リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス
- 日本能率協会マネジメントセンター (2019年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784820731634
作品紹介・あらすじ
■成人発達理論をもとに、潜在的なリーダーシップを開発するための本
女性リーダーに抜擢された30歳の女性社員が主人公。メンターの先輩女性や思慮深い相談相手の同僚、上司らに支えられながら、自分の信念に立って自分らしいリーダーシップとは何かに気づき、人間性豊かに成長するプロセスが、誰もがどこかで経験する、共感的なストーリーでわかります。成長のプロセスは、ハーバード大学教育大学院などで研究が進む「成人発達理論」をベースにしています。
感想・レビュー・書評
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ピンクの表紙じゃない方が良いのではないかと思うくらい、男女にかかわらず、リーダーシップへの発育段階をストーリー仕立てで分かりやすく描かれている良書。ストーリーも面白くひきこまれているうちにリーダーの発達段階がしみ込んでくる。
まさに自分に当てはまる発達段階が随所に記述されており非常に参考になった。もやもやとどのようにチームを運営していくかに悩んでいる際にこの本に出合い少し開けてきた。
リーダーの発達の各段階でどのような現象が見られ、どのように対処していき、そして次の段階としてどのような発達をしていくのか、過去現在未来の流れで理解できる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
森尾さんが、尊敬する前の上司と重なった。
読み物としておもしろかったし、
ポイントいくつか参考にしようと思った。 -
成人発達理論に基づきながら、女性のキャリア形成における葛藤を描きつつ、健全な組織とは何か、他者との協働を円滑化するリーダーシップとは何かを描く。
リーダーシップとは、影響力のこと。それゆえ、人により、他者に与える影響力は異なるから、人それぞれ発揮するリーダーシップは異なり、あらゆる人がある種のリーダーシップを持っている。自分が人に与える影響力の起点が自分のコアな願いから出ている時、コアリーダーになれるが、起点が保身や我欲のとき、エゴリーダーに陥る。利己的段階にとどまるエゴリーダーが組織にいると、組織内の人が萎縮し保身から動くようになる一方で、コアリーダーが組織をリードすると、心理的安全性がある中で各人が適材適所で役割分担をしながら組織が一丸となって一つの目標に向かって主体的に動けるようになる。
八方美人は自己にコアな願いがないために主体的選択ができない他者依存段階。成長は高みを目指すべき競争ではなく、そうせざるを得なくなる状態に至ることを言うから、まずは自分がどのような状態にあるかを観察し、その感情や行動の起点を自覚することが大切。そうして自分の発達段階を客観視し、自分の弱さを自分の一面として認めること。その上で他者に与える影響力の起点がその弱さではなくコアな願いになるように意識すると、「含んで超える」自己主導段階の階段に足をかけることができるようになる。
相互発達段は、自愛から慈愛へ移行した段階。コアな願いが自分のアイデンティティと重なった時、コアな願いの否定=自己否定と感じ、他者のコアな願いから出る意見を論破したくなる。しかし、自己の価値体系にない他者の異なる価値観を受け入れ、その上で自己のコアの願いに従って生きることができなければ、エゴリーダーに戻ることになる。人間は一面的なものではなく、成長も一直線なものではないからこそ、この段階では、コアな願いを創造した主体という多面的な自己への自覚と受容を伴い促されていく。
人間はどこまでも人間で、完璧な人などいないからこそ、ずっと変化し続けるのだ。
多くの人にとって、「コアな価値が何か」を気づくことに一つのハードルがあるだろう。また、本書では明言されないが、視野の広がりや発達段階に応じて、「コアな願い」の内容自体が広く大きく他者の価値観をも含むものに変化していくのだと思う。それ自体が成長の過程なのだ。
小説と解説の相互作用が良かった。成人発達論自体に関心を持ったし、「わたしを生きる あなたと生きる」を理念に「戦わないのに無敵」なコアリーダー育成をリードしてきた有冬さんのことももっと知りたいと思った。 -
