- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822288617
作品紹介・あらすじ
クリーンミートとは――動物の細胞から人工培養でつくる食肉のこと。
成長ホルモン、農薬、大腸菌、食品添加物に汚染されておらず、一般の肉よりはるかに純粋な肉。培養技術で肉をつくれば、動物を飼育して殺すよりも、はるかに多くの資源を節減できるうえ、気候変動に与える影響もずっと少なくてすむ。そして、安全性も高い。2013年に世界初の培養ハンバーグがつくられ、その後もスタートアップが技術開発を進めている。
これはもはやSFではない。
シリコンバレー、ニューヨーク、オランダ、日本など世界の起業家たちがこのクレイジーな事業に大真面目に取り組み、先を見据えた投資家たちが資金を投入している。
フードテックの最前線に迫る!
ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)序文で推薦!
「希望にあふれる魅力的な本書で、著者は『細胞農業』と呼ばれる食品・衣料品の新たな生産方法の可能性を生き生きと描き出している」
エリック・シュミット(グーグル元CEO)絶賛!
「クリーンミートの革命をリードする科学者、起業家、活動家について学ぶには、説得力があり、前向きな本書を読むといい」
感想・レビュー・書評
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◆環境に優しいと言うが
[評]石浦章一(同志社大特別客員教授)
クリーンミート 培養肉が世界を変える ポール・シャピロ著:東京新聞 TOKYO Web(2020年3月8日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/3464?rct=shohyo
次なる食の革命「細胞農業」とは | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/360768/110500058/?ST=m_column
クリーンミート|日経の本 日経BP
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/P88610/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本については、ユヴァル・ノア・ハラリの『21Lessons』の中で紹介されていて、読んでみたいと思っていた。
《現在、食肉産業は何十億という感覚ある生き物に甚大な苦痛を与えているだけでなく、地球温暖化の主要な原因の一つや、抗生物質と毒物の主要な消費者の一つ、大気と土壌と水の主要な汚染者の一つにもなっている。
(中略)
今後一◯年以内には、工業生産されたクリーン・ミートは家畜を殺して生産した肉よりも安くなることが見込まれている。このようなテクノロジーが発達すれば、何十億もの動物を見るも無残な生活から救い出し、何十億もの栄養不良の人間に食べ物を与えるのを助け、同時に生態系の崩壊を防ぐ一助にもなりうる》(『21Lessons』161ページ)
そのハラリが、本書には序文を寄せている。
植物性タンパクを肉と見紛う味と食感に加工した「フェイクミート」(代替肉)は、すでに一定の市場を確保している。
だが、本書でいう「クリーンミート」は〝肉の代替物〟ではなく、肉そのものである。動物の細胞を培養して作る「培養肉」「人工肉」なのだ。
「クリーンミート」はけっしてSFの世界の話ではなく、実用化一歩手前まできている。
2013年に作られた史上初の培養肉ハンバーガーには33万ドル(約3500万円)ものコストがかかったが、その約3年後に作られた培養肉ミートボールにかかったコストは1200ドル(約13万円)であった。
本書は、「細胞農業」(動植物から得る生産物を、細胞の培養によって得る農業)の主要分野であるクリーンミート開発の最前線を活写したビジネス・ノンフィクションだ。培養技術開発についての過不足ない解説も随時加えられるから、サイエンス・ノンフィクションでもある。
そして何より、これは歴史的転換点の貴重な記録となるだろう。現在の「工業型畜産」が「細胞農業」へと転換したら、それは“21世紀の「緑の革命」”であり、かつて馬が自動車に置き換わったとき以上の大画期となるからだ。
人類史上初めて、動物を殺すことなく肉が食べられる時代がやってくる。
