あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ (日経WOMANの本)

制作 : 村木 厚子 
  • 日経BP
4.21
  • (72)
  • (62)
  • (30)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 406
感想 : 88
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822268145

作品紹介・あらすじ

「働く女性の希望の星」から一転、逮捕・164日間の勾留-。極限状態でも決して屈しなかったのはなぜか。その秘密が半生とともに今明かされる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 発売当初から気になっていて、しばらく忘れていたところ、前の職場の同僚から勧められて思い出し、その日のうちに購入。

    著者の村木さんは、厚生労働省の官僚として「普通の人」のロールモデルになりたい」と思いながら働いてきたにも関わらず、凛の会事件で逮捕・拘留されてしまう。のちに無罪が確定し、内閣府の政策統括官(共生社会担当)として職場復帰。現在は仕事の傍ら、雑誌に寄稿したり、拘留中に読んだたくさんの本を紹介したりしている。
    この本には、そんな著者の人生の軌跡と、そのなかで著者が気づいたこと、後輩たちへのメッセージが、優しい語り口でたくさんちりばめられている。

    自分が同じ業界で生きていているということもあり、書かれていることが真実味を持って迫ってきて、本当にたくさんの言葉が胸に染み込んだ。

    3年目に突入し、自分の仕事の出来なさに絶望し、私はこれからやっていけるのかと悩んでいた私に、「あきらめない、もう少し頑張ってみます!」と思わせてくれた、本当に元気の出る本でした。

    村木さん、ありがとう。

    以下に、私の心に特に染み込んだ言葉を記します。これでも足りないくらいだけれど。

    「やりたい仕事、やりがいがある仕事だからこそ、工夫もするし、頑張れる。頑張れるから実績も残せる。そんな役に立つ人材は会社も手放したくないから、待遇を考えてくれる。」(p87)

    「でも、ポストが上がるということはそういうことなのかなと思います。そして仕事はいつも『ちょっと間に合ってないな』と思いながら続けていくもののような気がするのです。」
    (pp104~105)

    「大ヒット商品を開発するとか、新しいことにチャレンジし続けるとか、いつも攻めの姿勢でいるとか、もちろん、それができたら素晴らしいのですが、私自身はそんな風にはなかなかできていません。普通に着実にそれぞれのポストをこなしていくだけ。それでも十分に階段を上っていけると思います。」(p253)

    どんなに間に合っていない、だめだと思っても、着実に目の前の仕事に取り組もう。そして、必要とされる職員になりたい。一歩一歩、前へ。

  • 手の届きそうな存在として働く女性の平凡なロールモデルになる、という村木さんの姿勢は、郵便不正事件という冤罪により多くの目に触れるようになった。私も村木さんが書いた『答案』に励まされたひとり。すぐに解決できないことも諦めないでいるといつか修正できる、一晩寝ると辛さが和らぐ、仕事の最終形をみる重要性、個人の仕事の射程距離、問題の共有化のための言語化の重要性、初めての仕事も自分の得意分野から実績を作っていくこと…等村木さんが自然体で築き上げてきた人生観、特に家族は一つのチームである、という考え方がとても好きだ。

    郵便不正事件についての経緯は知っていたが、冤罪事件に巻き込まれる前、村木さんがどのようなキャリアを築き、どのような生活をしてきたのか知らなかった。しかし、村木さんの人生全てがとても興味深く、素敵な人だとわかった。拘置所での生活も、購入した商品がどこのメーカーか気になったり、刑務官の観察をしていたり、とてもユーモアがあり、軸がぶれないしなやかな人だ。お茶汲み論争の言及やセクハラ研究会の立ち上げの経緯に関する文章も、価値の異なるステークホルダーの意見をまとめてきたキャリアがあってこそ書ける表現ぶりで素敵。

