- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822256050
作品紹介・あらすじ
無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家ーー。
いずれも日々の生活でなじみのある企業であり、知名度の高いブランドだ。
これらの企業が、かつて同じグループに属していたことを、知らない世代が増えている。
これらはいずれも、堤清二という男が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していた。
小売業にとどまらず、クレジットカードや生命保険、損害保険などの金融業、ホテルやレジャー、食品メーカーまで、多様な事業を展開してきた。
一時はグループ約200社、売上高4兆円以上のコングロマリットを形成したセゾングループ。
かつてはスーパーを軸としたダイエーと並んで、二大流通グループとされていた。
2000年代、セゾングループは解体された。だがそれぞれの企業を見れば、堤が育てたセゾングループの価値がより鮮明に分かるはずだ。
例えば無印良品を展開する良品計画は、今では国内外で約900店を展開するグローバル企業に育っている。
ファミリーマートは海外約7000店を含む、約2万4000店の巨大チェーンに成長し、国内ではコンビニ業界2位となった。
現代の消費市場をリードするのは、米アマゾン・ドット・コムに代表されるIT企業だ。
インターネット通販やスマートフォンが爆発的に普及したことで、消費スタイルも根底から変わりつつある。
ものを所有しないシェア消費や個人間売買など、新たな流れが広がっている。
大きな変化が起こっているのは確かだが、人々の生活意識や買い物のスタイルがこれからどう変わっていくのかについては、企業も消費者も視界が晴れない。
そんな中で、堤とセゾングループがかつて持っていた特有のエネルギーを検証することは、未来の消費の行方を知る大きなヒントとなるはずだ。
新たな価値を生み出す発想力や、現状を否定してイノベーションを起こす柔軟性ーー。
閉塞感が漂う現代だからこそ、セゾングループのかつての哲学を掘り起こし、分析することに大きな意味がある。
感想・レビュー・書評
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私の青春時代、西友の中に普通に無印があって、一人暮らしを始めた私に母「無印でいいから必要なものを買いなさい」なんて言ってたっけ。今では国民の大多数が認めるライフスタイルブランドになっているけども。
無印にしてもロフトやパルコにしても、商品を通して国民のくらしを変容させるビジョンに共感するし、そこは軽井沢などをリゾート地にして中流階級の余暇を変えた堤康次郎にも通じているような気がします。
無印が最近調子いいみたいだけど、そういえば昔ダイエーの中に入ってたドムドムも最近話題になってきてるよなー。なんて気になってダイエーグループの現在も調べてみたらセゾンより全国に展開していたし(解体も半端ないけど)、セゾンの堤氏とダイエーの中内氏の思想なんかを比べてみるのも面白そう。
それにしても、強い哲学とビジョンを持ち、バイアスブレイクを意識し行き過ぎた資本主義や高級志向を疑い否定する堤氏のスタイル。現代においても必要になってくる姿勢を社員にも示してしたにもかかわらず、イエスマンは必ず発生したり、買収するしないゲームになったりで、やっぱり規模が大きくなると経営ってむずかしくなるよな...という諸行無常感を感じたりします。(今でも拡大し続けているイオンやファストリはホントすごい)セゾンは財務管理に問題があったのでは...という見方もある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
セゾングループを作った堤清二についての本。
弱小百貨店で、ラーメン百貨店と当時いわれていた赤字の西武百貨店を任せられながら、様々な文化的なコンセプトを発案し無印良品、、パルコ、ロフト、ファミリーマートとブランドを作り、セゾングループを成長させた。
だが、バブル崩壊と共に、セゾングループは解体していく。
何十年も前から「モノではなくコト」を優先していた先見性に驚く。
そのための、文化的なコンセプトの発案、それを現実にする推進力がすごい。
ただ、本文に記載さているように、自分の案が実現されてしまうと興味がなくなってしまう。なので企業としての採算の確保部分がどうしても甘くなる。
