7割がIT企業と呼ばれるところにいるのにたいし、他国はIT企業の割合は半分にも満たないらしい。それだけ、日本はIT企業以外にソフト開発が分かる人がいないということなんだろうなと思った。
    まあ、これは日本が解雇が難しい国ということもあるだろうけど、そもそもこの本に書いてあるように、SIerは工期が長くなれば収益があがるという、むしろ効率化せずに長引かせた方がいいんじゃないかと思えるようなビジネスという部分もあるので、そういう問題はうまく解決していかなきゃいけないのだろうなと思う。
    品質に関する指標の狩野モデルというのは初めて知った。ソフト開発でも参考になるらしいので、ちょっと覚えておきたいと思った。
    自分の「取扱説明書」を公開するという話はちょっと面白かった。ホリエモンでいうと、「電話してくるな」とかそういうことをいうのだろうな。西野カナの「トリセツ」はビジネスでも役に立つのか。
    ユーザーインタビューの話で、ユーザー自身は意外と本音を話さないということにたいして、「周りで困っている方はいらっしゃらないですか?」というようなことを聞くと、自分を含む人たちとして話してくれるという話は、なるほど、と思った。このへんは心理学を勉強したら分かるものなんだろうか。
    後、会社にCTOを置くことによるデメリットに「その人よりも優秀な技術者を採用できなくなる可能性がある」とあって、ちょっと驚いた。そりゃ、CTOが優秀であるにこしたことはないだろうけど、そんなもんなのかなと。上司が自分より技術力が劣っていると、転職したくなるという人もいるからということだけど、技術に寛容で認めてくれる人なら大丈夫じゃないかなと思った。
    後、個人的に、というより一エンジニアとして一番身近に感じたのは、5章のキャリアについての話。エンジニアにもいくつかキャリアパスがあって、スペシャリストになるものいいけど、エンジニアリングマネジャーやプロダクトマネジャーという道もあるということらしい。自分は、昔はスペシャリストのほうがいいと思った時期もあったのだけど、この本を読んだらマネジャーという道もいいのかなと思った。そもそも、最近気づいたけど、技術動向調べるのはそこそこ好きでも、実際にそれを試そうとまでは思わないし、誰かにその技術を試してもらえるぐらいの人になったほうがいいのかもと思えてきた。
    最後に全体をとおして思ったのが、本当にこの本のようになっていくとしたら、技術者はどんどん、ユーザー企業に転職していって、人がいなくなるんじゃないかと。そういうことがすぐに起こることは考えにくいけど、うちの会社含め、SIer企業は事業変革していったほうがいいのだろうなと思った。

  •  我々が属している業界において「名著」と語り継がれている本を読んだ。恐れ多いが、多くの方が好評する、という意味もよく分かった。さらに自分にとっては、(自分が勤務している)会社で技術顧問をしておられる及川さんの書籍を改めて拝読し、なんだか得したというか、いまこの本読んでんのかよ、と叱られそうな気もしたり、複雑な気持ちでした。とにかくDXやソフトウェア・ファーストを学ぶ上では必読書、と言われている背景がよくわかりました。 おわりに(P354)にございますが「デジタル・トランスフォーメーションを解説した類書とは一味違う、泥臭いけれど実践的な内容を網羅している」本だと心から思います。

     及川さんとの輪読会に参加したり、技術顧問としていろいろとアドバイスいただける環境にある会社に勤めていることもあり、それこそ及川さんからこちらの本ができる際の何度も書き直したというブログの記事を案内いただき、この本を取ることになりました。ブログの記事にもありましたが、「ターゲット読者のペルソナを作成することで読者視点を常に意識しました」ということで、及川さんとのセッションで直接語りかけられているような、直接講義を受けているような、そんな感じを受けました。熱量を増してくると早口になって、ものすごいスピードでこちらのパッションも高めていかれる、及川さんが本に乗り移っているかのように思いました。こんなによい書籍を手にすることが遅くなり申し訳ございません。

     というぐらい、やはり、デジタル・トランスフォーメーション、というか、この変化の激しい世の中の環境を受けて事業変革を考えていかねばならない立場の人々にとっては、まさにバイブルとなるような本だ、というところは、実際に読んでみて納得感というか畏怖の念というか、腹落ち感・手触り感、満載でした。この本で網羅性を確認し、そこから次のより踏み込んだ本へ発展していくのがよいんだな、と改めて思います。 及川さん、改めましてありがとうございます。稚拙な表現でしかレビュー書けなくてすみません。オオハシらしい、ストレートな感想となります。


