自動運転 ライフスタイルから電気自動車まで、すべてを変える破壊的イノベーション

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822273965

作品紹介・あらすじ

「見たこともない未来」がやってくる。交通事故や渋滞は激減、駐車場は消え、人はクルマを買わなくなる。無人電気タクシーが人々の欠かせない足となり、無人トラックが物流を担う。自動運転というたった一つの技術が、そんな未来への扉を開く。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに引かれて古本を購入したが2014年に執筆された本であり内容が古いと感じる。
    特に自動運転の分野は開発スピードが早いので最新情報を得るにはもう少し新しい本を読んだ方がいい。
    また、既存の延長線上で考えてはいけないという提言とは反対に、この本の中で語られる自動運転でできることは非常に既存の延長線上でしか無いと感じる。
    こういった本を読みながら読者自信が既存から脱却した新しい未来を予測する必要があると感じる。

  • 自動車を個人タクシーとして使われるという着眼点が面白かった。でも現実的には実現はまだまだ遠い未来。
    トラックでの配送を無人にし、目的地に着いたら取りに来るシステムはなるほどと思った。

  • 2017.07.25 「自動運転」で検索、予約
    2017.08.02 借りる

  • 自動運転が破壊的イノベーションであることを物語にしている。読んだ時点(2017/3/31)では、ちょっと古い本だが、書いてあることは至極まっとう。シナリオ予測本なので、技術一つ一つの考え方が100%あっているわけではないが、総論として、自動車産業がやばいということで、異論はない。深みのある本ではないが、重要なことを言っている。

    自動運転だから、EVが来る!、ということ。電動化が進展するのは規制ではなく、エンドユーザーのニーズにあるのだ。ロジックとしては、自動運転車=ロボタクシー/自動配車シェアカーなので、車という移動体を所有するのは個人ではなく、サービサーになる。となると運用ががらっと変わる。100kmごとにエネルギーチャージでも問題ないし、何よりランニングコストが安く、結果、ユーザーは移動コストをかなり抑えられる。1kmあたりの移動コストを自家用車とロボタクシーで比較すると、内燃機関で91円、22.6円、EVで99円、12.6円、燃料費は内燃機関で15円、EVで3円。車両価格はEVが内燃機関(250万円)の1.5倍で見積もっている。試算の前提で数字は動くので何とも言えないが、確かなのは自動運転車にするとEVはすごく低コストになるということ。

    もうひとつ重要なことがある。自動運転車と人間のコミュニケーションのこと。インフラとはいくらでもコミュニケーションできるが、人間とのコミュニケーション法は今のところ決定的でない。ここは面白いかも。

  • 基礎知識を得るために読む。
    EVと電池と自動タクシーへの想い入れが強すぎる。最終レベルの先の解説が多い。
    個人ユースでのインパクトへの解説で占める。配送・輸送トラック、バスはどうなるのか?
    他の情報源を探ってみたい。

  • ・日産自動車は、2016年から2020年にかけて段階的に、自動運転技術を導入することを2014年7月に表明した。この計画によると、2020年には高速道路、一般道路を含めて人間の操作がほぼ不要な自動運転が実現する見通しだ。世界で最も自動運転の技術が進んでいると言われている米グーグル社は、すでにステアリングもアクセルもブレーキもない実験車両を試作し、テスト走行を始めている。自動運転の技術は遠い夢物語ではなく、近い将来の現実の世界の話なのである。

    ・①交通事故の激減、②交通渋滞の解消、③電気自動車の普及によるCO2排出量の大幅な減少、④少子高齢化社会への対応、⑤物流コストの大幅な低減と人手不足への対応、⑥駐車場の多くが不要になることによる土地利用の効率化、⑦緊急時、災害時の対応の迅速化

    ・冒頭で述べたようにクルマが所有するものではなく、必要なときに呼び出して利用するものになるということだ。自動運転の時代には、運転手のいない「無人タクシー」が個人にとって一般的な移動手段になるだろう。この結果として、クルマは個人の持ち物ではなく、サービス提供会社が保有するケースが多くなり、その稼働率は桁違いに上がる。この大きな変化によって、クルマに求められる要件が大きく変わる

    ・EVの航続距離が短いといっても、日本の自家用車の平均的な使い方では、航続距離が100キロあれば通常の使い方の8割、150キロあれば9割をカバーできると言われている。一方で、国内で最も販売台数の多いEVである日産「リーフ」の航続距離はC08モードで228キロ。

    ・駐車場に関しても、自動運転技術は大きなメリットをもたらすだろう。所有から利用へという動きが進むにつれて、次第に駐車場の需要は減る。無人タクシーが自動車利用の主流になれば、利用者をある地点からある地点へ運んだクルマは、また次の利用者の待つ地点へと移動するので、基本的に駐車場は必要ない