エゴリーダーとコアリーダー。「本音と本心で向き合う」、本音は感情、本心はその感情の奥にあるコアな願い。コアの自分に繋がり続けることは簡単なことではないけど、トライし続ける価値のあることだし確実に変化として現れてくるものだなと思う。
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オーディオブックにて
20代に出会いたかった本 -
今のわたしに正に必要な本でした。
成人発達論に基づいたリーダーシップのフェーズを学ぶことが出来るとともに、自分がどんなリーダーでありたいのか?を問える1冊。
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リーダーシップに出会う瞬間
「リーダーシップ」と聞いてもピンとこなかったが、この本で1つの型を知ることができた。
本書ではリーダーシップを「影響力」と定義している。
なにかdoしなくとも、そこに存在beするだけでもリーダーシップは発揮されているのだ。
情景が思い浮かぶ瞬間が多々あり、自分事として自身の行動を見つめ直すことが出来る素晴らしい本。
■論点
自分自身のコアな願いから生きて、周りに影響力を振りまく「コアリーダー」として、豊かな人生を歩みきっかけを作る。
■答え
成人意識を発達させ、コアリーダーになる。さらに、超コアリーダーを目指す。
■根拠
近年高付加価値の創出が求められており、「自己一致したリーダーシップ」により、多様性のある人材からアイディアを募る心理的安全性の高い場を作ることが必要になった。
■答え(How)
以下のステップで成長する。
(前提:リーダーシップとは影響力)
・エゴリーダー
・八方美人
・コアリーダー
・超コアリーダー
■根拠(具体策)
【エゴリーダー】
・正義のラッピングに気を付ける
・不必要な人などいない前提を置く
【八方美人】
・解釈の「1人ドラマ」にはまらない(事実と解釈を分ける。思い切って確認する。)
・自分の行動の起点が「願いからか」「保身からか」を気づいておくこと
・遠慮は社会の迷惑であると認識すること
【コアリーダー】
・「自己の虚構性の自覚」と「全体としての自己の受容」を意識する。(色んな自分がいる。多重人格であっても良い) -
#Voicy の#グロービス のチャンネルで紹介されており、「八方美人リーダーって自分じゃん!」と思って即Amazonでポチッとしました。
自分さえ我慢すれば良いという自己犠牲の根っこは保身。人から嫌われたり、孤立したりすることが怖い。全く図星でドキッとした。
ここから脱するには、自分の勝手な解釈と事実をしっかり分けて認識すること、自分の言動の起点が保身=エゴからなのか、真摯な願いからなのか、自分で気付いておくこと。
指摘されているように、人に気を遣いすぎて、自分が本当は何を望んでいるのかすっかり分からなくなっている。
そして、保身ではない起点からの情熱があるなら、不完全でも遠慮せずにその場で出す。
損してもいい、嫌われてもいい、無価値でいい。。
小説の形を取っている本書で序盤、主人公の青木さんにすっかり自分を重ねていたが、あっという間にコアリーダーに成長しちゃった…自分も頑張ろう。。
#成人発達理論 -
「リーダーシップに出会う瞬間」有冬典子
予測可能な事が詰まっている枠の中は安全に見えるが、そこに長居すると退屈になったり、将来への不安にかられる。
ワクワクする事は枠の外にある。
リーダーシップとは影響力の事。doingではなく、being。ただそこに居るだけで発してしまう在り方。垂直的な発達。
外界を認識し、判断した瞬間から影響力は発揮される。
外界をどう見ているかについて無自覚であればエゴリーダーとなる。
エゴリーダーとは自己のエゴイスティックな部分を起点に人への影響力を発してしまう事。自分の想いの核となる純粋な願いを起点に影響力を発する人はコアリーダー。
自分に保身があるという事実に向き合う事。
自分の真の願いに気づく事。
知識は言語化を支援し、体験は言語を通して血肉化する。
常に自分の感情を観察する事。
一つ一つ丁寧に体験を積む事。理念や信念等、コアな願いはその過程から濾し出される。
正義のラッピング。本音を正義という包装紙で包んで伝えるが、よく観察すると保身や私欲が透けて見える。
