- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816352737
作品紹介・あらすじ
認知(考えかたのクセ)を変えると、つらい気持ちがラクになる。日常の落ちこんだ気分にも、うつ病や不安障害にも効く。自分で気軽にとり組めるワークシート付き。
感想・レビュー・書評
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5日間ほどで読了。
認知行動療法についてのイロハを解説した図解本。
イラストや図式、具体例、そして質問表なども掲載されており、すぐにでも試してみることができるようになっている。
丁寧な解説なので、わかりやすい。
認知行動療法について、その歴史について、特徴、主な用語、うつ病が疑われるとき、ケースフォーミュレーション(概念化)、集団的認知行動療法、代表的な認知のゆがみ(推論の誤り)、ホットな自動思考などを解説し、DACS質問用紙やトリプル・カラム法など、代表的な認知行動療法におけるツールを紹介している。
アクションプランのトリプル・カラム、不安階層表、難易度・満足度シートなどもあり、行動療法的なツールも紹介。
そして、自動思考の根底にある「スキーマ」を探る方法(下向き矢印法やJIBT-R質問用紙)も紹介されており、自分のスキーマを見直し、PDL(ポジティブデータログ)を通して新たなスキーマを実感する方法が紹介されている。
更に、その他の認知行動療法として、リラクセーション法、エクスポージャー法、ACT、SST、アサーション・トレーニング、EMDR、ストレス免疫訓練などが紹介されており、自分でも簡単なものは実践できるようになっている(一部は専門家の指導の下行うことが推奨されている)。
最後に主な精神疾患に対する治療法が紹介されている。
盛りだくさんだったが、まとめてみて、見通しが立つと、認知行動療法の入門的な内容がある程度見通せたように感じた。
専門用語や横文字が多いこともあり、慣れるまで少し時間がかかるかもしれないが、認知行動療法を実践してみて、より生きやすい自分・環境に変えられればと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
認知のゆがみに力点が置かれて書かれている。
誤った自動思考のパターンとその直し方などが整理されていて読み易い。 -
認知行動療法がどんなものなのかの導入にはいい。ただ、素人が見よう見まねでやるのはやめたほうがいいと思う。ちゃんと心理学を学んだ先生と一緒にやるのがいいと思う。また、認知行動療法では、どうしてそういう認知をするようになったしまったかの原因までは問わないので、本質の改善にはならないと思う。
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認知行動療法入門書。
タイトルに「やさしくわかる」とあるように、文字の大きさも大きく、図が多用されているので、とてもわかりやすい。
また、ワークシートがいくつも掲載されているので、インプットとアウトプット両方が実践できるので、実際にやってみたいなーと思われた方に有効だと思う。
ただ、認知行動療法は、根気強くやる必要があるので、即効性があるとは言えない。
なので、じっくりと実践する必要がある。
第1章 認知行動療法とは 考え方と治療の流れ
第2章 自分でおこなう認知行動療法① 思考パターンを変えてみよう
第3章 自分でおこなう認知行動療法② 行動を変えてみよう
第4章 自分でおこなう認知行動療法③ 考えかたのクセを見直そう
第5章 症状に合わせておこなう、その他の認知行動療法
第6章 疾患別・より効果的な治療法
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心理療法(CCBT含む)の入門書。
幅広い精神疾患に対応したアプローチ方法が掲載されている。
事例が数多く載っているため、理論だけではイメージしにくい具体的なアプローチ方法が理解できる。それぞれの理論に対しワークシートもあるため、カウンセラーのみならずクライアント(当事者)側も実践可能な内容となっている。 -
入門書としては最適。
