デザインマネジメント

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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822276294

作品紹介・あらすじ

根底にはデザインがある。アップル、グーグル、アウディ、ダイソンの経営の基本はこれだ!なぜを常に自分に問いかける。全てのデザインはここから始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 「デザインマネジメント」

    1.購読動機
    新しい事業を運営するにあたり、事業とは?顧客とは?提供価値とは?の定義を再度認識したうえで展開したかったためです。
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    2.デザインマネジメントのデザインとは?
    意匠を指すのでありません。
    ひとことでいうならば、なぜ? とその実現です。

    なぜ、その事業をするの?
    なぜ、その顧客ゼグメントなの?
    なぜ、提供価値がそのような様式になるの?

    この、なぜ? を明文化すること、かつ外部に正確に認知してもらうように、事業を展開することです。
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    3.デザインマネジメントの要素
    著書と多少の差異はありますが、3つです。
    ①ロジック
    ②センス
    ③wow!

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    これをつなげると以下の文脈となります。

    事業のデザインマネジメントとは?
    ①ロジック
    顧客を誰にするのか?なぜそのゼグメントにするのか?
    提供価値を何とするのか?
    の基本を定義すること。
    ②センス
    ①を顧客そして社会に正確に認識してもらうために、自社そして自身の五感を使い、表現すること。
    ③wow!
    結果として、顧客そして社会の五感を刺激し、wow!の流れを生み出すこと。

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    4.自身に置きかえて
    自身の業務の今と未来に置き換えました。
    次の一手も、なぜ?の基礎からずれないように展開します。

  • google,amazon等の経営の基本!というキャッチコピーと「デザイン」という単語に漠然と惹かれ手に取る。

    まずはじめに単なるノウハウ本ではない。
    物質の欲が満たされている中でどのようにして愛されるブランド、モノ、組織を作るかの考え方を述べている。

    グローバル化した社会では人間の生産性が同じであれば賃金の安い方に仕事がいく。
    効率化が進むほど、機能や価値が同じであれば低価格の商品が売れる。

    他と違わない商品やサービスで効率化や他の本質的でない付加価値での差によって決まる。

    そのような中で革新的なイノベーションを生み出す必要性が高まっている背景から、何をつくるかを考える前に、なぜそれを自分達がやる必要があるのかを考えなければならない、それがデザインの考えのひとつであるという。

    なぜなら今社会で必要とされるアウトプット、現代の人が求めているのは驚きや感動、共感である。

    驚きや感動を与えるには、自分達がどんな社会にしたくて、本来はこうあるべきだという理想を提示できてこそであり、それはウォンツ(潜在的な欲求)を発見できるかにかかってくる。
    豊かな感性でものごとを捉え、社会に隠されたウォンツを発見し、デザインしていく。

    本で述べられていた事例では、すでに市場が大きくならないような陶器業界でも時代の変化に合わせてウォンツを発見し商品のコンセプトに落とし込み、現代社会の隠された欲求を満たす商品をコミュニケーション戦略まで
    徹底して一貫性をもたせたために、大きな売り上げが出せていた。

    このような4つの筆者の体験事例をもとにしてデザインの考えを伝えている。


    感じたことはやはりストーリーや背景、理念の設計の重要性。

    企業の理念や意志、思いがきちんと伝わらない限り、共感してもらえない理念である限りは意味がない。
    そういう意味で企画からコミュニケーションまでの整合性をとるデザインという考えは大切なのだと。

    これらのことは欧米の企業では非常に当たり前のように伝わっているように感じる。
    googleやamazonのサービスは革新的である以上に理念がひしひしと伝わってくる。