    ・こうして、ショッピングモールやホテル、デパートなどの商業施設はもちろん、マンションや一戸建て住宅にも駐車場を設けなくてよくなれば、同じ敷地内にもっと広い店舗、もっと広い住宅を構えることが可能になる。土地の有効利用という点でも、自動運転技術は社会に大きな影響を与えることになる。

    ・ユーザーが行先を告げると、その近くにある店やレストランなどをユーザーに知らせてくれる。ユーザーが望めばそれらの場所に実際に連れて行ってくれ、運賃はタダになるというサービスだ。こうしたフリーカーは、店にとってみれば新規の顧客を確実に連れてきてくれる頼もしいツールになるだろう。

    ・もし、自動運転のOSが無料で提供されれば、完成車メーカーにとっては大きな魅力となる。自動運転の実現には、ソフトウェアの開発が鍵となるからだ。今後10年間に、完成車メーカーが自動運転車用のソフトウェアの開発のために投資する金額は膨大なものになるはずだ。さまざまな交通状況で適切な判断ができるシステムの開発はもちろんのこと、システムの耐久性と信頼性を確保するためにも、大規模な公道実験が必要となる

    ・一方、グーグル社にとっても、同社の自動運転OSを組み込んだクルマを社会に普及させることには大きな意味がある。自動運転車向けの広告サービスが実現すれば、「利用者は実際に連れてくる」という、これまでのインターネット広告よりはるかに強力な広告手段を手に入れることになるからだ

    ・カープレイは簡単に言えばiPhoneをクルマの中で安全に使うためのソフトで、カープレイに対応したカーナビをクルマが搭載していれば、iPhoneの地図アプリのナビゲーション機能や音声通話、メッセージの読み上げ、音楽再生などの機能を、カーナビの画面で操作したり、iPhoneの音声認識機能で利用することができる

    ・クルマには前後の区別がなく、狭い路地で来た道を戻らなければならない場合もUターンの必要がない

    ・①消費者のクルマを見る目がさらに厳しくなる、②車両の価格よりも燃費や耐久性が重要になる、③車体の軽量化のために高度な技術が必要になる、④クルマが現在よりも多様化し、多品種少量化が進むうえ、カスタマイズすることが当たり前になる

    ・ところが、自動運転車の普及で無人タクシーを利用することが増えると、一般の消費者でも、さまざまなメーカーの車種に乗る機会が増える。たとえば同じミニバンでも違う車種をいろいろ試してみることもできるようになる。つまり、自動車評論家でない一般消費者でも、使い勝手を比べる機会が出てくるということだ。一般の消費者の、クルマを見る目はますます肥えていくだろう。そうであれば、クルマはコモディティかするどころか、消費者が車両をチェックする目がますます厳しくなるのに対して、メーカー間の競争は増すことになる

    ・感性品質で、新興国のメーカーが先進国のメーカーに追いつくのは容易ではない。たとえば自動運転の時代になっても、単にコストだけの勝負ということにはならないはずだ。逆に言えば、自動運転の時代になってもこうした「人間の感性に合ったクルマづくり」は、依然として競争力を大きく左右する要素であり、人間はいかに理解するかという研究開発がますます重要になるだろう

    ・スタンフォード大学とカーネギーメロン大学は、世界の自動運転技術開発の中心となっており、日産に限らず、世界の完成車メーカーが、両大学との関係強化に躍起になっているところだ

    ・移動しながら周囲の3次元地図をリアルタイムで生成するのに、どれだけ精度を上げられるか。そのことが自車両の位置を推定する精度に直結するため、完成車メーカー、部品メーカー、各社とも独自の手法の工夫に余念がない。ただ、いくら推定手法の精度を高めても、例えば道路の凹凸などで、推定精度が狂ってしまうため、瞬間瞬間に生じる誤差が積み重なれば、大きな誤差になってしまう。このため、自車両の位置の推定にSLAM以外の手法も組み合わせている

    ・スズキはまだレーダーブレーキサポートの装着率を公開していないが、スズキより一足先に約5万円でレーザーレーダー+ESCをセットにした「スマートアシスト」を軽乗用車のムーブに設定したダイハツ工業は、発売当初半年の装着率が6割程度に上ったことを発表している。軽自動車でも自動ブレーキの装着率が半分を超え始めた。

