RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる

制作 : 中室 牧子 
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822288778

作品紹介・あらすじ

「超専門化」よりも、知識の「幅(レンジ)」のある人が成功する。
■世の中は、ますます複雑さを増している。それを反映するように、ビジネスでも、研究開発でも、大学教育でも、スポーツでも、さらには幼児教育でも、分野を狭い範囲に絞って深掘りする「超専門化」がもてはやされるようになっている。ところが、こうした「超専門化」が成功しやすい分野は、実は非常に限定されている(ゴルフやチェスなど、ルールが明確で、迅速かつ正確なフィードバックが得られる「学習環境が親切」な領域だけだ)。世の中の大半の領域は、状況が刻一刻と変わり予測不能な出来事が起きる「不親切な学習環境」にある。そこでは、「超専門化」した人よりも、多くの分野に精通し知識と経験の「幅<レンジ>」のある人のほうが成功しやすいことが、さまざまな調査や学術研究で裏付けられている。
幼い頃から英才教育を受け、若くしてプロゴルファーになり世界を席巻したタイガー・ウッズのようなサクセスストーリーにあこがれ、学ぼうとする人は多い。ところが、大半の人にとって、それは誤ったロールモデルであることを、本書は明解に示す。
■自分のキャリア形成を考えるとき、「1万時間の法則」「グリット」「早期教育」「ストレングス・ファインダー」などに目を奪われやすい。これらがもてはやされるのは、「効率が高い」「時間のムダがない」「近道」とされているからだが、実はこれらの手法がそぎ落とそうとしている「非効率な学習」「ムダな時間」「まわり道」にこそ、長期的に「真の価値」があることを、本書はさまざまな事例と科学的根拠をもとに解き明かす。
■今後のキャリア形成について考えているビジネスパーソン(研究者、スポーツ選手、音楽家etc)、進路について迷っている学生、子どもの教育方針について悩んでいる親や教育者など、幅広い分野の方々に参考になる内容になっています。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、読書家としても有名なビルゲイツ氏の「お勧め本!」になっていたので読んでみましたが、めちゃくちゃいい本でした❕
     
    何かを極めるためには、小さいときから、ひとつのことだけに打ち込むことが大切だと思っていました。
     が、この本には、一分野に専門特化するのはよくないよ!と書かれています。

    ゴルフやチェスのようなシンプルで、不確実性が低く、効率がよい分野であれば、専門特化で成功する可能性も高いが、現実世界は、不確実性が高いことの方が多いので、それに対応するためには、異なった広いレンジの知識が必要だと書かれています。

    確かに、目まぐるしく変化する現在に必要な力は、異なる分野からヒントを見つけ、繋げる力だと思いました❕

    ぜひぜひ、読んでみてください

  • 本著はアメリカの科学ジャーナリストによるゼネラリスト賛歌の本(?)です。
    アメリカなんて、英才教育のスペシャリストが信仰されてるのかと思いましたが、ロジャー・フェデラー(色々なスポーツに触れた後、13歳ごろから本格的にテニスを開始)の例を取って、色々やって「ゆっくり専門を決める」ことが成功のカギになっている、というのが本著の主張です。

    そして、単なるタイトル通りの「色々やると良いよ」本というだけでなく、効果的な学びとは何なのかというのを教えてくれる本。
    また同時に、これはひょっとすると、「考える」コトについての教科書なのかもしれません。だとすると、全若人や若手社員にオススメしていきたい書なのかも。
    中室牧子さんの解説にもあるように、「今こそ、この本を読まなければならない」と思ったのは、研究者ではない私(ただのリーマン)も読んでいてしみじみ感じました。
    ※図書館で借りて読んだんですが、結局買ってしまったくらい。

    本著、色々な本や人物のエピソードを集めているので、本として凄くオリジナリティの高い主張をしているようには思えないのですが、有用な知識が集積しているのはそれだけでも実務的に便利です。
    解説されていたアナロジー(別の分野のやり方を当てはめて適用すること)を自分の今の仕事にも活かしていきたいものです。
    しかし、本著で言われているように「枯れた技術」や「大昔の経験」が今の目の前の問題を解決する助けになる(かもしれない)のなら、「記憶を外部ストレージにアウトソースして…」なんてのは言語道断な振る舞いになりますね。
    結局、スマホやらが発達しても、人間が人間たり続けるためには、記憶力も手離しちゃいけないのかもしれません。