高度経済成長、バブルと皆が豊かになることが、世界が豊かになる事態にはとてもフィットしたやり方だが、経済成長がゆるくなると精緻な経営が企業の基礎体力維持のために必要になってくる。
アイデアを出しながらどんどん推進していく堤さんの帝国の中で、お目付け役の大番頭のように企業の屋台骨をしっかり安定させる人間がいればよかったのかなとも思う。
堤さんの権力が絶大すぎて忖度や根回しによる決断の遅れなど、大企業病的な性質も現れる。
どこの企業も成長期が終わり安定してくると陥る状態だろう。
百貨店が苦戦を強いられる中、今までの百貨店の歴史を振り返り、社会の変遷に対しての栄枯盛衰が分かる部分も面白かった。 -
部長からいただいた。
抗生剤のせいで、頭がぼーっとすることもあり、思ったより時間がかかったけど、これはたしかに色々と歴史の教訓が見つかりそうな会社だ。
・反体制
・自己矛盾
・理想主義(文化の発信)
・効率性一辺倒ではない、人間重視の世界観
・先見性、優れた構想力
・事業管理への関心の低さ(事業立ち上げに比重)
・ゆるい規律(ファミマとセブン)
・オーナー一族
・不動産投資、大型開発(結果的にこれがとどめ)
・多様な事業会社
・専門店に生き続けるセゾンDNA
・次世代経営者がたくさん育った(忘れてはならない堤の足跡by著者)
・努力を重ねた人
・裸の王様は避けられず(監査を活用してください) -
西武百貨店 対 無印、パルコ、ファミマ、ロフト。
軸を育てて、自己否定をするような対軸も育てる。結果、両方とも存在感を増す。
すごいとしか言えない発想。
ダイエーの中内功を書いた「カリスマ」と対比して読みたい。 -
堤清二が作り上げたセゾングループ。
最終的に収益化に成功し、帝国を反映させることはできなかったものの、時代の最先端を直走り、今でも残る企業を複数立ち上げたとんでもないグループ。
西武百貨店を皮切りに、西友、ロフト、無印良品、ファミリーマート、クレディセゾンと、今でも別法人の傘下で日本を支える企業が多数ある。
吉野家も一時、この傘下にあり当時のこのグループの実力には脱帽の思い。
このグループを率いた堤清二。彼の数奇な運命はメディアの格好の餌食ではありながらも、根本にあるのは反体制。常に自らに対するアンチテーゼを探しながら、新しいものを作り出し続ける。
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1.地方ではあまりみませんが、東京にいけば必ず見ると言って良いほどの有名会社のことなので、なんとなく面白そうと思って買いました。
2.セゾングループを一から作り上げ、日本を代表する企業に成長させた堤清二社長の経営者としての道のりを記しています。現代の小売業はセブンとイオンの二強ですが、セゾンとの違いは、専門店を新しく生み出していないことです。2つ企業は、自社内でいかに大きくしていくかと言うスタンスです。しかし、セゾンは堤社長が部下にアイデアを投げ、それを具現化し、専門店として成長させていくスタンスです。この違いは組織風土の形成に大きな役割を与えています。いわゆる大企業病を撤廃し、常に斬新なアイデアとフットワークの軽い企業を維持したかったのだと思ってます。一般的な大企業の社長とは考えが違い、組織風土を積極的に変える姿勢が強く見えます。
3.堤社長の常に先を見る目はどうやったら養っていけるのだろうと考えながら読んでいました。かといってこれから売れるものだけに焦点を絞るのではなく、自分が魅力的だと思う要素をしっかり入れつつ、部下に会社を立ち上げるようにしています。
また、親戚達への反骨精神からセゾンの躍進を成し遂げてきた面もあり、楽しく読めるようにもなっています。やはり、他人よりも何倍もの努力を積み重ねた結果が惜しみなく出されているのだと思います。 -
西武セゾングループ、堤清二について網羅的に扱った本で非常に読み応えがありました。
西武セゾングループが最終的には解体され、経営者の責任を問われた堤清二ですが、そこから10年以上経った今だからこそ、冷静に、かつ客観的に見えるものがあると思います。
堤さんの目指した文化戦略、反骨精神に学ぶところは多いですね。 -
天才的な経営者の成功と失敗が掘り下げられており読み応えがあった。
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この本は知り合いの経営者に教えていただきました。読む前はセゾンと聞いてセゾンカードという単語しか出てこなかったです。
無印良品や西武百貨店を経営する堤氏の「現状を否定する」考え方が、テクノロジーが発展する今求められている考え方だと思いました。
文章から堤氏の経営に対する情熱が感じられ、非常に感銘を受ける良著でした。