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独学で認知行動療法を学ぶ読者(精神疾患の症状が比較的軽度の人、または健康だが予防的に取り組みたい人)に向けた入門書。
私がリワーク施設で学んでいるCBTに比べると、反証の出し方にもう少し客観性があるほうがよいとは感じたが、大局的には違和感なく読み進められた。
一点気になったのは、非定型うつ病に関する箇所に括弧書きで「プチうつ」という表現があった(p.140)点。
誤解を招きかねない表現であり、そのあたりの配慮が徹底されておらず残念に感じた。 -
全体的なさわりと、言葉自体を知らなかった新しい技法(ACTやEMDR)についてわかったのがよき。そういう初歩的な概要理解のための本。
基本的に読みやすい紙面なんだけども、たまに文章がどこにつながるのか分かりにくいという内容じゃないところが気になってしまった。
ワークシートはじめ、ツールや他資源へのアクセス性があるのはよい。 -
【行動パターンAを根付かせる(広告や自動車免許更新講習ビデオにも用いられている)一つの方法】
Aするとメリットが生じる心地よいイメージまたはAしないとデメリットが生じる不快なイメージを脳に植え付ける。
(仮説)
行動パターンA(新たな教訓、等)を根付かせるための標語は単に「Aしよう」といったものより「Aすると、M(メリット)が生じる」や「Aしないと、D(デメリット)が生じる」といったものの方が効果的なことが多い。MやDの内容や表現を心地よさや不快さを連想しやすいものにすると、より効果的になる。「Aしないと、Dが生じる」といったものより「Aすると、Dが生じなくなる」といったものの方が効果的なことが多い。
(仮説)
すでに根付いている行動パターンAや不慣れなときに取りがちな行動パターンAを修正するための標語は「Aすると、Dが生じる」といったものより「B(=Aを修正した行動パターン)すると、Dが生じなくなる」といったものの方が効果的なことが多い。
(仮説)
すでに根付いている行動パターンAをやめるための標語は「Aしないと、Mが生じる」や「Aすると、Dが生じる」といったものより「Aするのをやめると、Mが生じる(Dが生じなくなる)」といったものの方が効果的なことが多い。「Aするのをやめた状態を維持すると、Mが生じる(Dが生じなくなる)」といったものにすると、より効果的になる(負の「報酬予測誤差」が生じにくくなる)ことがある。
(仮説)
行動パターンとして根付いている「Aすると、Mが生じる」というスキーマの中には前提条件Pが崩れると無効になるものがある。前提条件Pは「AしてもMが生じない」という事例を体験するまで気づきにくい。
(仮説)
「CのときにAすると、Mが生じる」というタイプの標語は条件Cの内容や表現を判定が容易なものにすると、より効果的になる。
(仮説)
行動パターンを変えるための標語集を、メリットがもたらす心地よさやデメリットがもたらす不快さをイメージしながら、毎日読み返すと、行動パターンをより早くより確実に変えることができる。行動パターンとして根付いた標語は毎日読み返す標語集から取り除くと、毎日読み返す標語集のページ数が増え続けずに済む。
【なかなかやめられない常習的(「行動嗜癖」気味の)行動パターンAをやめる方法の例】
Aするのに手間がかかるようにする。
Aするタイミングに制限を加えるなどしてAする頻度を段階的に減らしていく。
Aするのをやめた状態の日の累計数に比例して成果が増えるととらえる。例えば、列挙された日付にやめた状態を維持した日には〇をつけて維持しなかった日には×をつけていく。
Aすることで遂げようとしている目的や欲求を特定し、その目的や欲求を遂げる別の行動パターンを創造して切り替える。
Aするのをやめることを阻害するスキーマを特定して矯正する。
「自分が目指す人物像はAしない」といったスキーマやイメージを根付かせる。
Aするのを部分強化している主体を特定し、その主体からの作用を遮断する。
「主体Xの行動パターンAを主体Yが部分強化する」≒
「行動パターンAに関する主体Xの報酬予測に大きい正の予測誤差をたまに生じさせる作用を主体Yが主体Xに及ぼす」
(仮説)