本書の著者ポール・シャピロも、ベジタリアンで動物愛護運動家。登場するクリーンミート開発の企業家や研究者も、多くはベジタリアンだ。
クリーンミートの実用化と普及は、動物愛護の観点から望ましいばかりではない。環境保護の面でも、地球を破滅から救う大きな前進となる。
いまの工業型畜産が地球環境にどれほど大きな負荷を与えているかが、本書には詳細に解説されている。その負荷が、クリーンミートに置き換わることで劇的に軽減できるのだ。
そして、コロナ禍真っ只中のいま、クリーンミートがもたらすもう一つの恩恵にも注目したい。それは、クリーンミートがその名のとおり「クリーン」であるということだ。
現在の工業型畜産は、超過密環境で飼育される動物に大量の抗生剤を投与することで成り立っており、必然的に耐性菌を発生させる。
また、動物の腸管に発生するサルモネラ菌を筆頭に、食肉は多くの菌に汚染されている。
新型コロナウイルスの発生源は現時点では不明だが、今後、工業型畜産から新たな感染症が発生するリスクは高い。
だが、クリーンミートなら、糞便汚染のリスクはゼロだし、抗生剤・成長ホルモン・農薬等を用いる必要もない。クリーンかつ安全なのだ。
本書はコロナ禍以前に書かれたものだが、今後、コロナ禍はクリーンミート開発の強力な推進要因になっていくだろう。
クリーンミートの実用化・普及は、無人自動車の普及以上に世界を大きく変えるのだ。実用化と普及が、いまから待ち遠しい。 -
細胞を培養して畜産品を作るベンチャー企業たちのお話し、医療の世界ではすでに皮膚移植等に使われている技術を、食品や装飾用レザーに使うらしい。
細胞を培養する際に使用する酵素は、遺伝子を操作する必要があるらしいのだが、実は今でもチーズの発酵に不可欠なレンネットという物質は、遺伝子操作により作られているそうだ。
現在の酪農には問題点が多く、畜産動物が排出するし尿や二酸化炭素による環境汚染、飼料を大量に栽培するために森林を伐採している事、生産効率重視のための劣悪な飼育環境、そして何より人間の欲望のために、日々たくさんの動物が殺されているという事だ。
食肉培養にはコスト削減や消費者心理など、まだまだ多くの課題が残っているが、現在の酪農が本当に持続可能なのかを考えた時に、有力な選択肢になるのは間違いないと思う。 -
【感想】
「いただきます」
それは日本文化特有の言葉であり、全ての生命とそれを調理した人に感謝の気持ちを伝えるあいさつである。
しかし、この本を読んだ後で、「いただきます」の意味を今まで通り受け止められるだろうか?
本書は、フードテックの最前線に迫るバイオルポルタージュだ。様々な問題を解決する夢の食糧、「クリーンミート」の実現を目指すスタートアップ企業の実績と課題を追う。
「培養肉」というものの存在は知っていったが、それが目指す理念がここまで多岐に渡って展開されているとは、全く想像だにしていなかった。
本書では、培養肉のメリットとして、
①環境にやさしい
②動物たちを傷つけない
の2点を強調して語っている。そしてここが驚くべきポイントなのだが、理念を掲げる人々が、これらを実現する「ために」価格を安くしようと研究開発している。なんと、環境を改善することが第一目標で、利益がその後なのだ。
そう、培養肉はコストとの戦いを重きに置いているわけではない。「道徳との戦い」を目指すのである。
道徳と戦っている代表的な人物がヴィーガンだ。ヴィーガンは肉が嫌いな人ではなく、動物を傷つけてまで肉を食べたくない人である。そのため、動物を介しない培養肉ならば喜んで口にする。
人間は「われわれが生きるため」ということを口実に、残虐非道な畜産工場を営んでいる。そこで飼育される動物には幸福に生きる権利は無く、ただ人間の食欲のために肥え生まされていく。そして、人間が生きていくためには、その命の殆どが必須ではなく、殺された動物の肉が何万トンと廃棄されていく。「いただきます」の裏では、こんな欺瞞が平然とまかり通っているのだ。
本書の凄いところは、こうした「動物の不幸」から更に踏み込む点だ。
「もし傷つけられる動物がいなくなったら?」という、クリーンミートが普及した先の世界まで物事を考えている。「家畜はもはや人間抜きでは生きられず、そして生きている限り苦しみを味わいつづける。ならば、彼らを絶滅してあげることこそが幸福ではないのだろうか?」
何とここで「反出生主義」が出て来るのだ。動物の幸福という視点を持つだけでも先進的なのに、その先の「真の幸福」の地点にクリーンミートはいるのだ。
何という長いスパンで物事を捉えているのだろうか。