    ではなぜ魅力的な理念なのかということを考えたときに、それは個人的には明らかだった。

    未来志向性ただひとつではないだろうか。

    実感ではないし月並みではあるが、日本の企業が西洋文明のあおりをうけ、効率化やコストカットの方向性にいくために革新的なサービスが生み出せなくなっていると少し思う。

    また大企業になればなるほど、歴史が長くなればなるほど
    創業当時建てられたビジョンは薄まっているし、大所帯を抱える社員全員に浸透していないように感じるし、
    それを維持していくことは難しいかもしれない。
    日本人が伝えることが苦手な文化も影響しているのかとも思う。


    読み終わった後、どこか自分の中でこうありたいと思っていたが隠れていたことが明確になり、満足してる。
    モノ作りに関わらずこれから新しいもの、変化やイノベーションを生み出していく人材に必要な考え方のtipsを得られる本でした。

  • こんなおもしろいデザイン、ビジネスに関する書籍はなかった。

    ロジカルシンキングだけでは光が見えなくなったビジネスの現場において、顧客の内面に光を当て、顧客とともに自らのビジネスに光を与える示唆に富んでいる。

    「デザイン」をモノづくりの範疇しか理解できていない周りの人、コトづくりのデザインでしょ!って言ってる人にも薦めていただきたい。

    デザインは関わる人の本質に迫る価値を具現化し実行できる力になると。

  •  筆者はデザインの仕事とは、見えない誰かにラブレターを書くことと似ていると思う。いやデザインに限らず、仕事とはそういうものではないだろうか。
    「どうにかして自分の想いを届けたい」

     ここで思うのは、相手と親密なコミュニケーションを図ろうという努力や、目の前の課題に取り組む姿勢、目的を達成するための取り組み、成功しなかったときのフィードバックは、本来仕事という場でも純粋な心と行動をもって実践すべきなのではないか、ということ。

    ■新しい価値の創造に必要な要素
    1.ロジック=本質を見つめ直しリフレームする
    2.センス=知覚を統合して知性をもって表現する
    3.ラブ=数値化できない人間の本質に迫ること

    ■デザインマネジメントの役割
    1.課題の発見と抽出
    2.既存フレームの再構築
    3.新たな価値の発明
    4.そこに至るための複合的な情報処理


    ■デッサンは○○で描け
    A頭 B腕 C足 D手 E心
    →C足
     デッサンで重要なのは、描き始める前に多くの情報を取得することだ。そのために自分の五感を研ぎ澄ませて、目の前の現象を作り出す要素について実感を持って確認する。例えば、モチーフの前後関係、質感や色、太陽光なのか人工的な光なのか、光の角度や反射はどうなっているか、影の落ち方はどうか、などである。モチーフの周囲をぐるぐると歩き回りながらその構造を確認したり、モチーフに触れてみて質感を確かめたりするとよいのだ。窓の外を見て太陽の位置や季節によって異なる光の色を感じ取ることもよいだろう。こうして、座った場所から一方向的に見ているだけでは捉えきれない多くの情報が目の前にあることが分かってくる。だから「デッサンがうまい人」とは自らの足で多くの情報を得ようとする「フットワークの良い人」のことなのである。
     なぜわざわざデッサンの話を引き合いに出したのか。ここで言いたいのは、何事も一方向から見るのではなく、周辺の環境を含めて、観察し、多角的に考察することがいかに大切かということだ。誰かに教えてもらった情報だけを頼りにするのではなく、自分の目で確認し直観的に捉えることによって、本来やるべきことの輪郭が浮き上がってくるものなのだ。そしてデザイナーはデザインの職種に就く前にその訓練がされている。すなわち多角的に情報を集め、それを再構築することのスキルを身に付けている人たちなのである。


     筆者は、企業がどれだけデザインを大切にしているかを知る指標として、組織図を見せてもらうことがある。組織図は企業の理念や方向性をとてもよく表す情報であり、トップの近くにデザインセクションがある場合は経営の中にデザインを必要としているなと感じるし、トップから離れて事業部の末端にある場合は、計画段階ではデザインの視点を取り入れていないのだろうな、と感じる。