繰り返しても予測精度が上がらない行動は嗜癖を引き起こしやすい。
(仮説)
脳に大きな予測誤差が生じる情報は依存症を引き起こしやすい。
(仮説)
脳に大きな予測誤差が生じる情報≒
好奇心を搔き立てる情報や感情を強く刺激する情報
(仮説)
脳は自分と関わりのある対象についてのみ予測する。
(仮説)
Aに頻繁に接触したりAに関する情報を頻繁に受信したりすると、Aが自分と関わりのある対象の一部になる。
(仮説)
Aが自分と関わりのある対象の一部になると、Aに関する情報に好奇心を掻き立てられやすくなったり感情を強く刺激されやすくなったりする。
「脳科学辞典」Webサイトには項目「報酬予測」ページと項目「行動嗜癖」ページがある(2021/2/21現在)。
【自分と相手の意見や主張の違いをもたらす要因の例】
保有する事実情報や知識の違い
ゴールや優先順位の違い
スキーマ(信念、価値観、常識、嗜好を含む)の違い
【相手のゴールやスキーマを変える方法の例】
飴と鞭(インセンティブ制度を含む)
洗脳やマインド・コントロール
リフレーミング
【マインド・コントロールで相手(A)のゴールやスキーマを変えようとする人がよく使うセリフの例】
「BさんがCしたんだって。すごいと思わない?」
「DさんがEしたんだって。ひどいと思わない?」
B、D=Aにとって仲間や同類のような人物
C=Aにしてもらいたいゴールの達成
E=Aにしてもらいたくない行動
(注)セリフはAの同意を強く促す口調や表情で言う。Aの同意が得られると、「commitment and consistency」等の心の習性によって、より効果的になる。
【相手のゴールやスキーマを変えずに相手の行動を変える方法の例】
相手のゴールやスキーマにより適合・整合している(かつ自分も第三者も容認できる)行動選択肢群を見つけ、それらを相手に提示するまたは気づかせる。
(仮説)
「社会から取り残されてはならない」というスキーマが根付いている人は社会の局所的・部分的状況をあたかも社会全体の状況かのように誤認させられることで思考や感情や行動が操作されやすい。
(仮説)
「社会から取り残されてはならない」というスキーマが根付いている人は「~が広がっています」、「~が高まっています」、「~が集まっています」、「~が話題になっています」、「~が注目されています」といった表現を頻繁に使うメディアのニュースに対して依存症気味になりやすい。
(仮説)
ニュースの中には一部の読者や視聴者のストレッサーとなるものがある。
(仮説)
ニュース依存症気味の人の中にはストレス過多に陥っている人がいる。
(仮説)
「世間を騒がせることは悪いことだ」というスキーマと「複数のマスメディアが批判的な論調で高い頻度で大きく報道したら世間を騒がせたことになる」というスキーマが根付いている人は複数のマスメディアによって批判的な論調で高い頻度で大きく報道された人物を(その人物が犯罪や違法行為をしていない場合でも)悪者とみなしやすい。
【進展がない出来事Aに関するニュースを日本のマスメディアが高い頻度で報道する方法の例】
出来事Aについて複数の専門家や著名人にインタビューして各インタビューを別の日に新たなニュースとして報道する。
出来事Aについての海外メディアの報道内容を別の日に新たなニュースとして報道する。
(仮説)
スキーマ集合S(={s1、s2、s3、…})が根付いている人が発信する、事実と意見がごちゃまぜの情報をクリティカル思考の処理を施さずに受信し続けると、受信者にもスキーマ集合Sが根付いていく。
(仮説)
ニュース源としてよく利用するメディアを変えると、世界観も変わることがある。
(仮説)
釣り見出し記事やゴシップ記事が紛れ込んでいないニュース・サイトを利用すると、時間を浪費しにくい。
【学習心理学を応用して見出しで読者を釣る方法の例】
たまにしか発生しない、読者の感情を強く刺激するニュースの見出しにあるキーワードまたはキーフレーズを使う。頻繁に発生する、読者の感情をそれほど強く刺激しないニュースの見出しにも同じキーワードまたはキーフレーズを使う。
(仮説?)
体の調子は体にインプットされる食べ物に左右される。脳の調子は脳にインプットされる情報にも左右される。