- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822257910
作品紹介・あらすじ
福島第1原発の廃炉に向けた巨大な工事現場の7年間を、日経の建設専門誌による取材記事と篠山紀信の写真で切り取った唯一無二の記録
未曽有の事故から7年。福島第1原発では何が行われてきたのか――。
日経の建設専門誌である「日経コンストラクション」「日経アーキテクチュア」は2011年から、東京電力やゼネコン(建設会社)、メーカーが福島第1原発で進める作業や工事の詳細を追い続けてきました。
毎日6000人が「廃炉」に向けて働く福島第1原発は、最新の建築・土木技術が集う巨大な工事現場です。
本書では、現場で陣頭指揮をとる技術者への綿密な取材と、写真家・篠山紀信が切り取った現場の光景を基に、試行錯誤をしながらも進む様々な工事の裏側を、詳細にリポートします。
建築・土木技術者はもちろん、電力会社やメーカーの技術者、日本のエネルギー政策に関心がある全ての方にとって、必読の書です。
【主な内容】
●福島第1原発の工事記録
・がれき撤去と燃料取り出し(1~4号機原子炉建屋カバー工事、無人がれき搬送)
・汚染水対策(凍土遮水壁、汚染水タンク、フェーシング、K排水路付け替え)
●篠山紀信が撮る福島第1原発と帰還困難区域(福島県双葉町)
【主な登場企業】
東京電力、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店、安藤ハザマ、熊谷組、西松建設、前田建設工業、戸田建設、東芝、日立GEニュークリア・エナジー、三菱重工業、IHIプラント建設…
感想・レビュー・書評
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「すごい」という言葉をタイトルに用いることに、当初は違和感があったという篠山紀信さん。タイトルありきで進んだ取材。
でも、写真を撮りながら「すごい」を連発する自身を振り返り、このタイトルに納得したと。
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いろんな「すごい」が載っています。
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わたしの脳裏には、無造作に置き去りにされたランドセルと、抜け殻の教室が焼き付きました。
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ありきたりだけど、今日目が覚めて、心臓が動いていて、かに玉とか食べたり、ぷよぷよができることに感謝です。
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そして、廃炉への闘いはまだまだこれからでしょう。
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2020/03/11
9年目の春に
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福島第1原発の廃炉に向けた巨大な工事現場の7年間を、日経の建設専門誌による取材記事と篠山紀信の写真で切り取った唯一無二の記録
未曽有の事故から7年。
福島第1原発では何が行われてきたのか――。
建築・土木技術者はもちろん、電力会社やメーカーの技術者、日本のエネルギー政策に関心がある全ての方にとって、必読の書。 -
福島原発がメディアで目に入るのは、ネガティブなニュースのみと言っても過言ではない2019年にこの本を読んでみた。出版は、2018年2月であり、事故から7年の軌跡が記事および篠山紀信氏の写真で綴られる。記事は日経らしく淡々と事実を特に技術的な側面を中心に描かれているので、被害者の感情や避難にまつわる話はあまり描かれていない。
読み方としては、この先何十年とかかる廃炉に向けて現場では何がなされてきたのかを事実として認識するのみだろう。原子力委員会と東電との地下水の凍結に関するやり取りには、記者の感情と意見が出ており、個人的には納得。
大勢の人が従事する現場では、金の話などグレーゾーンも多くありそうだが、綺麗事で済まされない現場とその中でも使命感を持って懸命に働く日本人がいる事も忘れないようにしたい。 -
福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組みの現場の息遣いが伝わってきた。途方もない数の課題を1つ1つクリアして前に進んでいかなければ廃炉はできない。そのために、危険と隣り合わせの作業に従事している人たち、英知を振り絞っている人たちがいるということを忘れてはいけないと思った。
一方で、発電所のまわりの立ち入り禁止区域の、時が止まったような街の写真と廃炉作業の現場の写真の対比にも、心が痛んだ。原発事故のために立ち入り禁止区域になり、その街を取り戻すために廃炉作業が行われているはずなのに、廃炉へのあまりに遠い道のりと徐々に日常の面影を失っていく街の間で、やはり取り返しのつかないものが失われてしまったのではないかと、感じざるを得なかった。
廃炉の作業は、この国の経済・産業の仕組みがもたらした一つの帰結であり、我々が向き合わなければいけない課題だと思う。継続的に見続けていかなければいけないことであり、その意味でも、改めて廃炉のプロセスに光を当てた本書は非常に意義深い本だと思う。