- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784819112871
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/728191詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よく分かっていなかった、ロッキード事件がよく分かった。
田中角栄を追い落としたい三木さん、アメリカのいいなりにならず中国と友好関係を結んだ田中角栄に憤怒の念を持っていたキッシンジャー、社会の正義として金権政治の象徴の田中角栄を懲らしめたい検察、哨戒機P3Cのことについて触れられたくないロッキード社、これらの登場人物の利害が一致したのが、田中角栄の逮捕だったんだなぁ。
石井一氏は少し前の国会の答弁を見て、いい感情を抱いてなかったんだけど、少し印象変わりました。
しかし、この時から裁判に関する問題点と言うのは変わってないよね。恥ずかしく思います。 -
田中角栄ブームの中で一冊読んでみた。
ロッキード側の証拠書類の誤送から始まり、法律的にも嘱託尋問+日本の刑事訴訟法にない免責を与え贈賄側に証言(それに反対尋問まで許されない)と言う、全くデューデリジェンスを無視した捜査で田中を捕まえた。
米国国務長官のキッシンジャーが韓国系記者から「ロッキード事件はあなたが仕掛けたものか?」の質問に対して、"Off course(もちろん)"という回答があったとは、この本で初めて知った。 -
金権政治家は、当時、国民の憎悪の対象であり、田中角栄に一罰百戒を与えることが正義であるという時勢でした。時として狂躁状態になるのが日本人の特性で、法手続きを軽視することは意に介しません。結果、「ロッキード事件」の核心は見失われています。石井氏の労作ですが、本来、真相解明に拘るのはジャーナリストでしょう。スッポンのようなジャーナリスト魂の持ち主はいないのでしょうか?今、最高裁はあの手続きをどう考えているのでしょう。
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田中角栄について語る時、「ロッキード事件」を抜きにして語ることはできない。本書はロッキード事件に焦点を当て、又、田中の金権体質についても自らの経験を率直に吐露しながら「親分 田中角栄」の無念さを代弁した一冊。
◎「ロッキード事件」についての著者の見解
「日本政府の対潜哨戒機(P3C)調達に絡んだ日米両国に横たわる巨大な利権スキャンダルを揉み消すために田中角栄がスケープゴートにされたのでは?」。この仮説の検証をすべく、幾度も渡米を重ね公文書の収集・関係者への取材を積み重ね、その証拠固めに奔走する。この抜かりのない調査は気鋭のノンフィクション作家顔負けである。
◎「田中角栄は本当にはめられたのか?」
事件の背景には、日本政府とP3C購入に暗躍する13名の灰色高官が存在し、この利権スキャンダルの発覚は日米の両政権を揺るがしかねない。その揉み消し工作の陣頭指揮を取ったのが国務長官キッシンジャー。田中政権になるや否や、中国との国交正常化、積極的な資源外交を行ない、陰で❝デンジャラス・ジャップ❞と罵り、田中の決断と実行力が癇に障っていたキッシンジャー。この大疑獄事件は田中を蹴落とす好機と捉え、ターゲットを田中角栄ひとりに絞る。そこで、民間旅客機トライスター購入に際して現総理大臣 田中角栄は5億円の賄賂を受け取ったという汚職事件にすり替える。
◎「四面楚歌の田中角栄」
この謀略を首相の三木武夫は脆弱な政権基盤の強化につながると考え、クリーン三木を標榜し、田中をターゲットに捜査を進めさせる。今太閤ブームは一気に去り、メディアは「反角」で世論を煽り、その世論を追い風に東京地検特捜部は、首魁を上げるべく「田中有罪ストーリー」を作り上げ、最高裁判所は賄賂を送った側の罪は問わないという、所謂「免責宣明」して証言をさせる…。北朝鮮ならいざ知らず、三権分立の国家がここまでするかと戦慄が走る。
◎「この謀略が事実だったとして」
政治家として<理想と志>を持ち、数多くの議員立法を成立させ、総理大臣へ。「これから我が国は米国追従から独自の道を!」の思いを胸に進みだした矢先に、アメリカに疎まれ収賄容疑を着せられ逮捕、刑事被告人へ。自派の勢力を拡大するも、子分の反乱にあい、酒に溺れ、病に倒れ、失意のうちに亡くなる。「今、田中角栄が生きていれば~」「稀代の政治家」の称賛の声をあの世でどう聞いているんだろう。田中角栄を深い虚しさの境地で聞いているにちがいない。
※巻末に併載されている著者が記述した「政治家として考える ロッキード裁判に関する一考察」の論文は読み応えあり。「世論の状況を考えると公開したら逆に反発を受けかねない」と考え、田中角栄とその周辺の5名だけに密かに手渡した小冊子。B4判・53頁・10章で構成された論文は、ロッキード事件と裁判の問題点・疑問点を多角的かつ論理的まとめた「無罪ペーパー」。著者の親分に対する深い愛情が書かせた論考。 -
田中角栄のロッキード事件は、米国政府、日本政府、最高裁判所、東京地検特捜部、当時のマスコミが作り上げた「反角」の世論による歴史の残る汚点。 キッシンジャーからはデンジャラス・ジャップと疎まれ、決断と実行が癇に障った。反主流派の三木と福田からは議員辞職勧告を受ける。賄賂を受け取った事を罪に問おうとするとき、賄賂を送った側の罪は問わないという約束をして証言をさせることを最高裁判所が宣明することは大問題だと思う。
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一気に読了。読み終わって表紙の写真を改めて見ると複雑な感じがする。