- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822258917
作品紹介・あらすじ
日本一有名なデータサイエンティストが分析組織の全貌を初公開!
社内の「便利屋」が最強のチームになるまでの挫折と成功の軌跡
日経情報ストラテジーが選ぶ「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」の初代受賞者である、 大阪ガスの河本薫氏による待望の2冊目となる本。
同氏が所長を務めるデータ分析組織「ビジネスアナリシスセンター」の生い立ちから数々の失敗、乗り越えてきた壁、そして分析組織のリーダーに求められる信念と行動を初告白します。
社内外の誰からも注目されていなかった無名のチームが、いかにして日本一有名なデータ分析組織に生まれ変われたのか。
チームを率いる著者がこれまで語ることがなかった苦悩や挫折、そして、ある日突然有名になってからの状況の変化などを、余すところなく赤裸々につづった一冊です。
データサイエンティストを目指す人はもちろんのこと、社内でデータ分析組織に携わる人や、これから同じような組織を作りたい人、イノベーションや業務改革を成功させたい人には必読書といえます。
本書はデータ分析の手法の紹介にはフォーカスしていません。
なぜなら著者は「データ分析は業務改革やイノベーションを実現するための手段の1つに過ぎない」と考えているからです。
むしろ、チームのメンバーとデータ分析でイノベーションを起こすという「ミッション」を共有し、問題を解くことではなく会社に役立つことに価値を置く「カルチャー」を育み、社内の事業部門から「信頼(レピュテーション)」を勝ち取ってイノベーションを達成することがデータ分析組織の役割であり、責任範囲であるという持論を展開します。
そのために必要なノウハウや社内での話の進め方、人の巻き込み方などの経験談をふんだんに盛り込みました。
感想・レビュー・書評
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チームビルディングや仕事に対する姿勢がとても刺激になった。自分や組織ではなく会社を主語にして物事を考える、手段に固執してビジネスに貢献するという目的を見失わない、メンバーのモチベーションに対するアプローチの例等、ヒントをたくさんいただいた。
個人的には便利屋にならないというのが1番響いたかも…
フォーワード型分析者:見つける力、解く力、使わせる力
3つのモチベーション:挑戦するモチベーション(やりたい、やるべき、やれるの合致)、壁を乗り越えるモチベーション、継続するモチベーション詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「最強のデータ分析組織」
河本薫氏
大阪ガスの分析チームの物語。
知るひとは知っている分析で著名な会社。
河本さんの人柄が文章に現れている印象でした。
分析に対する信念の強さ、そして目的への執着がみてとれます。
データ分析を志す組織ならば、一読の価値ありです。
使ってもらう、そうデータ分析結果を利用する側の視点を大切にすること。
それを念頭に入り口と出口を作ること。
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データサイエンティストオブ・ザ・イヤー初代受賞者が語る企業内データ分析チームの作り方。ミッションは現状のプロセスの一部を否定する業務改革であって現状のプロセスを肯定した上で工夫を積み重ねる業務改善ではないと宣言。データアナリシス、データエンジニアリングである「解く力」だけではなくデータ分析で解決できる課題を「見つける力」そして現場に業務改革を行わせる「使わせる力」が重要との言説を繰り返して強調してます。少しでも関係しそうな所には根回しするなど日本の伝統的な会社でデータ分析チームを立ち上げるコツが満載ですが、データ分析者とビジネス側の協調関係は日本の伝統的な会社ではなくてもこうあるべき思うところは多々あり、とても勉強になりました。
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地に足がついており、現場感のある良書。ハウツー本と言うより経験談が多い。端的に言うと、見つける、解く、使わせるとい単なる分析でない業務改革とそれを実現するための人材育成、社内リレーション構築について書かれている
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⚫︎「最強のデータ分析”組織”」とある通り、新組織の創設から18年に亘る試行錯誤が臨場感を持って綴られている。特に、人を育てること、モチベーションの維持など、人材育成に対する並々ならぬ情熱と責任感を感じた。”おわり”にも、「人を残す人になりたい」と書いている。
⚫︎また、手段(AIやビッグデータ等)に飛びつくことをイノベーションでなく、イミテーションと戒める。思い当たる節がいくつかある。反省。