  • 生い立ち、逮捕から無罪までの経緯が分かりやすく記述されている。巻末の読書リストは参考になる。

  • 郵便不正事件で冤罪で逮捕・起訴されたが、後に無罪判決が出て、厚生労働事務次官を務めることになる厚生労働官僚の村木厚子氏の自伝。
    「普通」の人のロールモデルになりたいという思いで生きてこられた村木氏の等身大の姿を感じることができた。リーダーシップの取り方はいつも「迷い中」というエピソードに表れているように、決してスーパーマンではないが、強い心を持ち、人を引き付ける魅力をもった女性であるということが伝わってきた。郵便不正事件での冤罪逮捕・起訴を乗り越えられたのも、本人の気持ちの強さとともに、家族をはじめとする人のつながりに支えられていたからだと感じた。人のつながりは本当に大事である。
    どうしようもないときは「一晩寝る」、仕事は製品=最終形がどういうものでどう使われているのかをみると、理解が深まる、物事をよく理解しようと思ったら、人に教えるのが一番良い、仕事は「広く浅く、時々深く」で仕事の射程圏内を広げる、公務員の仕事はある意味、翻訳の仕事など、村木氏の仕事に対する考え方やエピソードは、自分にとって参考になることが多かった。
    結婚についてのエピソードも面白かった。村木氏は、職場の同期の方と結婚されたのだが、ずっと「年をとってもこの人が茶飲み友達だったらいいな」と思っていたそうである。また、結婚の決め手として、「この人とご飯を食べると、食欲が落ちない」「この人と歩くと、急がなくていい」を挙げ、些細なことが、結婚相手選びには大切なのかもしれないと振り返っている。こういう、結婚の仕方もいいなと思えた。家事をするのは「早く帰ったほう」という村木家のルールも合理的だと思った。
    また、村木氏が拘留されている間、支えになった言葉として「一日一生」が挙げられていたが、これはもともと私の座右の銘であったので、改めて良い言葉だなと感じた。

  • 郵便不正事件に巻き込まれた村木厚子氏の自叙伝。事件については後半に出てくるが、彼女の生い立ち、仕事ぶりのほうが印象的。普通の人のロールモデルに、との思いで執筆したようだが、真似できないくらい努力され、苦労されたことが分かる。そして、人柄が滲み出て裁判のときに周囲の多くの人が支援してくれたのが分かる。

  • 「いつなんどき、何が起こるか分からない。でも、あきらめずに自分なりの答えを一生懸命書いてみる。そうすれば、きっと乗り越えられる。失敗はもちろんあるけれど、あきらめなければいつかリカバリーはできる。だから、今、悩んでいても大丈夫。」
    尊敬する村木さんの言葉。励まされ、心に染みました。

  • 良い本でした。村木さんの人柄が伝わる文章。あの事件の内実はそうだったのか、と。
    しかし、こんだけ頑張ってようやく仕事と子育てが両立するという環境なんだな、日本は。ちょっとずつ良くなってはいるが、こういう問題って根強い。
    冤罪についても同じ。たまたま支援者や弁護士に恵まれて、自身に教養とガッツがあって、経済力もある、そういう人じゃないと闘うことすら不可能。検事の職業病、笑い話にもならん。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そういう人じゃないと闘うことすら不可能。」
      そう思うとゾっとしますね。。。
      「そういう人じゃないと闘うことすら不可能。」
      そう思うとゾっとしますね。。。
      2012/10/16
  • 勉強になりました。拘置所に入っているときの生活や取り調べの様子など。たくさんの本を読んできた読書家の村木さんだから、調書の細かい言い回しなどにも気づけたんだろうな、と感じる部分がありました。ぜひ、いろんな方に読んでもらいたい本です。巻末の拘置中に読んだ本のリストも興味深く見ました。

  • 見に覚えの無い事で逮捕されて164日間の拘留と無罪判決が出るまでの心の動き、2人の娘を持ちながら働き続けた体験。普通の女性のロールモデルになることを目指していた村木さんの体験談

    架空の障碍者団体に証明書を出すよう指示したという罪で逮捕され、後に無罪判決が出た村木さん。
    直接ご存知の方ではないんだけど、早くから有志の支える会が立ち上がって、あの人がありえない!と支持する動きが高く、こんなに応援してもらえるのってただものじゃあないな。。と思っていました。

    読んでみていや~ホントにすごい人だな、でもスーパーマンって感じでもなくて、普通のしなやかで強い人という印象でした。

    前半は逮捕前の仕事の話でしたが、働く母として参考になる点が沢山ありました。
    村木さんは厚生労働省のキャリア、THE官僚、ですがお子さんいらっしゃるということで、住み込みの人がいるかご両親に頼っているのかなと思ったら、二人でやっていこうということで2人で子育てと仕事されていたと。
    今よりも制度が整っていない時代だろうに、やろうと思えばやれるんだな。。と。要は腹のくくり方なのよね~と思いました。

