- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815808983
作品紹介・あらすじ
縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制や消費の動向からトータルにとらえ、その等身大の姿を浮き彫りにする。日本経済論の盲点に迫った初の通史。
感想・レビュー・書評
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パチンコをしたことは今までに1回もないし、これからもしてみようとは思わないが、仕事の関係でちょっと関心があるので読んでみた。詳細なデータが載っているが、とても追い切れない。終章にまとめがあるのはありがたい。1950年代というと、まだ大正10年法の時代だが、その頃既にパチンコ台を製造する企業が特許制度を利用していたとは意外だった。公正取引委員会が1997年にした審決を受けて、株式会社日本遊技機特許運営連盟が1999年に解散したのは、関係者にとってはかなり衝撃的だったらしいが、1959年の結成以来40年も続いた特許プール管理会社の解散は、確かに大事件だろう。あとがきを読むまで、著者の韓載香(はん・じぇひゃん)は男性だと思い込んでいた。2018年4月1日付け読売新聞書評欄。
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○主テーマ:パチンコ産業が発展してきた軌跡
○オリジナリティ:先行書籍は視点が著しく偏っている。
○視点:地下経済から脱皮できた変化に焦点を当てることによってパチンコ産業の発展のプロセスを検証する。脱税問題・暴力団の資金源などの陰の部分。巨大市場へと至る過程についての経済の論理に即した説明
○意義:パチンコの日常性を外国との比較。規制のなかでの巨大産業化のダイナミズム
○産業の特徴:規制産業(行政及びプレイヤー自らのルール)。パチンコ機械の開発リスクが高い。
○経緯
・パチンコは風俗営業取締法の規制対象(設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業)。1954年東京都公安員会が連発式機械の禁止措置令を発表、1955年4月実施。規制の影響は甚だしかった。
・平成6年度サービス業基本調査報告:事業収入額を約30兆円と推定。
・パチンコホール、企業数とも2006年から10年の間に約28%減少。市場規模は2005年の34.8兆円から2015年には23.2兆円に減少。
○パチンコ産業と民族マイノリティに関するアンケート調査(市民大学(退職後)と北海道大学(学生)):在日韓国・朝鮮人との関係について、若い世代において関連づけは希薄となっている。
○時代区分:事業確立期(1950-1990年代):創成期(1950-)、第2期(-1980)停滞期(中で2期の区分)、第3期(1980-)成長期:全部で4期
○参考文献
公的規制の経済学 植草 2000 大学新書庫 公立
社会的規制の経済学 植草 1997 大学書庫332.1Sh12
サービス産業の生産性分析 森川 2014
エコミスト
ジュリスト
○その他産業史書籍
・「在日企業」の産業経済史 大学335.21H27
・水洗トイレの産業史 大学研究室
(感想・メモ)
・規制産業という観点では、パチンコ産業と警備業と共通点がある。ただ、警備業の場合、どちらかというと不当な対応をしないようにという観点からの最小限の規制である。そのため、規制により、産業発展に著しい影響がなかったものと思われる。(検証必要)
・つまり、これまでの警備業の発展は需要の増大(新規事業も含め)によるものと考えていいのではないか。 -
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パチンコ産業の歴史を豊富な図版を用いて技術革新による隆盛、在日コリアンとの関係(最初日本人もいたが負のイメージから気づけば在日コリアンが経営主体に)まで網羅して描く。勉強になる。
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東2法経図・6F開架 673A/H27p//K
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パチンコ屋さんは、近所に沢山あるけど、全くしないので未知の世界です。。。「地下経済」って、、、
名古屋大学出版会のPR
戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」 論を超えた等身大の姿を浮き彫りにする。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0898-3.html -
『パチンコ産業史――周縁経済から巨大市場へ』
著者:韓 載香
【書誌情報】
価格 5,400円
判型 A5判・上製
ページ数 436頁
刊行年月日 2018年
ISBNコード 978-4-8158-0898-3
Cコード C3033
戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」 論を超えた等身大の姿を浮き彫りにする。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。
<http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0898-3.html>
【目次】
序章 存続可能性をかけて
1 存続可能性とは
2 パチンコへのまなざし
3 本書の視点――再び供給側から
4 課題と時期区分
第1章 パチンコ産業の胎動――縁日娯楽の事業化への道
はじめに
1 パチンコブーム
2 M商会の成長
3 射幸性の高い機械は儲かるのか
4 行き過ぎた射幸性のゆくえ――パチンコと規制
5 連発式機械禁止令の影響――機械メーカー
6 ホールの収益基盤安定化の模索
7 M商会の事業再編
おわりに――歩み出した産業発展
第2章 パチンコ機械メーカーの組織化――なぜ特許プールは成立したのか
はじめに
1 翻弄される市場――日特連設立の背景
2 メーカーの組織化と日特連の設立
3 日特連の仕組み
4 日特連の役割
5 「競争者を排除しないこと」 の経済的意味
おわりに
第3章 パチンコ機械市場における競争構造――促された開発競争
はじめに
1 制度変化と日特連の機能
2 開発競争へ
3 日特連と競争構造
おわりに
第4章 パチンコ産業の巨大市場化
はじめに
1 フィーバー機出現の前夜――ホール経営の収益基盤と釘調整
2 フィーバー機と著しい市場成長
3 取引慣行に生じた亀裂
4 新規参入とホール間競争の激化
おわりに
第5章 パチンコホールにおける大規模経営の出現
はじめに
1 郊外型ホールの歴史的展開
2 日常生活とパチンコ消費
3 フィーバー機導入と大型化の進行
4 多店舗展開にかけた期待
5 大規模経営の可能性――マルハンの多店舗展開の実態分析
おわりに
補論 パチンコと在日韓国・朝鮮人
はじめに
1 パチンコを生業とする人々
2 企業成長、産業発展、そして在日韓国・朝鮮人企業
3 パチンコはもはやビジネスチャンス
4 変わる社会環境
おわりに
終章 ブラックボックス化されてきた産業
はじめに
1 各章のまとめ
2 日特連の解散―― 一つの時代の終焉
3 規制と産業発展
おわりに―― M商会とマルハンの間
注
あとがき
図表一覧
索引