⚫︎最後に、社外との交流により発想や価値観が閉鎖的にならないようする重要性を説いている点に同意。是非行動したい。 -
社内のデータを分析する業務を、
ビジネスアナリシスセンターという「組織」に。
その過程や苦労がリアルに伝わってくる。
こういうと失礼かもしれないが、
著者が何か特別すごいことをしているわけではない。
チームマネジメントの王道を愚直に実践されている印象。
実際は、愚直に実践し続ける、
ということが「すごい」ことなんだけど。
本書を読んで一番強く感じたことは、
リーダーが社内外にアピールすることの大切さ。
このチームを有名にしたのは間違いなく著者であり、
それがチーム育成でとても重要なポイントに感じた。 -
著者のデータ分析者としての仕事の流儀がとても良く分かります。
分析するだけでは何の意味も持たず、それを現場でソリューションとして活用してもらわなくては意味がない。その為に「自分は何をして来たか」を書かれています。(これがそのまま「何をすべきか」ではない。答えを教えているわけではないと感じました。)
特に、社内スポンサーシップ制度については私自身の仕事経験から言ってもとても実感を持って学べました。
その他、データ分析におけるリーダーのあり方についても良く書かれています。 -
マーケティング部門の立ち上げ時を彷彿とさせる。
悪戦苦闘していたが、部署立ち上げの前に読んでいたら、多少、苦労が軽減できたかもしれない。
分析部門の立ち位置や、現実的にぶつかる問題などにも言及している。
なにより、これをIT主体じゃない会社が行ったことがすごいと思う。 -
現場業務を知らねば、
いくらデータという材料が豊富にあっても、
活用は難しい点がある。
という至極当然な結論を再認識させられた。
世にあるコンサルタントは皆、単純にトップダウンの提案だけでなく、現場と連携して全員の立場を勘案した提案ができれば理想だとは思う。(もちろんケースバイケースだが)
ともあれ、データを抑え、現場とも連携とれる部署、組織があるなら、外部コンサルタントは不要になる。
むしろ売れるノウハウになる。
視点を増やすだけでなく、協力者をえることで自然と視点は広がる。という点をもっと体感したい。 -
分析とは会社を主語にして現場に使われて役立つものであるという基本理念を説いた本。本当に目的なき・活用する工程まで設計できてない分析は多い。動物的に課題に反応して、オーダーがくるケースも多い。熟考不足。
ミッションに沿わないことは手を出さない。という意思が大事だと再確認できました。以下を意識していかに負け戦を避けるか。最初の判断が大事だと思います。
1.現場担当者の本気度が足りない
2.どれだけ頑張っても得られる効果が小さい
3.素晴らしい予測をしても行動できない
使われて・役立つ分析活動にするには、前提として担当者=使う人・現場の責任者と共同で目的とアウトプットを設計して納得していることが必要だと思います。その共同作業をいかに最初に行えるか。高度なファシリテーション能力が必要になると思います。
大阪ガスの場合は、スポンサーシップ制度を導入して、現場担当者がノーリスクで依頼=丸投げ・コミットしない状況を作らせない。予算を投じているからこそ、本気度もPJTへのコミット度も違う。そういうルール作りも必要だと思います。
「解く」までは進んでも、多くの場合は「使わせる」で止まるケースが多いと思います。その理由となる3つがわかりやすいです。
1.意思決定に役立たない
2.意思決定に役立つが使えない
3.意思決定に使えるのに現場に拒否される
2.に関して、結果責任と説明責任はトレードオフになっていること。精度を上げると予測ロジックがブラックボックス化して説明・解釈のしやすさが落ちる。説明責任を果たせない。この2つの責任を負う覚悟ができるか次第で使われるかは決まる。責任を果たす際にどちらを重視すべきかも、担当者次第なんだと思います(トレードオフなので両方一度に求められないので)
また、現場の方といかに心を開いて話しているか信頼を得ているかが使われるには大事。結局ミッションとかお題目とかルールとか強制力とかでは、その監視・強制力がなくなった瞬間に使われなくなるので、本質的に役立つことの理解促進とそれを実現するアウトプットが必要なんだと思います。そのためには、業務をまなび心を開く姿勢が大事だと思います。
あとはプロトタイプを作ってと価値に気づいてもらって納得の醸成すること。実際に使ってみないとだめなんだと思います。
さて、意思決定は選択肢が伴うので、選択肢が出せてない問題には分析は貢献しにくい。そもそもプロセス設計がされていない場合は意思決定ができない。業務設計の姿勢が大事だと思います。
最後に、納得できるストーリーとビジョンメイキング。そして、計画はリーダーの仕事。みんなで決めたら理想的だけれど、そこは独断のほうが良いんだと思います。リーダーは広告塔。リーダーが重しになってオーバーコミットしない。肝に命じようと思います。
全方向型のセンター型組織のあるべき姿。必ず現場にわたす。分析を持たないこと。