    また、管理職の視点での仕事の考え方も参考になる点が多いです。割と女性で活躍している人って、起業して社長として、という人は多いですが、こういうTHE組織の中でキャリアをつんで、組織の中で力をつけて組織で仕事をするという視点で成功しているモデルケースが割りとでてこない。
    その点でこの本はとても参考になりました。
    別の女性じゃなくても、男性としても参考になるモデルじゃないかな。

    後半は逮捕、拘留されてからの心の動き。これが淡々と描かれいますが、個人の怒りではなくどこか客観的な視点が入っていて、きちんとまとめられているところに村木さんの人柄と力を感じました。

    仕事の状況からいって、省全体でこれはありえない、という状況が検察側のストーリーとしてあらかじめ作られていて、それに沿って動いていた。。。
    検察とのやり取りもかかれていましたが、彼らがストーリーを作り、そこからが交渉なんだ。。。

    私はそういう体験はないけれど、何となく近い事はわかります。
    なぜか大きな流れができてしまっていて、違う、と思っても、なーんとなくのみ込まれていってそれがいつの間にか正しいとなってしまう感覚。
    村木さんも、これは誰にでも起こり得ることだった、と書かれています。

    大阪地裁のモラルのなさ、ずさんで強引な取調べに対する怒りはあるけれど、プロとして仕事をしていればこのようなことにはならなかった。
    この事件は「議員案件だった」という検察のストーリーがまことしやかに伝わっていましたが、実際には議員本人には事情聴衆すら行われていなかった。
    特捜部にとっては「政治家を挙げる」が一番の勲章、できれば政治家をそれがムリなら高級官僚を、という功名心が起こした出来事ではないか。
    悪を暴いて罪を罰するという正義感の一方で、巨悪に切り込む事で名を挙げたい、大きな実績を作りたいという思いが大きくなっている。
    マスコミもそれと同じ。

    でもこれはどんな組織でもある。
    評価をあげたい、これぐらいいいだろうというほんの少しの油断や見栄、。そしてこれが外からのチェックがきかないとなると、これがどんどん増幅して歯止めが利かなくなる。
    これは個人のモラルに頼るのではなく、組織の仕組みとしてどこかで止められるようなシステムを作らなくてはならないと思う。
    人間は誰でも「欲」に負けることがある、ラクをしていたい、あるいは名を挙げたいという誘惑に負けることもあるのだから。

    ここまでの体験をしたことはないけれど、リアルにわかる感覚だったりもします。

    そしてこんな体験をしても乗り越えられたのは、周りの人に支えられたから、と村木さんは書かれているけれど、それは村木さんが築いてきたものなので、ご本人の力そのものですね。
    ご主人と2人の娘さんの手記も入っているのですが、それもとても良かったです。

    私にはあまり「この人をロールモデルにしたい!」という方が今のところあまりいなかったりするのですが、実際にあった方でなくてもこういう本を通じて体験をシェアすることもできるのだなーと思いました。
    読んでみてよかった1冊となりました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それは村木さんが築いてきたものなので」
      人って正しいコトをすれば、ちゃんと手が差し伸べられるんだ。。。肝に銘じよう!
      「大阪地裁のモラル」...
      「それは村木さんが築いてきたものなので」
      人って正しいコトをすれば、ちゃんと手が差し伸べられるんだ。。。肝に銘じよう!
      「大阪地裁のモラル」
      ミスや失敗を防ぐための「失敗学」はあるけれど、このような「偽り」を防止する手立てを考えなきゃ(あって機能すれが冤罪が防げる)。
      2012/12/20
  • 日経WOMANから。
    「一日一生」と一緒に購入しました。
    どんな方なのか気になって。

    とてもポジティブで素敵な方だなぁと思いました(*^-^*)
    家族の関係が凄く憧れ。
    家庭面でも、仕事面でも、素敵なアドバイスを頂ける本でした。
    そして読書家なだけあって、文章が大変読みやすい。

    自分にも、社内でロールモデルがいないので不安な毎日ですが、
    少しずつ頑張っていこうと元気をもらいました♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「とてもポジティブで素敵な方だなぁと」
      芯が通っているから、でっち上げ容疑にも屈せず無罪を勝ち取りましたね。本当に素晴しい方ですね!
      「とてもポジティブで素敵な方だなぁと」
      芯が通っているから、でっち上げ容疑にも屈せず無罪を勝ち取りましたね。本当に素晴しい方ですね!
      2012/12/10
全88件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×