今話題となっている培養肉を、環境負荷軽減の面で後押しする人は多いと思うが、こうした道徳の視線があるなんて思いもよらなかった。ただただ驚きだ。
みなさんも是非手に取り、「いただきます」の意味を考えてみてほしい。
【本書のまとめ】
1 培養肉(クリーンミート)の可能性
インド、中国といった途上国でのライフスタイルの欧米化によって、食肉需要は何倍にも膨れ上がっている。地球の人口は2050年までに90~100億人になると予測されているが、利用できる資源の量はその増加に見合うほど増加しない。
そこで注目されているのが、試験管の中で作られる「培養肉」だ。
従来のやり方で肉を育てるのには大量の水がいる。スーパーに並んでいる鶏肉を作るのに、それぞれ3.8リットル入りの水のボトルが1000本以上も費やされている。畜産業界のCO2排出量は運輸業界と釣り合うレベルに高い。
また、肉を育てる過程で動物を奴隷化する。農場を工場にし、自由を奪い、効率的に身体を大きくするために薬品や合成餌を与え続けている。「動物の権利」を尊重する目的から、肉食からヴィーガンに転身する人が大勢生まれているほどである。
植物ではなく動物を飼育して食糧とすることは非常に効率が悪く、畜産物の受容が急増すれば、地球はとうてい持ちこたえられない。そうした状況下においては、ますます牛や豚、鶏への動物虐待が横行する。
これら環境・倫理面からの打開策になり得るのが、畜産品を細胞から作り出す「細胞農業」である。細胞農業は、動物には手を触れず、ほんの少し採取した動物の筋細胞から、生体外で筋組織を作る。本物の肉や畜産品を研究室で作りながら、広大な農地をより自然な生息地として動物たちに返すことができるのだ。
もし培養肉が実現すれば、
・加工過程での糞便汚染
・食品添加物が含まれた餌の人体への悪影響
・抗生物質が投与された動物を食べることで、抗生物質が人間に効かなくなること
・過密化した牧舎での伝染病の流行
・飼料生産(大豆)による熱帯雨林などの環境破壊
などを防ぐことができる。
つまり、地球環境と動物を一挙に救いたいなら、食べる肉の量を減らさなければならないということだ。細胞農業のスタートアップ各社が成功すれば、私達の食糧生産方法に、約一万年前の農業革命以来最大の変革が起こるだろう。
2 「安価」というインセンティブ
鯨脂が石油に、馬が自動車に取って代わったように、動物たちの苦痛を取り除いたのは、人間の慈悲心でも環境への懸念でもなかった。新たに誕生したより安価な代替品だった。
2005年に、医学雑誌に掲載されたマシーニの論文「培養肉の試験管内生産」は、またたく間に注目を集める。
培養肉は臓器再生とは違い、ただ筋肉量を増やすだけで事足りる。それならば筋細胞を採取し、単離し、細胞増殖のよりどころとなる足場に接着させるだけでいい。核となる細胞は「筋サテライト細胞」と呼ばれ、牛や人間の筋肉が傷ついたとき、その筋肉を修復するのに使われるのと同種の細胞である。
ポストの考えでは、ハンバーグ1個をつくるのに必要な牛の筋繊維は約2万本だ。増殖のスピードから計算すると、たった3か月しかかからず、牛を育てて解体する(14か月)よりはるかに速い。
また、生産に必要な資源もはるかに少ない。肥育場では未だに、牛1頭に対して1日に9キロ以上の飼料が必要である。
ポストの計算によれば、この培養手法なら、1頭の牛から小さじ1杯の組織片を取るだけで、理論的には肉牛40万頭以上分にあたる牛肉を生産できると見込んでいる。
ポストはグーグル創業者からの支援を取り付け、培養肉の試食会兼記者会見を行った。1枚33万ドルもするパテで焼いたハンバーグは、試食者が言うには「普通の肉に近く、ジューシーさは足りないが歯ごたえは完璧」とのことだった。
記者会見は大成功に終わり、培養肉産業は一躍投資産業へと変化した。
ポストとフェアストラ―タの培養肉ハンバーグの商品化には、まだ乗り越えなければならない壁がいくつかある。その筆頭がコストだ。
現在の技術であれば、もう少しで1キロ65ドルから70ドルというところまで下げられそうである。(ちなみに、現状ではひき肉以外を作るのは技術的に難しい)
もう一つの問題は、肉好きな人がクリーンミートを食べてくれるかどうかだ。動物無しで育つ肉に、多くの人は本能的に嫌悪感を抱く。それは「得体の知れないものは食べたくない」「自然に近いものを食べたい」という安全意識が根底にあるからだろう。しかしながら、そもそも現代社会の食物は品種改良されたものばかりであり、それのどこが自然と言えるのだろうか?