自分の状態を意識するようになると、反射的行動から対応的行動になる。
「どういたらいいですか?」と丸投げするのではなく、「どうしたらいいかわかりませんが、こんなやり方はどうでしょう?」と自分で考える事。
不必要な人は存在しない。正解だとしたらどうかと考えてみる事。
自己犠牲の根っこは保身にある。
自己犠牲はストレスを生む。それは自分のエゴが出やすい相手への八つ当たり、過食、無駄遣い、自分の体や心を壊す。
現実に起きていると思い込んでいる9割は自分の勝手な解釈。
自分の中に、「多分、きっと」が浮かんだら一人ドラマが始まるサイン。
紙の左半分に事実を書き、右半分に解釈や推測を書いて眺めてみると、ほとんどが右側である事に気づく。
誰かの正しさではなく、自分の正しさに立つ。
自分の正直な感覚に対して敏感でいる事。
私たちの発達とは、多様な要因が相互作用し、内側から自発的に花開くもの。安直な上昇志向に囚われず、植物のようにじっくりと今を味わう事。
コアリーダーへの道に立ちふさがる3つの壁
1.損得勘定の壁。自分が損をするかもしれない事への恐れ。
2.孤独の壁。嫌われたり孤立する事への恐れ。
3.アイデンティティの壁。理念が自身のアイデンティティそのものになり、それを否定される事への恐れ。
コアな願いを見失わず、自分の恐れと向き合う。
心の成長は無理にではなく、オーガニックに進める事。
損しても嫌われても無価値でもいい。やがてこの世のあらゆるものを愛おしく思う時が来る。自愛から慈愛へ。 -
本のタイトルが素敵。
職場で女性がリーダーになっていく課程が小説仕立てで描かれている。
ピンク表紙じゃなかったらもっと売れていたと思う名著。
○要約
・「リーダーシップ」は、影響力(周囲を巻き込んでリードする)である。
・他者への影響力を考えることはよくあるが、リーダーシップを育てるのであれば、自分の影響力の成長をリードすると考える。自分の影響力の起点に自覚的になることが肝要。
・リーダーシップには成長過程があり、4つの段階が存在する。
・「自分らしいリーダーシップ」には、人として成熟することも必要不可欠。人間的成熟とは視野の広さ、知識の幅である。
○第一段階「エゴリーダー」
・他者のことは、自己の欲求を満たすための道具・手段と捉えている。
・弱肉強食の価値観が強い。
・「自分の思いを押し通す推進力」「はっきりと発言する力」「譲らない強い意志」を養える。
次のプロセスに進むには、「他者から見た自分の姿を認識できる」「自分の行動や考えかたの起点が、保身なのか否か」を見極められる必要がある。
○第二段階「八方美人」
・他者のことを、自己イメージを形成するために必要なものと捉えられるようになっている。周囲に依存して、自己イメージを形成させようとしている。
・コミュニティを重視する価値観が強い。
・「空気を読む力」「角が立たない言動」「他者の気持ち・思考パターン推察する力」を養える。
次のプロセスに進むには、「後ろ向きな執着(誤解、錯覚、嫉妬、恨み、嫌い)」を捨て、
「他者の気持ちを考慮しつつ、呑み込まれないよう自分の考えをアウトプットする」「和よりも強行を選び、それでも和を瓦解させない」ように変化していかないといけない。
○第三段階「コアリーダー」
・他者のことを、協力者、同僚・仲間だと捉えられるようになっている。視野が広く客観的であり、トンネル視野にならない。
・自己を信頼しつつ、他者を協力者にして前に進む価値観が強い。決して1人では進まない。
・「独自の価値体系=理念」「考えを言語化する力」「全体最適の視点」「巻き込み力」を養うことができる。
次のプロセスに進むには、「自分が損するのは良い、価値を認められなくても良い」という人格を獲得しつつ、常に新しい自己に出会う努力を行わなければいけない。
また、孤独を孤独と受け止めず、万人の支えを理解できる必要がある。
○第4段階「超コアリーダー」
・他者のことを、自己の変容に貢献するものと捉えられるようになっている。相容れない価値観、思想の違う人との出会いを喜び、自己発展に受け入れられる。
・個と全体の可能性を最大限引き出す価値観が強い。
・「その瞬間瞬間と共にいる力」「常に目の前の人と出会い直す力」、何よりも個人の強みに紐づいた影響力で人を動かせるようになっている。
誰かの正しさではなく、自分の正しさを持つ。そのうえで周囲に正しさを認めてもらえる徳を積み続ける。