     さて、改めまして引用です。

    ==================
    P36 ソフトウェアの力だけでは良いプロダクトは生まれませんが、凄まじい破壊力を持つソフトウェアの特徴を理解し、プロダクトや事業開発のすべてを変えていくことが、これからの企業力を左右します。
     また、企業がソフトウェア・ファーストを実践するには、ソフトウェア技術を理解し、事業に活用できる人材が必要です。このような人材を育て、活かせる組織が必要です。さらには、失敗することを前提に、作っては壊すことを良しとする文化も大切です。
     そして、ソフトウェア・ファーストで最も大事なことは、変化しないものを理解することです。ソフトウェア技術は日々進化します。ソフトウェアを活用したビジネスモデルも変化し続けます。変わらないもの―それはビジョンやミッションであり、それに関連する社会課題や価値観です。目指す世界観に対して、ソフトウェアという変化し続ける手段を用いる人間に必要なのは、成し遂げようとする執念であり、成し遂げるために考えること、考え続けることです。

    P63 では、将来のSIerはどんな存在になるでしょうか?筆者は2018年に、ギットハブでテクノロジー担当の副社長を担当するジェイソン・ワーナー氏にこの質問をぶつけてみたことがあります。ワーナー氏は「SIerはより専門に特化していくことになるだろう」と述べていました。専門とは、業界特有のソリューションであったり、特定の技術領域を指しています。


    P84 データ活用に感じる2つの違和感
     近年「Data is Oil」(データは石油)という考え方がさまざまな産業に普及していますが、一つ目の懸念はデータへの期待が先行し過ぎている点です。例えばAIによるユーザーの思考・行動パターン予測や画像認識などの精度を高めるためには学習用の膨大なデータが必要です。しかし、このデータは何でもいいというわけではありません。データの収集や前処理、蓄積にも莫大なコストがかかることを考えると、収集するデータの種類や用途を考えた上でデータを集める必要があります。そこまでやらなければ、“原油”は石油にはなりません。
     (中略)
     それに、ユーザーデータを取得・利用することに対する社会全体の受容度が低い状態で過度なデータ活用を進めると、ユーザーに気持ち悪がられてしまいます。
     (中略)
     本来は、こうした懸念を払拭するために、ユーザーのプライバシーをどう考えてデータを取得するか、取得したデータをどう活用するのが理想的なのかを考える人材が今以上に必要なはずです。


    P177
     ソフトウェア・ファーストを実践し、DXを推進する際は、企画の段階から「自分たちが提供するプロダクトや事業が何を成し遂げたなら、ユーザーの課題を解決していると言えるのか」を考え抜くことが大切です。その上で、ユーザーに価値提供をしている状態をどうやって計測するか、を考えましょう。つまりKPI(主要業績評価指標)とそれを構成するKPIツリーを考え、それぞれのKPIを計測できるような基盤を整えておく必要があります。

    P294
     ちなみに、このコネクティング・ザ・ドッツの概念は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が計画的偶発性理論として提唱している内容とほぼ同じです。この理論は「慎重に立てた計画以上に、予想外の出来事や偶然の出来事がキャリアに影響を与える」という考えに基づくものです。この偶発性を起こすには、その人に次のような特性が必要であると教授は論じています。
     ・好奇心
     ・持続性
     ・柔軟性
     ・楽観性
     ・冒険心
    (中略)
     偶然性はともすれば流されるままに生きているだけのように見えるかもしれませんが、クランボルツ教授の理論にもあるように自らの興味や好奇心が必要であり、解釈の仕方次第では自分の意思が招いた必然とも言えます。


    P344 
     グーグルは調べれば調べるほどよく分からない会社でした。それだけに好奇心が刺激され、入社するためにかなりの努力をしました。自分なりにグーグルのプロダクトをすべて調べ、SWOT分析をし、自分だったらこんなプロダクトを作ると仮説を立て、面接に臨みました。
     (中略)
     グーグルは今でこそ、検索だけでなく、クラウド含め様々な事業を持っています。IT業界のみならず、社会に影響を与える存在にもなりました。しかし筆者が入社した頃はまだ、ここまでの存在になるかどうかは未知数でした。ここでも筆者は自らの審美眼を信じ、リスクを取って、安定を捨て、新しい挑戦をしました。

    P348
     このように自分のスキルを棚卸し、市場における差別化を考える中、外資系大企業経験の長い筆者があえて選択することに意味があるのは、「日本企業」であり「スタートアップ」であると考えました。
     (中略)
     グーグルのやり方はグーグルだからこそ活用できるものであり、日本のスタートアップは、グーグルを参考にしながらも、自ら作り上げていく必要があります。その作業をご一緒させていただきながら、筆者は引き出しを増やしていき、この引き出しに蓄えたノウハウを活用することで、さらにまた新たなノウハウが生まれるという好循環になっています。