結局のところ、人間の食肉欲求はなくならない。動物由来の肉を人々が止めるかどうかはモラルにかかっているのではなく、味と値段にかかっている。培養肉がそれを満たせば、肉がどうやって出来たかなんて気にしなくなるだろう。
3 培養レザー
細胞業界は、食肉ともうひとつの動物由来の繊維組織、「培養レザー」の可能性を追求している。
毛皮を持つ哺乳動物は、人類史の大部分において、人間の防寒のための主要な手段であり続けた。しかし、一頭の牛から取れる牛皮は身体ぜんぶの経済価値の10%程度。であるならば、革を取るために牛をまるまる育てるのは非効率的ではないだろうか?
アメリカの皮革業界は世界的な巨大産業であり、1年で30億ドル――牛3500万頭分――の牛革を輸出している。
懸念すべきは動物への虐待だけではない。皮をなめす過程で、様々な化学物質が使われ、労働者と周辺環境に深刻なダメージを与えているのだ。
これに比べ、モダンメドウで作るレザーには毛も肉も脂肪分もないため、皮なめしの工程は従来の第2段階だけで済み、ずっと環境に優しい。
培養肉よりも簡単で実用性に富むため、フォーガッシュはもっぱら培養レザーに力を入れ、大量生産化を目指している。すでに高級品として一部実用化されたものもある。
4 アメリカのクリーンミート
モダンメドウがすでに皮革だけに舵を切り始めた一方で、クリーンミートの商業化に目的を絞った世界初の企業「クレビー・フーズ」(のちにメンフィス・ミートに社名を変更)が、2015年後半に誕生した。
メンフィス・ミートは、
①動物を苦しめずに畜産物を収穫すること
②より健康的な肉による成人病を防止すること
をミッションとしている。
また、メンフィス・ミートは、世界初の培養ミートボールを作り上げた。コストは33万ドルからぐっと下がり、わずか1200ドルだ。着実に実用化に近づいている。その後は培養肉のフライドチキンと鴨肉のオレンジ風味を作り、キロ当たりのコストをより割安にした。この功績が投資家の眼に止まり、巨額の投資の提案も舞い込んで来た。
クリーンミートは人類史上最高に清潔で安全な肉と言えるかもしれない。糞便汚染の危険がなく、今ある肉よりもずっと消費期限が長持ちする。流通に革新が起こるのは間違いないだろう。
5 プロジェクト・ジェイク
ハンプトン・クリークが立ち上げた「プロジェクト・ジェイク」は、鶏と鶏卵にターゲットを向けている。環境に最もダメージを与えるのは、アメリカで年間3500万頭が解体される牛だが、動物の福祉の観点から見れば、年間90億匹が殺されている鶏を救うほうが先決だからだ。
そして幸運なことに、牛や豚よりも鶏や七面鳥のサテライト細胞のほうが、取り扱いがずっと簡単である。
理論的には、一羽の七面鳥から採取したたった1つのサテライト細胞が、3ヶ月間で75回の分裂を繰り返し、1つの細胞からターキーナゲット20兆個分以上の筋肉が取れる。
テトリックが技術を進歩させることで目指しているのは、単に新たな食品を生み出すことだけではない。他社にも新たな食品を生み出す力を与え、食料システム全体を改革することを目指している。
6 遺伝子組み換え
パーフェクト・デイとクララ・フーズは、分子レベルから牛乳と卵白を作っている。
これらが培養肉と違うところは、培養肉は細胞「が」食品を作るのに対し、牛乳と卵白は細胞「で」食品を作ることである。ビール酵母がアルコールを作る様に、酵母を遺伝子操作によって組み換え、牛乳や卵白を作り出すように設計し、ゼロから食品を「醸造」しているのだ。
しかしながら、培養畜産物の市場への導入は、コストや規制など導入期の障害を克服したとしても、一筋縄ではいかない。それは遺伝子組み換えというテクノロジーに対しての、消費者の受容度の低さが原因だ。
調査によれば、アメリカ人の51%が「自然」と表示された食品を選ぶと言明している。その一方で、何が「自然」かという疑問への定まった回答は無い。私達が食べている家畜や多くの野菜は、成長が早くなるよう意図的に育種されたものだ。とても「自然」とは言えないが、消費者が食べ物を買うときにそれを問題視しているようには見えない。
