- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822255633
作品紹介・あらすじ
「企業はもはや過去の遺物?」
「専門家はなぜ役に立たないのか?」
『機械との競争』と『ザ・セカンド・、マシン・エイジ』の著者で、「テクノロジー失業」到来を訴えて反響を呼んだMIT(マサチューセッツ工科大学)のコンビが、新たにテクノロジーによる「企業消滅」に挑んだ意欲作。
ビジネスを大きく変革する3つのトレンドーー。
●マシン:アルファ碁が代表する自己学習的コンピュータ、AIの進歩。
●プラットフォーム:Amazon、Facebook、Google、Uber、Airbnb、アリババ、テンセントなどが構築した物理的なモノやサービスを提供するしくみと場。
●クラウド(Crowd):大勢の人からアイデアや資金を募る流れ。
マシンは人間の頭脳、プラットフォームはプロダクト、クラウドはコアと呼ばれる企業の製造プロセスやサプライチェーンとペアをなす。デジタル技術の大変革期を生き延びるためには、この3つのペアのバランスを再考することが急務、と著者たちは訴える。
さあ、あなたの企業は生き延びられる?
感想・レビュー・書評
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素晴らしい経済学的な企業行動指南書でした。ケインズ曰く、その時代の企業経営者は、日の目を見なかった死んだ経済学者の理論を追っているだけ。それが本当かは分からないが情報の非対称性や補完財の考えは現在のプラットフォーマーの原動力になっているというのはあながち外れてはいない。未来は予測できないが未来の勝者は理論から生まれたということか。
内容も素晴らしいが、訳者も素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
題名は『プラットフォームの経済学』だが、広い意味でのプラットフォームを扱っている。
(2018年当時の)最新のテクノロジーについての論考と、技術と人間と組織との関係も考察されている。
出版された5年前よりもむしろ今読むほうがリアリティを持って受け入れられるのではないだろうか。
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デジタル技術の進化による環境変化を、AI、マッチングプラットフォーム、ブロックチェーン技術の観点から論じている1冊。
重厚な1冊だが、技術的なテーマだけに特化することなく、経済性への影響・変化を連続性をもって語られており、ビジネスパーソンとして本領域を学ぶ上では活用しやすい形で情報が整理されているのではないか。
特に後半については従来型組織と分散型自律組織(DAO)との対比まで触れられており、2018年時点で既にここまで論じられているというのが衝撃。 -
総じて読みやすく、かつ、有用な本だと感じた。
経済学の観点からプラットフォームを説明していることが、エンジニアとしてプラットフォームの技術面に興味を持っていた私にとって新鮮だった。改めてタイトルを見返すと、たしかにプラットフォームの「経済学」であった。引用が豊富であり、その中には経済学の参考文献も含まれている。
事業提案をするときに、市場は将来こうなり[そう]だから、こういうことをやれば、こういう理由で儲かり[そう]という説明が必要だが、この[そう]の部分の検討材料や説明時の根拠として、経済学の観点が有効かもしれないと思った。
時間の都合でざっとページをめくっただけになった、第3部「クラウドとコア」も勉強になりそうなので、いつか読みたい。
第1部 第5章 まだ人間が必要とされるのは
技術の進歩に伴い、定量的なスキルよりも、高度な社会的スキルがますます重要になる。それら二つのスキルの組み合わせが求められる。
衝動や感情が絡む仕事は、これからも人間がやる方が良い。共感や思いやり、リーダーシップ、チームワーク、コーチングを伴う仕事がこれに該当する。
第2部 第7章 プラットフォームを巡るスマートな戦略
プラットフォームをオープン化し、幅広く多様な供給を募ることが、成功するプラットフォームの特徴の一つ。iPhone のオープン化されたプラットフォームは、多様なアプリケーションを生み出し、千差万別の消費者の好みを満たした。アプリケーションが補完材となり、価格を下げずに本体の需要を増やすことができた。【一般的に産業系では、要求も顧客もこれほどの規模やバリエーションはない。この場合、オープン化に顧客はメリットを感じないし、供給者も集まらない?】
第8章 なぜプラットフォームは栄えるのか
O2Oプラットフォームは、「アフターデジタル」で出てきたOMOとは違う概念のようだ。Upwork はO2Oプラットフォームの一例。試してみたいと思った。
第9章 そのビジネスにチャンスはあるか?