    その他にも本著で印象的だった内容はいくつかあり、例えば目先の理解を優先して、本質的な(抽象度の高い)理解をなおざりにすると、受講者の主観的な理解度は高くても、実は長期的な応用については成績が低くなる。
    生徒の人気が高い授業が、長期的に役立つ能力を育成するとは限らない、というコトで、これは個人的には驚きでした。少ししんどくても抽象的な概念を理解する必要があって、これがつまり、本著で「望ましい困難」と呼ばれる事象。

    あと感じたのは、「人間の多様性」の素晴らしさ。
    本著の主張を敷衍すると、偏差値のような1本軸で優秀かどうか、という考え方ではなく、時と場合によって誰が輝くかが変わるので、ある意味では人間賛歌とも言えると思います。
    自分の能力がたまたま時代のニーズに合っていればまぁそれはそれで良いけど、それも一面的な見方にすぎない。色々な人が、色々な切り口で問題に迫るから、解決の糸口が見つかる、というコトですね。

    ちなみに、翻訳で少し親切でないと感じたのは、プロジェクトの見積と実績で差異が出る(予算が膨らむ)ことを書いたくだりで、見積が3億2000万"ポンド"、実績が10億"ドル"近く、と記載されていたこと。
    ポンドも結構暴れた時期があったので、まぁ増えてはいそうだけど結構ブレるな…と思いました。
    (とは言え、基本的には読みやすい翻訳でした)

    良著だと思います。なお、本著の影響を受けて、色々やってみよう!とウクレレ入門セットを買いました(笑

  • とても刺激的で学びが深い一冊。「ある分野から全く別の分野に移っても、その経験がムダになることはない」、「遅れを取ったと思わないこと」、肝に銘じます。

  • 人の幅、知識の幅を広げるとは
    世の中には生まれつきの「天才」もいるが大凡人は時間をかけ、さまざまな経験と時間を基にスキルを磨き上達、人生の「成功」へと進む。ここにある「幅を広げる」は「寄り道しながら試行錯誤し、体感していく」まさに次の3つがキャリア・スキルアップのポイントなると思う。 
    1、好奇心:何事にも興味を持ち「寄り道してみる」
    2、探求:どうしてだろう、なぜだろうと疑問を持ち答えを探し求める
    3、情熱:興味のあるものに対し時間を惜しまず没頭できること

  • ゴッホやポルガー三姉妹など、具体的な人物の人生から、知識の幅が人生を豊かにすることを述べた一冊。
    そのまま引用すれば、問題が曖昧で明確なルールがない意地悪なせかいでは、幅が人生を生産的、かつ効率化するための術になる、といつことである。
    物事のやめ時にも述べられていて、やめない美徳ではなく、やめて新しい道を進むことも価値があると気がつかされた。最近興味があった、レジリエンスについても、描かれている。

  • 早期に専門特化するのではなく、分野関係なく興味のあることを様々寄り道した方が、最終的に市場価値が高く課題解決能力が高くなる。
    専門特化しすぎると、狭い思考に囚われ、課題を解決出来なくなってしまう。また、専門特化で効果があるのはスポーツ等の特定のルールがあるものであり、社会のような特定のルールが無い環境では効果を発揮できない。
    何かを始めるのに遅すぎることは無く、興味のある分野に進んで取り組むこと、今までの考えに囚われずにやり方を捨てることが重要

  • 「グリット」やり抜く力が注目されている中でこのように幅広い視野や広く浅い知識の必要性を説いている本を読むことができてよかった。一つの専門領域を持っているだけでは、今後の世の中をより良くしていけないかもしれない。あらゆる領域に横断的に活用できる知識を身につけていきたいと思った。

