- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822255879
作品紹介・あらすじ
中国フィンテック研究の第一人者である中国人研究者が、コピー大国からイノベーション大国に突き進む「チャイナ・イノベーション」の実像を日本語で書き下ろした。
世界経済の波乱要因となっているトランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争でクローズアップされたのが、「中国製造2025」。中国が建国100周年を迎える2049年までに世界の製造大国になることを目標に掲げた国家プロジェクトだが、人工知能(AI)などハイテク分野も含めたこのイノベーション大国路線が米国を刺激した。
なぜ米国がそこまで警戒するのかといえば、「チャイナ・イノベーション」が予想以上に進展しているからだ。近年、中国では支付宝(アリペイ)と微信支付(ウィーチャットペイ)が牽引してモバイル決済サービスが急速に発展した。このモバイル決済サービスがデータ蓄積の起点となって、さらなる生活のデジタル化を押し進めている。そのスピードは、米シリコンバレーを上回るほどだ。
人工知能、ブロックチェーン等の新技術が融合し、スマホによるAI活用の与信・貸付、無人スーパー、シェアリングエコノミーなど新サービスが次から次に誕生している。顔認証技術などで世界レベルのスタートアップ企業も続々生まれている。まさにイノベーションの連鎖である。
2018年7月末現在、世界の株価時価総額ランキングは、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)がトップ3を占める。GAFAの一角、フェイスブックは5位と順位を落とし、4位マイクロソフト、6位バークシャー・ハサウェイ。台頭著しい中国のプラットフォーマーのアリババ、騰訊控股(テンセント)が7、8位に食い込んでいる。
本書は、アリババ、テンセントを中心に、最新の中国イノベーション事情を紹介する一方で、中国でアリババなどを活用して業績を伸ばしているユニクロ、中国イノベーションを研究・消化しているメルカリの事例も紹介している。
感想・レビュー・書評
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アリババ、テンセントを中心に、中国で今起きているイノベーションを紹介した1冊。この20年くらいの動きが背景を含めてよくわかります。2社以外の新しい会社の紹介は情報が少なく、ややとってつけたような印象。
シリコンバレーの会社もそうだけど、こういう会社のスピード感、チャレンジ精神をみると、本当に今の日本の企業はマズいのではないかと思います。なんだか老成化しているのでは。国民も会社も含めて、国全体が老成化するスピードが高まっているような感じもします。それはそれで、成熟した国の一つのありかたであり、人々の生き方ではあると思うのですが、日本が世界から遅れていっていることが、まだまだ共通の認識となっていない。いまだに過去の成功体験とプライドにすがり、チャレンジしないならば、いかにも残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても面白かった。中国史にハマり、なぜ戦争や内乱で国力を落とした中国が今時代の最先端を走るまでに急成長したのか興味があったが、その一端を垣間見ることができた。決めてになるのはプラットフォームのオープン化。でも日本がそこに追いつくには手法だけまねてもだめで、柔軟な思想をこそ見習わないとだめなんだろうなぁ
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色々なことを聞いていたとはいえまとめて読むとやっぱり激しいショック。「中国が真似る」時代から「中国を真似る」(もしくは中国での経験から学ぶ)時代はすでにとっくに来ている、と感じさせる。そのタイミングを見損なわない様に色々な人にこれは読んで欲しい。物凄い学ぶこと多かった。2(続編)も読むの楽しみ。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/730566 -
アリババ、テンセントを中心に、中国が「下請け工場」「模倣」から脱却し、デジタル関連でアメリカの先端企業と並ぶに至った経緯が解説されている。
アリババ・アリペイの解説からは、日本の「キャッシュレス狂想曲」がいかに的外れだったかが分かる。
キャッシュバックの消耗戦も中国の再現でしかなかったようだ。
またテンセントの解説では、何度も危機を迎えながら消費者志向で進化してきたかが分かる。
アイフライテック、滴々出向などBAT以外の企業も紹介されている。
Microsoft、Facebook、Uberなどが進出し、検索サイトとして中国から閉め出されたGoogleが別サービスでなんとか中国に入り込もうとしているなどアメリカ企業が中国市場を狙っている一方で、日本企業は「反日デモ」を契機として中国から撤退、工場なども東南アジアへシフトした。
しかし結果として、その後の中国はアメリカと並んで最先端テクノロジーが生まれる場所になった。
その中国市場をつかんでいる日本企業としては本書ではユニクロしか紹介されていない。
(ただし、そのためウイグル問題ではユニクロは難しい立場に立たされている) -
仕事柄、インド関連の市場研究をしているのだが、現地のサービスプロバイダーと話すと、たいてい彼らが見ているのは欧米ではなく中国である。昨年、アフターデジタルを読んで中国の発展に衝撃を受けたが、より詳しく知りたいと思い手に取った本。
こちらは、中国のアリババ、テンセントを中心に、なぜデジタル革命がこれだけ急激にこの15年ほどで起きたかをわかりやすくまとめている。
まず国策として予算も出して推進していること、その上で法律も変えていき、イノベーションの発展を止めないようにしていること、インフラが発展していなかった故に、顧客中心主義でサービスを磨くと顧客がついてくることが挙げられる。まさにデジタルを通じて負を解消して、そこに大規模なマーケティング還元キャンペーンで顧客獲得が功を奏している。
一方で各国で活躍していた優秀な中国人エンジニアたちがこれらの会社には集まっており、実際に人材の宝庫であるといえる。またオープン化戦略により、彼らのデータや機能を他社が活用することで、さらなるイノベーションが起きている点も見逃せないポイントである。
では、両社の違いはなにか?アリババ、テンセントとも決済は押さえてるが、アリババは小売とそのトランザクションデータをメインに、テンセントはソーシャルプラットフォームとしての強さを武器に滴滴行行などシェアサービスなどをメインにした戦略となっている。
2018年時点ではGAFAに続くような時価総額となっている二社だが、この本を読むと中国にはさらにユニコーンが出てくるイメージしかない。
日本も中国から学ぶ必要があるな、と感じた。 -
テンセントvsアリババに止まらない中国テック企業の事例が沢山載ってて面白かった。この本を読むまでDiDiが元々はテンセント系の会社だって知らなかった…。
日本はITに対する法規制が多いけど、テクノロジー起点で法律が変わるキッカケが生まれればいいなと思いました。 -
・テンセントの躍進。
・JDファイナンスの不正検知システム"The Magic Cube"
・不正組織の羊毛党
に関する記述など、ここで初めて知った情報もあった。
メルカリの話もちらっと紹介があるが、それまでの中国の規模感と比較すると、日本の小ささが歴然。働き方の猛烈さもテンションもスピードも負けてる。色々と難は加味しつつも中国から真剣に学ぶ価値は十分ある。 -
●近年中国が国際特許の上位に。日本は三菱電機とソニーが。単純に特許件数だけで中国企業のイノベーションの実力は測れないが、以前のコピー大国と言われた中国が、知的大国・イノベーション大国へと劇的に変貌を遂げつつあることを各種データが裏付けている。
●人材は海外からの帰国組。金融危機以降、留学生は起業を選択、毎日1万社以上!
●実は中国における銀行口座保有率は78.9%で、日本と比較してもそれほどの差は無い。しかし、人口あたりの利用可能な銀行支店数は少なく日本の4分の1にも満たない。不便なのだ。