    ・ただし、レーザーは光であるため、空気中やちりや水分などで拡散されやすい。雨や雪が降っている時などには、この傾向が顕著になる。このためレーザーで検知できる距離はせいぜい50メートル程度。レーザーでの自動ブレーキは速度領域が時速30キロとなっている。これに対してミリ波は、レーザーよりも到達する距離が長いので、より遠くの物体を検出することができる。レーダーの出力にもよるのだが、150~250メートル先の物体を検知し、距離を測定することが可能である。このためミリ波レーダーを使った自動ブレーキは、より高い速度領域まで動作させることができる

    ・難点が二つ。基本的に金属の物体しか検出できず歩行者が難しい。コストが高い。76ギガヘルツという非常に高い周波数を送受信する回路に、化合物半導体という高コストの半導体を使うため。日本電産エレシスは、歩行者からのわずかな反射波をとらえるミリ波レーダーを開発。2013年6月発売のVWゴルフには、ミリ波レーダーを全車に標準装備しているが、ゴルフにミリ波レーダーを供給するボッシュによれば、レーダー単体のVWに納める価格は1万3700円を切っている

    ・マツダは、低速域での自動ブレーキは非スキャン方式のレーザー、ACCはミリ波、車線からの逸脱はカメラで実施

    ・画像センサーで得られたデータを「解釈する」必要がある

    ・日産がSUVのエクストレイル、ミニバンのセレナなどの車種に、モービルアイの技術を使い始めている

    ・ホンダの実用化している、「スマート。パーキング・アシスト」という機能は、駐車場の空きスペースをカメラで自動認識し、バック駐車や縦列駐車をする場合のステアリングを自動化した機能。ブレーキを踏む必要がないのが、日立グループのクラリオンが日立オートモティブシステムズや日立製作所と駐車システムを開発した

    ・人間の運転するクルマなら、子供に手ぶり身振りで「わたりなさい」という意思を伝えることができる。ところが、現在の自動運転のクルマは、こうした意図を歩行者に伝える手段を用意していない。渋滞した道路では、並んだ車列に割り込まなければならないケースも出てくるが、人間の運転するクルマなら、手を振ったり、会釈をしたりして、何とか入れてもらえばが、ところが機械が運転するクルマでは、安全な空間が確保されないと、なかなか車列に入れないというケースもでてくる

    ・一般道路での自動運転が実用化されても、当面は走行できる道路が限定されることになるだろう。具体的には、クルマに乗り込み、カーナビと同様に、自動運転システムにボタン操作や音声で目的地を入力すると、目的地までの道順の中で、自動運転可能な区間が示され、これをドライバーが認識して、誘導開始のスイッチを押すというイメージになる

    ・2014年2月のスカイラインで、ステアリングと車輪が機械的につながっていない「ステア・バイ・ワイヤ」と呼ぶシステムを世界で初めて実用化した。ステアリングの動きをセンサーで検知し、モーターでタイヤを動かしている

  • 前半は「自動運転のことについて、ここまで考えてますよ、こんなに知ってますよ」という自慢のような印象を受けました。

    後半は、現在の技術レベル、今後解決していくべき技術的な課題に焦点が当てられていました。

    こういう本を読むと、「人間(ヒト)という生物(システム)は本当にうまくできているなあ」と、思いますね。

    ただ、この本に関していえば、自動運転の前にクリアすべき課題(社会的な課題)についてはほとんど触れておらず、あまりに自動運転に特化しすぎていて、ちょっぴり物足りないかな。

  •  自動運転が実現した社会の未来絵図と実現までに越えなければならないハードルを分かりやすく解説。首都圏すでに車を持たない人が増えているけど、もっと根本的に車の利用形態が変わりそう。交通機関だけじゃなくて、駅近なんてこともあまり重要じゃなくなるから、不動産のあり方なんかも変えちゃうんじゃないかな。
     著者は車のコモディティ化を否定してたけど、どうなんだろう? 生産面でのモジュール化がこれから進んでくると、モジュールごとに各社の製品から選んで、好みの車を作るなんて時代がきてもおかしくなさそう。まあ、カメラの世界では、デジカメの時代になってもそれがあまり進んでいるとは言えないから、そう簡単な話ではないんだろうけど。。。

  • あと15年ほどで自動車の自動運転が実現し、それにより交通事故の激減と自動車を所有しなくなるスタイルが生まれるという内容。
    技術的な実現性や時期についてはわからないが、自動運転の実現が産業構造を大きく変えるという洞察は興味深い。その他、「今の時代の価値の最上位の源泉は、コンセプトの立案である」は同感。

  • 「自動運転」のタクシーが、現実のものになるのに、もうすぐだという。にわかには、信じられない。
    この本は、未来を予言しているのではなく、日本を元気にするために目指すべき姿を表したものだという。
    アーノルド・シュワルツェネッガーの、「トータル・リコール」を思い出した。

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