ギボンズは消費者の態度について重要な点を指摘している。小規模なオーガニックの畜産に戻れと主張する人々はしばしば、工業的畜産が生まれる以前の「古き良き時代」を思い描き、大規模か小規模かという二元論に陥る。だが、現実は、工業的畜産が標準的になる以前から、ギボンズが列挙したような多くの虐待が蔓延していたのだ。
結局のところ、本書に登場する各スタートアップは、自らの食品が完全に安全であり、ほかの食品の生産方法と変わらないことを消費者に明示する責任があるのだ。
7 倫理と道徳
もしクリーンミートが世界に普及して、現在不幸を味わっている動物を必要しなくなった場合はどうなるのか?彼らは人間無しではもはや生きられない。そして、彼らは生まれて来なければよかったと思うほどの苦痛を味わっている。であれば、彼らを絶滅させて、農地を森や草原に戻るに任せて、本来の野生動物に返すのが望ましいやり方なのではないか?これは非常に難しい倫理的問題である。
すべての畜産動物を大切に思えるようになるためには、私達の多くが、まず口にする肉の量を減らさないといけないのかもしれない。まずまずの代替肉がいまより簡単に手に入り、頻繁に口にされるようになって初めて、徐々に、畜産動物を、知性を持った個々の存在として見られるようになるのかもしれない。 -
この本を読んで衝撃を受けたこと:
肉牛を育てるためには大量の水と牧草が必要なため、環境負荷が高い。
この本を読んで実行すること:
牛肉を食べるのは2週間に1回程度にする。 -
食肉、乳製品、皮革など、本来は動物由来で作られる畜産物を、特定の細胞を人工的に培養することにより、科学的に全く同じものを作り出す「細胞農業」の最前線と、商用化に向けた課題をまとめた一冊。
今日の多くの工業的畜産は、大量の飼料を消費する非効率性、それら飼料作物の栽培に伴う資源の浪費、「牛のげっぷ」などによる環境汚染、食肉加工における細菌汚染、家畜が強いられる劣悪な飼育環境といった深刻な問題を抱えている。世界人口が爆発的の増加する中、これらの問題に対して植物由来のフェイクミートとともに有力な解決策となり得るのが細胞農業であり、動物を飼育するのに比べて、必要な部分(肉や乳など)のみを培養して作れる効率性の高さや環境への負荷軽減に加え、動物を「殺して食べる」という倫理上の問題も解決できる。
著者は、まだ黎明期である細胞農業の商用化に向けた課題として技術の向上やコスト低減に加え、消費者の受容性、つまり遺伝子組み換え食物に対する抵抗感のような、消費者の感情面のハードルが最も克服が困難であると指摘する。それでも本書では、熱意ある研究者や起業家が、将来の食糧難の回避や環境保護、動物愛護といった使命感から、既得権益や規制の壁に直面しながらも、志を同じくする仲間や先見性のある投資家との出会いによって着実に歩みを進める姿が臨場感たっぷりに描かれる。社会問題解決やR&D、起業や投資など、様々な切り口から学びが得られる良書。 -
世界を変えると言われるテクノロジーのひとつ。
畜産は温室効果ガス排出の最大の原因なのか。
家庭で気軽にどんな肉とか魚とかを細胞から作れる未来が来るのか。
味も栄養も良けりゃあそれで良いな。メリットしかないか。
日々当たり前に生き物を食べてるけど、やっぱ罪悪感はいつもは目を逸らしてるけどあるもんな。
生き物を殺さずに肉とか魚を食べられるのって良いことしかないよな。
楽しみ。 -
クリーン・ミート全押しすぎて、途中からだんだん懐疑的になって読み飛ばす。
日本人には魚肉の培養肉版があれば非常に助かると思う。寿司ネタとか需要は急務だろう。そして養殖産業に農耕民族は非常に向いていると思う。生簀養殖してきた海産物や、海苔などの海藻に準ずる循環型漁業は成立しないのか?もう誰か考えているのか?日本型クリーンミートに期待したい。大豆製品とともに。
途中インド人医師の幼少期の体験談を読んで、宗教的禁忌が食糧危機を回避する可能性について考えてみた。仏教が殺生を禁止して四つ足を食べないとか、かつてはそのような宗教的教義が食糧生産や生態系の維持に関係していたのではないかと。食べ物と宗教云々の文化的関係を調査したものはみつかりそうなので、機会があった読みたい。