     あまり知られていないかもしれませんが、宗一郎はデザインとデザイナーをとても大事にしていた。技術者には「技術だけじゃダメだ。デザイナーになれ」とよく言っていました。

  • OSOROやNESTAの事例があって、デザイン思考の実際の過程が詳しく書かれていてよかった。
    後半のデザインマネジメントやコラムも参考になり、為になる1冊だった

  • いわゆるデザインシンキングやその周りについて語っている本。今となっては割と知っていることばかりではあるが、これが2014年時点で、ここまで語られていたのはすごいな、と。デザインシンキングやそれに類するものはわずかでも勉強してきているが、ちゃんと本質が語られているように感じる。若干全体が長いが、ちゃんとつながっているので、読みやすい。

    イノベーションは「想い」から生まれる、の一言はある意味衝撃。自動化やGD活用などで効率化は進んでいくけど、そこから「イノベーション」は生まれない。
    ブランドとは、「信頼できるデザイン」とか信頼感とかっていうのは納得感があるな。
    アンラーニング(忘却とも書かれている)は初めて聞く言葉だったけど、今の知識にとらわれないように、一旦忘れる、という意味であれば、よく言われることではある。わかっていてもなかなかできないが。。 考えるときにまず何を忘れるか、って言われてみると、やっているかも。一旦コストは忘れて、とか。

  • 構成に若干わかりにくい部分もあったけど、基本がわかってよかった。

    デザインマネジメントって、目的をより一歩抽象化して、事業の本質を振り返るということだと理解。

    ついつい、今まで積み上げてきた手段とかこだわってしまうけれど、
    例えば、鳴海食器ならば、高級ボーンチャイナで…ではなく、食器を通じて価値を提供、幸せを提供、もっというと、食卓に笑顔を、みたいな。

    そういう本質的な部分を確認してから、自分の会社・持てる資源を再確認して、積み上げていく…という理解。
    ちょっと違うかもしれないけど。

    議論は、今をベースにするとちょっと拡散しがちだから、こうした本質から積み上げていく習慣を大事にしたいと思う。

    そして、本質が共有できたら、「つくる」部門だけでなく「売る」とか「宣伝する」でも、同じコンセプトでやること。

  • デザインマネジメント
    [ ]ひな形は便利だが、企画業務は全て違う内容やプロセスであるべきだ。なぜなら独自の提案に二番煎じはないからだ。
    [ ]一般的データの分析からは感動を与えることができない。なぜなら同じ情報源に頼っており横並びになりがちだから。
    [ ]情報分析ではなく多様化した世界を最適化する総合力
    [ ]本来新商品とは企業が持続可能な活動を行うための手段
    [ ]そのゴールがどこにあるかはスタート時点てはわからない。結果的にゴールしていたりする。革新的な発明とはそういうものだ。
    [ ]デザイナーの役割は表層的な色や形を決めるオペレーターではない。
    [ ]計画とは将来への意志であり、現在から飛躍し、無理があり、現実不可能に見えるものでなくてはならない。現在の延長上にあり、合理的で現実可能な計画はむしろ予定と呼ぶべきだ。
    [ ]発明は世に出た時点で成否よ判断は下せない
    [ ]wow!
    [ ]ダニエルピンク ハイコンセプト
    [ ]ユーザー接点を人任せにしてはならない
    [ ]既存のやり方を忘却しつつ借用はするしたたかさ
    [ ]確信を得るために調査はある
    [ ]ロジック、センス、ラブ
    [ ]物語はストーリーとナラティブに訳し分けることができる。
    [ ]未完成によるものづくりはナラティブをつくるうえでも有効で、市場投入後のトレース、改良が必然になるし、多くの人が参画したものづくりはブランド作りにも役立つ
    2014/10/29 20:48:33

  • デザインマネジメント

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著者プロフィール



「2015年 『オトナがますます育つ「考え方」の絵本 カフェオレからはじまるイノベーション 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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