  • 人生の回り道は選んででもした方が良いのかも、そんな事を思えた。救われた気がした。

    日々の細々とした作業はいかに効率化するかを考えている私だけど、大きく見ると受験で当初想定と違う学校に行ったのもはたからみればなんでわざわざそんな、、、と思われそうな出来事。
    仕事も色んな部署を転々としているから、なかなか評価してもらえない。でも、自分の中ではあっちの仕事でやった事がこんな所で役に立つんだ!なんて事もちょくちょくあって、なんだか腑に落ちた。
    子供教育も、早くから何かを習わせた方が良い、継続させた方が良いというのはそれを売っている企業に乗せられている部分も少なからずあるのでは?と思えた。
    スポーツ選手なども最近は二刀流の人が増えている気がする。本で紹介されている、スキーとスノボでオリンピックに出た選手を見た時は私も驚いたのを今でも覚えている。身近な所だと、投打に活躍する大谷さんもそうかな。スポーツ選手で夏冬の競技をして両方オリンピックやパラリンピックに出る人もいるなぁ。芸能活動でも、昔は女優が歌なんて!みたいなイメージあった気がするけど、俳優、歌手、小説家、くらいの間で複数活動されてる方は何人もいる。
    大学で、専攻を絞ったり文系理系に分けるというのもこの本では否定的。共感します。なんで理系の学部に入ったから心理学は学べないのか、不満だった。統計学的な分野ではたいして変わらないはずなのに。
    会社でも専門家がもてはやされてるイメージはあるけど、部署を色々異動している身からすると、他から来たから見える事とかもあるのよ?スペシャリストをまとめる横断的な思考を持った人も必要、うーんスペシャリストも憧れるけど、自分が向いているのは、、、と考えさせられた。

    つれづれに書いたけど、とりあえず、ボリュームがすごいけど内容も濃くて概ね共感できる本でした。一つの事を極める、それも素晴らしい事だと思う。でも、回り道や余白にこそ人生の旨みが詰まっている、そんな風に思えるはず。

  • 早めの専門特化よりも、まわり道、つまり色々試しながら自分にあったスタイルの何か、を追求する方が大成する。対極的に表現されるタイガーウッズは、2歳の頃からずっとゴルフをやらせて、英才教育的に集中した。決して逃げず、やらせ続けることが成功への秘訣であるという風に思われているこの理念を覆すのが、Range、つまりある一定の揺れの中で磨いていき、最後集中するというものだ。
    チェスやゴルフのような繰り返し鍛錬することで価値が高まる場合は、こうした幼少期からの継続的かつ集中的なトレーニングが有効だが、音楽などは必ずしもそうではない。ピアノやバイオリンなど複数の楽器を渡り歩き、最後にこれという楽器に出会い集中する方がいいケースがあるという。
    しかし、スペシャリストよりもジェネラリストが成功するという帯の論理とは読み進めると違うような気がしてくる。
    目標を決めてそこに向かって努力するよりも、今から努力して、その結果時代にあった何かになっていく方がいいのではないかという考え方だ。人生そのものは、実験である。何者かになるには、壮大な実験を繰り返すしかない。自分が何者で、どんなことが好きで、そこに向かっていくと成功するのかわからないからこそ、色々な自分を試し、レンジを広げていけばいい。しかし、スペシャリストよりもジェネラリストが成功するということではないような気がした。成功は、さまざまなチャレンジ、実験から生み出される確率の低い何かクリティカルなものと言う意味なのではないかと思う。

  • 知識の幅の意味合いという言葉に興味があり読書

    好奇心、探究、情熱

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著者プロフィール

アメリカの科学ジャーナリスト。ネットメディアのプロパブリカ記者、元スポーツ・イラストレイテッド誌シニア・ライター。同誌でスポーツ科学、医学、オリンピック競技などの分野を担当し、調査報道で注目を集める。記事の受賞歴も多い。コロンビア大学大学院修士課程修了(環境科学、ジャーナリズム)。著書に『スポーツ遺伝子は勝者を決めるか? アスリートの科学』(早川書房)がある。

「2020年 『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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