月に吠える (愛蔵版詩集シリーズ)

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  • 日本図書センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820519966

感想・レビュー・書評

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  • 北原白秋の序文がいい。
    室生犀星が朔太郎のこと、兄と呼んでいる。親しさがわかる。

    当時の発禁処分(…を受けた詩があった。この詩集では収録)の基準はどこら辺にあるのかな。

    学生のころ、教科書に載っていた「竹」の詩がひどく好きで何度も繰り返し読んだ。
    当時は力強い生命のみを感じていたのだけど、「竹とその哀傷」という連作の中で読むと、またイメージが変わってくる。
    生と薄皮1枚で死がひそんでいることを感じる。

  • 再読。以前読んだときは詩人の情報をほとんど入れていなかったが、いろいろ知った後に読むと、序文からとてもおもしろい。
    詩については、統一感があるというか、コンセプトが割とはっきりしている印象。竹とか根とか、増殖するもののモチーフとか。計量調査をするといろいろ言えそう。
    生きることにつきまとう不安とか、自身への違和感とか、ぼんやりとした感情を言葉にせずに詩に移しとるのが尋常ではなくうまい。その奥に言葉にはならないだけで明確なイメージがあるような気がするのは近代詩たるゆえんだろうか。あまり近代詩を読んでいないので、もう少し学びたい。

  • 北原白秋の序文はかなり詩的で私には難解だったが、作者本人の序文での"詩とは何か"の解釈がしっかりしていて好きだ。序文で満足する位。もちろん詩本文も暗い陰を落としていて夜にでもゆっくり読みたくなる。あと恋を恋する人めっちゃお耽美でびっくりした。

  • 水々しい

  • 言葉の力が圧倒的。引力がある。

  •  ただただ、さみしい。こんなにも周囲に恵まれている人が、どうして孤独を嘆くのだろう。
    『雲雀の巣』は、人間に対する嫌悪感が特に強く出ている。

  • p14-16 序文
     私の詩の読者に望むところは、市の表面に現れた概念や「ことがら」drはなくして、内部の確信樽感情そのものに感触してもたいひたいことである。私の心の「かなしみ」「よろこに」「さびしみ」「おそれ」その他言葉や文章ではn言い表しがたい複雑した特殊のかんじょうw、私は自分の詩のリズムによって表現する。併しリズムは説明で経ない。リズムは以心伝心である。そのリズムを無言で感知することのできる人との実、私は手をとって語りあふことができる。
    『どういうわけでうれしい?」といふ質問に対して人は用意にその知友を説明することができる。けれども『どういう工合にうれしい』といふ問いに対しては何人もたやすくその心理を説明することはできない。
     思うに人間の感情というものは、きわめて単純であって、同時にきわめて複雑にしたものである。極めて普遍的なものであって、同時にきわめて個性的な特異なものだる。
     どんな場合にも、人が自己の感情を関税井に表現しや鵜と思ったら、それは容易のわざではない。この場合には言葉はなんのやくにも立たない。そこには音楽と詩があるばかりである。

    中学生のころ演劇部で「竹」の朗読をやったことを思いだした。

    成増図書館 911.5

  • 暗い詩だわね〜

  • 萩原朔太郎。
    なんとなくしか知らない存在だったけれど、生きることの辛さを綴る詩人。

    「さみしい人格」

    好きだなぁ。
    孤独と向き合う人は、いいなぁと思う。

    それから

    「愛憐」

    のなまめかしさ。
    いんびなようす。
    グロテスクに行くことなく、
    美しいまま性を描写する。
    このぐらいが好きだ。

    美しいと思う。

    全体的な、詩集の寂寥感。
    哀しみに暮れる感じ。
    たまらなく好きだ。好きなおもむき。

    やっぱり文学は良い。
    文学者とは、結局は孤独を追い求めるヒトビトなのではないか。

    だから、わたしは文学が好きなのでは。

    わたしが読んだのは、昭和に出た名著復刻版シリーズ。装丁も良い。書体の古めかしさもいい。生成りの紙も。

    本が好きだと、実感する。

  • 難しかった。私ごときの感性では立ち向かうに難かった。好きな詩もあったから、時間をおいてまた読むともう少し違う感想も持てるかな。

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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