ジャパン・ストーリー 昭和・平成の日本政治見聞録

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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822289706

作品紹介・あらすじ

「このまえがきを書いている現在、明仁天皇(現上皇)の退位が数週間後に迫っている。生前退位による天皇の代替わりは日本の歴史において約二〇〇年ぶりで、もちろん憲政史上では初めてのことだ。天皇、皇后両陛下は戦後憲法で定められている象徴天皇としての職責を懸命に果たされてきた。体力が衰えて退位の道を選ばれたのは烈々たる責任感の表れだと思う。昭和天皇が即位されたのは大日本帝国憲法下であり、戦前、戦中の激動の時代を経た後、戦後は日本国憲法の下で象徴天皇として公務を果たされた。そのため、昭和という時代には複雑な感情を持っている人が内外に多い。だが、戦後の平和憲法が公布された後に即位された明仁天皇に対してはそうした感情はない。平成時代についての見方はさまざまだが、日本の天皇、皇后両陛下が国民に慕われ、外国人にも尊敬されていることは、この時代の興味深い特徴である。
 一九六四年に初めて日本に来た私は、昭和の最後の二四年間と平成の三十一年間の五十五年の長きにわたって日本の政治の変容と社会・経済の激動とともに生き、つぶさに観察してきた。本書は、日本の政治システムの継続と変化を書き留めた政治見聞録である。」(本書まえがきから、一部抜粋)

 東京オリンピックが開かれた1964年に来日して以来、日本政治の研究者として選挙運動を分析した名著『代議士の誕生』(現在は日経BPクラシックス)をはじめ優れた業績を上げてきた著者による、歴代首相の秘話を盛り込んだカーティス版昭和・平成政治史。2006年に行われた中曽根康弘元首相への幻のインタビュー「靖国、東京裁判、日本政治の危機」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • フラットに日本の政治や政治家について語る。

  • 【民主主義国家の政治指導者に必要とされるのは説得する力である。リスクを取りたくない、苦い薬を飲まないでなんとかなると思いたい人たちを説得する政治家が、有識者の支持を得られるかどうか、そこに日本の将来が懸かっている】(文中より引用)

    半世紀以上にわたり政治を中心として日本を研究し続けてきた成果がまとめられた作品。過去のエピソードを紐解きながら、令和の時代に求められる政治・社会像を論じていきます。著者は、名著『代議士の誕生』でも知られるジェラルド・L・カーティス。訳者は、経済系の作品の翻訳も手がけた村井章子。

    深い経験と探求に裏付けられた高所からの視点が興味深いことはもちろんなのですが、更に惹きつけられたのは半世紀以上にわたる日本との関わりの中で著者が経験したエピソードの数々。どこでフィールドワークを行うかについて「なまり」を基に中曽根元首相が判断したことや、田中角栄と金丸信の現金の渡し方の違いなどが白眉中の白眉でした。

    『代議士の誕生』も読んでみようかな☆5つ

  • 代議士の誕生を記した作者による政治家評論。
    政治家が小者になってきたのか、昔のような政治家は姿を消したよね・・・中曽根にしても。

  • 首相や与党幹部と直接、インタビューして聴いた逸話が満載されている。
    田中角栄と金丸信の代議士への「現金」の渡し方の違い。
    新自由クラブ立ち上げ時に、この新政党の終末を的確に予言した田中角栄の河野洋平に対する警告などなど。
    戦後の日本の政治に関心のある方は、一読の価値あり。

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/C96j//K

  • 読みやすい

  • 日本政治を研究するカーティス教授が主に前回のオリンピック以降の日本の政治、日本社会、日米関係を回顧録を交えてエッセイ風にまとめたもの。
    多くの逸話やポイントに満ちているが、印象に残ったのが「安倍一強」「官邸主導」についてのコメント。
    国民に対して説明責任を負う首相に権限が集まるのは悪い事ではない。むしろ国会、野党、市民社会団体、マスコミなどのチェック&バランス機能の弱体化が問題なのだ、と説く。
    その他、内政では大きな転換が必要で政治家にはその説得力が問われているのに、きっと斬新的な改革しかなされないだろう。外交は米国を中心として自由・民主の国々との連携を強める現状路線こそが重要だという。
    日本の政治にインサイダーのように入り込み、研究者として外国人として外からの視点で見続けた論点は示唆に富む。

  • 【新着図書ピックアップ!】著者は、コロンビア大学の名誉教授であり、日本に長くいて、日本語は熟達している。日本語ぬよる著作もたくさんあるが、これは、英語で書かれ、英語で読む人を前提に書かれたものである。その日本語訳で、ある意味、外国人の眼で、外国人が日本を理解するために書かれたものである。昭和、平成の激動の政治史を振り返るのによいと思言われる。この時代が、海外からどのようにみえたのか知る手掛かりにもなる。

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