今夜ヴァンパイアになる前に―分析的実存哲学入門―

  • 名古屋大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815808730

作品紹介・あらすじ

進学、就職、転職、結婚、出産など、人生の岐路で大きな決断を迫られたとき、人は合理的に選択することができるのか。何かを選ぶことで、今とはまったく違う自分に変わってしまうかもしれないというのに-。誰しもが悩む「変容の経験」、その実存的な問いを分析哲学の視点から考える注目作。

感想・レビュー・書評

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  • 魅力的なタイトルで人生体験を変容させる出来事にどう向き合うかというテーマは良いが主観的価値観で判断すべきで周りの雑音に振り回されたらアカンと当たり前すぎて呆れる。値段も高い。

  • 第1章 ヴァンパイアになる
    第2章 変容的な選択
    経験は最良の教師である
    規範的な基準
    主観的な熟慮
    変容的な決断
    第3章 人生の選択
    感覚能力
    子をもつ選択をすること
    時間的に広がりのある自己
    第4章 新たなものの衝撃
    補 論 意思決定
    一人称的な選択
    根本的同定問題
    インフォームド・コンセント
    合理的な依存
    不確定な価値
    フィンク的な選好
    あいまいな信憑度
    階層ベイズ・モデル
    気づきがないこと
    結論 啓示

  • 書名が意訳しすぎている感がないでもない。

  • 日常、選択している時に行っている事だが…
    変容的な選択があるとは考えたことがなかったが、なるほど、確かに思い起こすとそのような選択は多くあった。
    歳を重ねていくにつれ、よくわからないことがいかに多いかと思うようになった。昔した選択は良かったと思うものだが、一歩引いて考えると、その選択は本当に良かったことなのかはわからない。変容的な選択の場合は、確かに
    わかり得ないものだ。変わった私は、変わらなかった私では、もはやないのだから。

  •  認識と個人をともに変容させるような類いの経験。その変容的な経験がこうなるだろうという自分の考えに基づいて合理的に選択することはあなたにはできない。あなたはその経験をすることを合理的に選べず、その経験を避けることも合理的に選べない。それが許容可能で合理的な規範的基準を満たすことはおよそ可能なのか?という問いを徹底して考える。どっちが好きかというのは、この選択では効力を発揮しない。
     期待をもって決断したいと願う。しかし、決断後の主観がどのようなものになるかは特定できない。好みといった主観は変容的経験の後に適用することは出来ない。よって、主観的な熟慮に置き換わるものではなくてはならない。【よって、その経験をすることの価値だけを目的としてその経験をしたいと思うのかどうかに基づいて、ドリアンを食べてみることを選びうるのである。】(P122)もし本当に決めようとするのなら、意思決定主体は科学の力に頼るしかなくなる。どんな自分になるか、変化そのものを好む自分なのかどうか、その経験から何か啓示がもたらされるとか、たとえば、ジョジョのディオとジョナサンとの対決の構造に似ている。ディオは吸血鬼そのものというよりは、その変化の持つ啓示によって選択した。変容的選択はその人の「才能」に近いもので決断される。

  • ヴァンパイアになる機会がある。人間にはないパワーや不死身の体が手に入る。ヴァンパイアに既になった人たちは全員がヴァンパイアになることを勧めてくる。しかし、一度ヴァンパイアになると、人間には戻れない。ヴァンパイアになることはどういうことか、なってみないとわからないという状況で、ヴァンパイアになるか、ならないかどう選択すればよいのか、様々な人生の意思決定と共に考察する図書。

    ヴァンパイアになるというのはその経験がない場合、なったほうがよいのか、ならないほうがよいのか合理的な判断はできない。それは結婚や出産、手術後など人生のいろんな状況にあてはまる。

    人生のこれまでの価値観や生活を変えるような決定をする際は、自分はこの先新たな価値観等を持った人物になるべきか、どうやってその人物に到達するかの方法の決断も伴ってくるらしい。

    経験したことないことを決断する際、人は合理的な判断は下せないというあたり、人の決断は難しい…

  • ヴァンパイアになる前のあなたは血を見るのもいやかもしれないが、ヴァンパイアになってしまったあなたは好んで血を吸うかもしれない。
    選好の変容がともなう選択を現在の選好に基づいて行うことはできない。
    子供を持つ前は子供に興味はなくむしろ苦手だったが、自分の子供ができた途端、子供が大好きになったという話は聞いたことがある。ならば、どうして子供を持ったことのない人が子供を持つかどうかの選択をすることができるのか。
    非常に面白い本だった。

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