コヘレトの言葉を読もう

著者 :
  • 日本キリスト教団出版局
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818410275

作品紹介・あらすじ

「空しい」を38回も繰り返し、聖書の信仰を覆すような表現が頻出する「コヘレトの言葉」。多くの聖書読者を困惑させてきたこの書を鮮やかに読み解き、「今の生を徹底して生きよ」という中心主題を明らかにする。「新共同訳聖書」に準拠しつつ、「聖書協会共同訳」の訳文も併記。特に重要な訳語の変化はコラムで紹介する。

【目次】
はじめに
序 「コヘレトの言葉」について
第1章 すべては空しい
コラム 「空しさ」と「空」
第2章 飲み食いし、魂を満足させよ
第3章 何事にも定められた時がある
コラム 「霊」と「息」
第4章 太陽の下での虐げ
第5章 神は天に、あなたは地上に
第6章 太陽の下での不幸
第7章 死ぬ日は生まれる日にまさる
第8章 何事が起こるかは知り得ない
第9章 短い人生だからこそ
コラム 「楽しく生きる」と「人生を見つめる」
第10章 親友に向かってすら王を呪うな
第11章 種を蒔け、夜にも手を休めるな
第12章 青春の日々にこそ
あとがき 「コヘレトの言葉」と私

感想・レビュー・書評

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  • 「コヘレト(コーヘレト)の言葉」というのは、旧約聖書にでてくる伝道の書です。
    バイデン大統領が就任演説で引用したものの一節を含みます。
    バイデンさんカトリックなのね。ケネディ以来じゃないですか?

    本のほうはとても読みやすいです。
    見開きで下段に網掛けになっているほうの訳のほうがしっくりきます。
    キリスト教的価値観を持っていない人でもしっくりくると思います。
    どちらかというと平家物語的価値観を持っている人のほうがあっているんじゃないかな。
    私にとっては、宗教書というより、哲学書って印象です。
    「未来は知りえない、だから今を生きる価値がある」というコヘレトの思想に多いに同意するものです。

    2021/03/31

  • ・「すべてに時がある」というとおり、神が定めた時(カイロス)は確かにあります。それは「永遠」と言ってもよいでしょう。けれども、人間はそれをとうてい知ることはできないのです。カイロスをあらかじめ認知することはできず、過ぎ去ってから、ようやくそれに気づかされるということでしょう。人は誰でも、あの時がカイロスだった、と後になってからようやく気づくのです。どんなに力を尽くしても、人はその「時」を見極めることはできません。

    ・メメント・モリ(死を覚えよ)という中世ヨーロッパの思想があります。死を直視することによって、より良く生きることを知るという逆説的な思想です。生は死と隣り合わせであり、死と表裏一体でつながっているからこそ、人間の生は意味あるものとなります。

  • 《空の空、空の空、いっさいは空である。》

    で知られる旧約聖書「コヘレトの言葉」(「伝道の書」)

    懐疑的、虚無的という「コヘレトの言葉」の伝統的な解釈を、「ダニエル書」に代表される黙示思想と対比して新たな視点で読み解いたコンパクトな解説書

    《コヘレトは生きることにこだわります。今、生きている時を全力で生きよ。「コヘレトの言葉」が指し示す生き方は、今日、なお光を放ちます。》

    『信徒の友』2017年4月号~2018年3月号の連載をまとめたもの

    愛する妻と共に人生を見つめよ 
     空である人生のすべての日々を。(コヘレト9・9)聖書協会訳

    愛唱聖句の有力候補

  • 作者自身もコヘレトの言葉の読み方、解釈に苦労していた。そうであるがために、今回の書は作者と同じようにどのようにコヘレトの言葉を読むか分からない多くの読者にとって、読みやすい内容であった。また新共同訳と並列して聖書協会共同訳の新しい訳も引用されていて、それぞれの違いも知ることができた。この書は小友にとっての集大成ではなかっただろうか。
    コヘレトの言葉の「空しい」は、人生が「空しい」から無駄なものではない、むしろ人生は儚いほど短いから大切に生きようと伝えている、「生きよ」と呼びかけていることは知っていた。私が着目したのはこのコヘレトが黙示運動を批判することによって、生きることを伝えていたということである。旧約時代は黙示運動によって生を軽視していた時代があった。しかしコヘレトは死を見つめることを求めてはいるものの、与えられた生を楽しんだ上での死であることを伝えている。だからといって神を否定しているわけではない。イエスキリストが表れる前の旧約聖書の箇所であるがために、終末的論争には目を向けていないが、生の中には神の介入が必ずある事を伝えている。この意味でも聖書として意義のある聖書箇所ではないだろうか。

  • 小友聡さんのなさる読み方に沿うと、「コヘレト」がすごく腑に落ちます。生涯の指針としたいような言葉にも出会えました。逆にこれまで「コヘレト」がどのように読まれてきたのか、不勉強なので、他の解説書も読んでみたいと思いました。


  • 時の詩は有名でその部分は読んだ事があったけど、これを機会に通読した。旧約聖書とは思えないほど現代でも指針となる内容。 新訳と違って死後や復活を強調しない。 空しいが多用されてるけど反語的に生きよと励まされる。図書館で借りたけど買って付箋つけながら再読しようと思う

  • 内容は悪くないが、読み進めるのに頭を使わなさすぎて個人的には物足りない。立ち読みでよかったような。。

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著者プロフィール

1956年生まれ。青森県弘前高校卒業、東北大学文学部卒業、東京神学大学大学院修士課程修了。ドイツ・ベーテル神学大学留学(神学博士)。現在、東京神学大学教授、日本基督教団中村町教会牧師。2018年『聖書 聖書協会共同訳』旧約部分原語訳担当。2020年、NHK「こころの時代:それでも生きる――旧約聖書「コヘレトの言葉」」講師。著書に『コヘレトの言葉を読もう――「生きよ」と呼びかける書』(日本キリスト教団出版局、2019年)、『NHKこころの時代:それでも生きる 旧約聖書「コヘレトの言葉」』(NHK出版、2020年)、『VTJ旧約聖書注解 コヘレト書』(日本キリスト教団出版局、2020年)、『謎解きの知恵文学――旧約聖書・「雅歌」に学ぶ』(YOBEL新書、2021年)、『旧約聖書と教会――今、旧約聖書を読み解く』(教文館、2021年)などがある。

「2022年 『絶望に寄りそう聖書の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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