二面市場の特徴として、一方の側で料金を引き下げると、両方の側で需要が増え、双方にメリットがもたらされる。つまり、売り手側のメリットは、高収益化ではない。クレジットカードがこの一例。カードの会費を無料にするどころか、キャッシュバックやマイルでマイナスの値段にされることがある。
差別化要素の有無が、プラットフォームに駆逐されるかどうかのキーである。都市部の移動には差別化要素が乏しいから、既存事業者はUberから大きな影響を受けた。一方、宿泊は差別化要素が極めて大きいため、ホテル業はあまり影響を受けていない。 -
プラットフォームの日本語訳って”舞台”とか基盤”って意味がり、ビジネスでいうとアメリカのGAFAやUber、Airbnb等、需要者と供給者を結びつけるプラットフォームを構築して莫大な利益を上げています。そんなプラットフォームについて人工知能やロボット、ビットコイン等の科学技術を絡め解説されています。全部で13章の構成となっているのですが、それぞれの章末に”この章のまとめ”と”あなたの会社では?”の項目が有り、一方的な知識のインプットに終わらない様、著者の優しさが感じられます。500頁程と読み応えのある本ですが、その内容の面白さに一気に読めちゃいました!
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【書誌情報】
原題:Machine, Platform, Crowd: Harnessing Our Digital Future (2017)
著者:Andrew McAfee
著者:Erik Brynjolfsson
訳者:村井 章子
デザイン:佐藤亜沙美(サトウサンカイ)
DTP:アーティザンカンパニー
発行元 日経BP社
価格:2,860円(税込)
ISBN:978-4-8222-5563-3
発行日 2018年3月27日
頁数:536
判型:4-6
NDC:007.3
〈https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/18/P55630/〉
【メモ】
https://booklog.jp/item/1/4822249212
【簡易目次】
第1章 3つの革命 017
■第1部 人間とマシン 055■
第2章 人間にとって受け入れがたいこと 057
第3章 人間のように考えるマシンたち 105
第4章 ロボットの登場 135
第5章 まだ人間が必要とされるのは…… 167
■第2部 物理的なモノやサービスとプラットフォーム■ 193
第6章 マシンの犠牲者たち 195
第7章 プラットフォームを巡るスマートな戦略 227
第8章 なぜプラットフォームは栄えるのか 265
第9章 そのビジネスにチャンスはあるか? 299
■第3部 クラウドとコア339
第10章 クラウドの出現341
第11章 専門家はなぜ役に立たないのか375
第12章 すべてを権力から切り離す夢 411
第13章 企業はもはや過去の遺物か?(そんなことはない!) 445
結論 人間はテクノロジーを使って何をしたいのか? 483
【目次】
コロフォン [002]
目次 [004-011]
献辞 [012]
日本語版への序文に代えて テクノロジーや政府の政策、経済力ではなく、私たちが未来を決める(アンドリュー・マカフィー エリック・ブリニョルフソン) [013-016]
第1章 3つの革命 017
コンピュータと碁 019
チャンピオンにも説明できないゲーム
ポランニーのパラドックスを打ち砕く
資産を持たない企業群 025
何かものすごくおもしろいことが起きている
巨人の新しい試み 032
家でもナゲットアイスを作りたい!
先行予約、受け付けます
マシン、プラットフォーム、クラウド 037
三つのペアの新しいバランス
なぜ、いまなのか
蒸気機関から電気へ 044
あとから見れば当然のことが、なぜそのときは気づかないのか?
工場電化に立ち遅れた企業群
セカンド・マシン・エイジで成功するのは
本書の構成 051
■第1部 人間とマシン 055■
第2章 人間にとって受け入れがたいこと 057
書類のヤマからパートナーシップへ 059
人間は判断をしなさい
人間の判断力はかなりお粗末らしい
バグの多い知性 074
人間とマシンの新しいパートナーシップ 078
自動化が導く「第二の経済」
アルゴリズムのよからぬふるまい
人間の知恵を賢く組み込む
組み合わせを従来とは逆にしてみたら
非常に重要な決定は人間に委ねるべきか?
予測の精度を上げるには 097
予測を減らし、実験を増やす
この章のまとめ 102
あなたの会社では? 103
第3章 人間のように考えるマシンたち 105
人工知能をめざす二つの道 108
ルールが多すぎる
ポランニーのパラドックスはどこにでもある
自分で学習できるマシンは作れるか?
執念が実を結ぶ
人工知能の開発はなぜ加速したか 117
ハイペースで進む実用化 120
学習するマシンと人間
この章のまとめ 132
あなたの会社では? 133
第4章 ロボットの登場 135
世界初の無人レストラン 138
仮想化技術 139
仮想化は自主的な選択か、それとも長期的な趨勢か?
ロボティクス大爆発協 144
ロボットはDANCE【date, algorithm, network, cloud, exponentially improving hardware】で進化する
四つ目のDとは?
では人間は何をするのか
モノづくりに進出するデジタル技術 158
この章のまとめ 163
あなたの会社では? 164
第5章 まだ人間が必要とされるのは…… 167
アンドロイドは創造性を発揮できるのか? 169
ジェネレーティブデザイン
命がけの実験
ユーレカ!
でも芸術は別だ、そうだろう?
