- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822257507
作品紹介・あらすじ
ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正氏、絶賛
「この物語は、生産方式の話ではない。
この会社は本気だ。
ひょっとしたら、今日の成功は明日の失敗になる。
昨日と同じことをやっていいのか。進化し続ける「現場」――。
それが、トヨタの本質だ。」
なぜ、トヨタが強いのか。
トヨタ自動車の製造現場を支える、「ジャスト・イン・タイム」「かんばん方式」「カイゼン」。
同社のモノ作りの強さを語るうえで、これらの言葉を切り離すことは、決してできない。
だが、これらの"手法論"ばかりに目を奪われていては、強さの「本質」を見誤る。
時代や競争環境、工場のある国やそこで働く人々の国籍が変わっても、決してトヨタの強さはぶれることがない。
「ジャスト・イン・タイム」や「カイゼン」が世界中で通用しているのは、
「自分で考え、動く」人間をトヨタが育ててきたからだ。
自分で課題を見つけ、考え、それを乗り越え、今日を否定し、より質の高いモノ作りを目指して、
たゆまず進化し続ける「現場」。こうした人々が、トヨタの強さの根幹をなしている。
そして進化する現場を育てる力こそ、同社が長い歴史の中で紡ぎ出した、最強のシステムなのである。
「最初から答えを与えてはいかん。考えさせる。考える作業者を作るんだ」(豊田英二)
「悪いのは作業者じゃない。働き方を教えていない管理者の方だ」(大野耐一)
「トヨタ生産方式とは、考える人間を作るシステムです」(米ケンタッキー工場幹部)
トヨタの現場は、ドリームチームではない。無名の選手が、それぞれのポジションで素早く動き、的確にパスを重ねる。
あくまでも連携に優れたチームだ。そのためには日々の鍛錬が必要だ。
感想・レビュー・書評
-
トヨタのものづくりについて学べる本です。
創業時の何もないところからビッグスリーを凌ぐまでカイゼンを継続し続けたトヨタの経営陣、現場、そして生調のメンバーの生き様に大いに学ぶことが出来ました。
是非一読をお勧めしたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トヨタの生産方式である「カンバン方式」の成り立ちを通して、トヨタを作り上げた指導者目線の思考を学んだ。
自ら考え、行動する。スターバックスでアルバイトをしている私にとって当たり前になってきているこの考え。この意識の大切さを改めて思い知らされた。それと共にトヨタの教育の現場に益々興味が湧いた。
その他にも、戦争や大災害を経験した当時の日本人と日本企業はどうやって逆境を乗り越えたのか。その要因も知れた。
また、この本に書かれていた指導者としての条件のうちの一つは既に私に備わっていると思う。現場と顧客の両方に共感し、寄り添った経営を目指していきたい。 -
第二次世界大戦後の復興から経済成長の過程で日本の製造業は世界市場を席巻した。しかし欧米諸国の反撃や新興国の台頭で家電製品、エレクトロニクス、医薬品、化学製品等々の日本企業の優位性は崩れてしまった。その中で、トヨタ自動車が世界最大の自動車会社の一つであり続けている理由がわかるドキュメンタリーであった。本書の最後のところで、アメリカのケンタッキーでトヨタの工場が地元の誇りと見られていることが語られている。トヨタ生産システムによってトヨタは一日本の企業ではなく世界のトヨタになっている。国内国外にかかわらず工場、協力会社、販売店で現場の人たちが自分で考えカイゼンを繰り返している組織であるからこそ、好不況の波や災害、米国でのリコールに対するバッシングにも耐えて成長を続けられているのだろう。
-
知っていることと、実践は全然違う。
トヨタ生産方式は有名だけど、それをやりきることがいかに難しいか。知っていれば出来るというものではない。
そして、トヨタの凄さは徹底的にカイゼンをやり抜くところにあるんだということを書いた本。 -
今年一番良かったし、納得できた。また、時間が経ったら、読み返したい。
-
もう一回読み直したい。
トヨタの考え方の根幹を知ることができてよかった。 -
意外の連続だった。
ふつう車メーカーの創業の物語といえば、まず造りたい理想のクルマ像というのがあって、それを実現していく話かと思ったら、創業者のジャスト・イン・タイムという生産方式のアイデアをいかに具現化していくかという物語だった。
しかもいまでは全能のように語られる生産方式も、確かにトヨタを強くはしたが、どん底から救い、かつその生産方式の礎にもなったのは、朝鮮戦争と不良トラックに激しくクレームをつけたアメリカ軍だったという事実。
そもそも現場での創意工夫や改善も、裏にあったのは怯えにも似た強烈な危機感だった。
いまではなかなかその危機感を共有することは難しいが、アメリカが本格的に日本で車を売りはじめたら、トヨタはつぶれるという恐れは、是が非でもトヨタ独自の生産方式を会社全体に根付かせなくてはならないという悲壮な使命感につながった。
しかしこの生産方式も、いかにも勤勉な日本人らしい発想から生まれたものだと誤解していたが、その実はむしろ欧米人の方が親和性が高いのではないかと感じるほどドライで、現状維持をよしとする日本社会の風土への挑戦であり、真面目な優等生タイプより要領のいい横着なタイプの方が発想しやすいという。
この本を読んでトヨタ生産方式なるものがわかった気になるのが、最大の錯覚だろう。
これでよしといった終わりのない不断の試行錯誤の繰り返しで、パターン化された公式は存在せず、解決策も現場と指導員の数だけ無数に存在する。
本書にもある通り、社内で幹部から直接研修を受けた従業員が、実際に工場でラインを見るまでは、その真の革命性を理解できなかったというのだから、本書を読んだだけでわかった気になるのがいかに愚かなことかわかるではないか。
その著者も、いわゆるトヨタ生産方式の亜流を見て「これは違う」などと書いていて落胆した。
カイゼンの生みの親である大野耐一のエピソードが強烈だ。
幹部でさえ大野が近づいてくるだけで足がすくみ膝の震えが止まらなかったという。
極めつけはしのぶ会での一件で、当時の現場での大野の姿がビデオ上映されただけで、それまで談笑していた会場の雰囲気が一変し凍りついたというのだから相当なものだ。
それほど厳しい大野を追い返すほどの反発が当時には存在していたが、現在はどうか?
「トヨタがつぶれる」という切迫した危機感が裏返しに使命感を強くしたが、その危機感は現在も共有されているか?
反発と危機感、実は欠かせない要素だ。 -
トヨタの創業からトヨタ生産方式が生まれるまでの歴史。
ジャストインタイムで中間在庫をなくし、標準作業時間を決めることで生産ラインの流れを改善するといったカイゼンの積み重ねで、生産全体のリードタイムを極限まで縮めていくやり方は、恥ずかしながら原価管理の発想だけから出てきたのだと考えていた。
この本で何度も触れられているが、生産ラインのワーカーが無駄な作業(生産)をしないこと求め、生産ラインのトラブルが発生した場合には現場で解決をするためにラインを止めるアンドンを用意するなど、ワーカーの環境を重視し、現場の力を最大限に生かすための方法だということがよく分かった。
また、トヨタ生産方式を実地で適用するためのさまざまな工夫と努力にも、一朝一夕で生まれたわけではないトヨタの強みを感じることができた。時間をかけて現場の信頼を得たうえで、現場の問題を協働で解決して行くことで、最終的にトヨタ生産方式の定着が実現するというのが、本当に現場に受け入れられる生産のあり方なのだということもよく分かった。