    P352
     この本をお読みになった皆さんには、ぜひとも変化を追い求めるようになっていただきたいと考えています。変わらずにいることに心地悪さを感じるようになり、常に変化を求める。そうすれば、きっと組織も社会も変わっていくことでしょう。
     ここで言う変化とは、すなわち進化です。人に喜んでもらえるものを提供する喜びを持てれば、社会課題を解決して救われる人を見られれば、きっと多くのことが変わっていきます。小さな変化がより大きな変化を生んでいくことでしょう。
    ==================

    以上
     

  • 組織の在り方、ソフトウェアの取り込み方、個人の目指すべき方向性と多角的な視点でDXについて説明した本。

    特に良い技術者=良いマネージャという日本の会社の考え方についての疑問符には共感出来たものの簡単には変わらないだろうと思った。

    それよりも変化を恐れてチャレンジしないことの危険さについては共感も出来たしすぐに実践に移していきたいと思った。

    エンジニアとしての今後のキャリアプランを考える上で参考となった1冊。

  • 読み物としては面白く、参考になる言葉もあったが、ソフトウェア開発の人間から見ると当たり前なところが多かった。ソフトウェア開発が主ではない、ユーザー企業の人や、一人情シスのような人が読むと参考になると思う。

  • 筆者のマイクロソフトでの実体験を元に、IT社会でどう生きていくべきかが述べられた本だった。

    ■個人とて取り組むべきこと
    ・常に最新の知識を習得する
    ・プログラムの基礎は、学ぶべき
    ・キャリアプランを考え、進化する

    ■企業として取り組むべきこと
    ・出来るだけシステム開発をベンダに委託しない
    ※時代の流れは早く、業務もすぐに変化するため
    ※開発に時間やお金かかるため
    ・DXは段階的に行うべき
    ・インナーソースを取り入れる
    ※開発技術を他部署でも共有するべき
    ・ソフトウェアは、パッケージ→SaaSが主流になる

    1度では理解しきれていないところもあるので、読み返したい。

  • ITを駆使して、イノベーションやデジタル・トランスフォーメーションを達成したい事業者向けに書かれた本です。
    製造業や、その他、日本の経済を長く支えてきたような産業にむけてのメッセージが詰まってるので、私からするとわかりやすくてテンポもよく読めました。
    この本が描く現在地から進んだ環境(例えばIT産業どまんなか)に身を置いてる人も、「なんとなく」受け入れてた流行のフレームワークや、キャリアについての考え方を一旦棚卸して整理するきかいになるのでは。
    (もしくは、このぐらいの言語レベルやリテラシーで語れるようになることが、IT業界の中にいる人が、自身の産業以外の人たちとのコラボレーションを生む架け橋になる上では必要なのかも)
    変化を前向きに捉えて、さまざまな産業に身を置いた及川さんだからこそ書けた本のような気がしてます。

    ソフトウェアファースト、という言葉からは少しだけイメージしにくかったのですが、ソフトウェアそのものの特徴や、それを作るための過程を十分に理解して、その特徴を活かして事業を成長させましょうという意味でした。

    そして、そのために課題ドリブンで取り組もうという姿勢、そしてその課題はユーザーの声を聞くことでは見つからず、潜在的なニーズを「考え抜く」ことで導くというポイントが強調されています。
    UXリサーチに関わる物としては、「そうそう」とうなづく内容なのですが、いろんな手法に翻弄されることも多いので、そとそもリサーチの本質ってなんだ?を少し冷静に振り返る時間にもなりました。

    組織を変革する、そのためのジョブの型、キャリアの考え方についての説明にかなりのページを割いています。が、まさに、製造業以前の産業界が抱える問題ってここですよね、と。
    プロダクトが持つ力や、チャネル、品質の問題ではなくて、それを作る人や組織側にこそ変革が必要で、そこが変わってくれば自ずといいプロダクトやサービスが日本から生まれてきてくれるのでは。この本がその追い風となってくれたらいいな。

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著者プロフィール

大学卒業後、DECに就職してソフトウエアの研究開発に従事する。その後、MicrosoftやGoogleにてプロダクトマネジャーやエンジニアリングマネジャーとして勤務の後、プログラマーの情報共有サービスを運営するIncrementsを経て独立。2019年1月、テクノロジーにより企業や社会の変革を支援するTably株式会社を設立。

「2021年 『EMPOWERED』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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