人間にあってコンピュータにないもの 180
人間のように考え感じるマシン
デジタル世界における人間的なつながり
この章のまとめ 189
あなたの会社では? 190
■第2部 物理的なモノやサービスとプラットフォーム■ 193
第6章 マシンの犠牲者たち 195
嵐の前の静けさ 197
そして嵐が来た 201
無料〔フリー〕、完全〔パーフェクト〕、瞬時〔インスタント〕
プラットフォーム 208
強力なネットワーク効果
増殖するプラットフォーム
この章のまとめ 224
あなたの会社では? 225
第7章 プラットフォームを巡るスマートな戦略 227
スティーブ・ジョブズの過ち 229
プラットフォームの威力 231
需要供給曲線の基本
補完財の存在が需要曲線をシフトさせる
補完財が無料〔フリー〕、完全〔パーフェクト〕、瞬時〔インスタント〕になったら
プラットフォームのオープン化 245
プラットフォームの質を保つには
プラットフォーム戦争 249
成功するプラットフォームの特徴 253
ユーザーエクスペリエンスを高める
プラットフォームの二面性
この章のまとめ 262
あなたの会社では? 263
第8章 なぜプラットフォームは栄えるのか 265
ビットの経済学を原子〔アトム〕の世界に持ち込むと 268
あなたの在庫は繰り越せない
レベニューマネジメントがビジネスを救う
使い放題にするには
オンラインからオフラインへ 278
B2BでもO2O
世界に広がるO2Oプラットフォーム
O2Oプラットフォームの威力 287
遊休資産の活用と資源保護 292
この章のまとめ 295
あなたの会社では? 296
第9章 そのビジネスにチャンスはあるか? 299
脅威にさらされる既存企業 301
規制は万能か?
作っても作っても儲からない
プラットフォームはあらゆる産業を席巻するのか? 308
レモンと情報の非対称
プラットフォームのブランド力
プラットフォームの料金設定はなぜ低いのか 318
価格弾力性が大きいと……
プラットフォームのどちら側にいるのか?
交差弾力性、乗り換えコスト
なぜUberはうまくいったのか
既存企業は太刀打ちできるのか?
伝統的なビジネスが生き残る場所は 331
ホテルがAirbnbに駆逐されない理由
プラットフォームに適さない取引は?
この章のまとめ 336
あなたの会社では? 337
■第3部 クラウドとコア 339
第10章 クラウドの出現 341
ここにすべてがある 345
無秩序とどう付き合うか
市場のマジック 351
計画経済はどこがまちがっているのか?
集団知を活かす
クラウドをどう組織するのか? 357
なぜLinuxは成功したか
クラウドの新しいツール
1 オープンネス
2 学歴・資格不問
3 検証・取り消し可能性
4 将来の透明性
5 自発性
6 オタク型リーダーシップ
一度は失敗しかかった Wikipedia
この章のまとめ 372
あなたの会社では? 373
第11章 専門家はなぜ役に立たないのか 375
基準を超えたビギナーたち 377
専門家のどこがダメなのか? 380
ミスマッチが多すぎる
門外漢の意外な効用
コアがクラウドの価値に気づくとき 386
● 仕事をしてもらう
● 適任者を見つける
● 市場調査を行う
● 新規顧客を獲得する
● イノベーションを内部化する
クラウドを活用してトレーダーの仕事を変える
メイカーズ革命の拡大 401
手を作る
この章のまとめ 408
あなたの会社では? 409
第12章 すべてを権力から切り離す夢 411
ビットコイン――正体不明の人物「サトシ・ナカモト」による革命 414
プルーフオブワークという革新的なしくみ
このシステムはほんとうにうまくいくのか?
ビットコインで重要な技術はブロックチェーンである 426
スマートコントラクト
ハイテク産業の五大サイロ 435
経済全体を作り変えることは可能か?
誰が会社を必要とするのか?
この章のまとめ 442
あなたの会社では? 443
第13章 企業はもはや過去の遺物か?(そんなことはない!) 445
DAOは終わったのか? 448
ビットコインはどうなるのか? 453
テクノロジーは分権化を後押しする 455
「企業の本質」は語る 457
企業か? 市場か?
企業は退場しない
なぜ企業は繁栄するのか 462
完全な契約はありえない
完全な分権化には弱点が潜んでいる
企業の未来 471
なぜマネジャーは必要か
新しいマネジメントスタイル
この章のまとめ 480
あなたの会社では? 481
結論 人間はテクノロジーを使って何をしたいのか? 483
謝辞 [493-500]
原注 [501-528]
索引 [529-534]
奥付 [535] -
☆3.5くらい?。間を開けすぎて読んだので結局何だったの?という印象が一番強かったが、ブロックチェーン等、所々興味のある箇所はあり。原著のタイトルはMACHINE,PLATFORM,CROWD :HARNESSING OUT DIGITAL FUTUREなので、ちょっと日本語のタイトルは違うかなぁ、と。
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プラットファーマーの時代となった現代における、企業のあり方について考えさせられる本。
人間にもまだまだ活躍の場所があるという事だと理解したが、会社がこの先うまく対応していけるのか、世界の動きについていけるのか心許ない。