アイズオンリー (SHYノベルス299)

著者 :
  • 大洋図書
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本棚登録 : 257
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784813012672

作品紹介・あらすじ

CGオペレーターの仁科縁はある事情から人と関わることを避けて生きてきた。ある日、上司であり叔父である訓の誘いを断りきれず参加した飲み会の席で縁は編集者の岩崎数真と出会う。数真には、子どものように何でも触って確かめる癖があった。それは子どもの頃、目が見えなかったことに起因すると告白する数真。その話を聞いた縁は過去に出会った「かず」のことを思い出す。縁が壊してしまった幸福な時間と共に-。一穂ミチが贈るオンリーワン・ラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 2021/08/30-09/02

  • 初読み作家さん。
    何冊か持っていながら読んでなくて、なんで読まなかったの私…と後悔。
    人気作家さんなのが大納得。

    子どもの頃全盲だった攻めと相貌失認の受けの再会もの。
    お互い好きでいるのに、病気のことや子どもの時の別れ方がネックとなり素直に相手に気持ちを伝えられない。
    もどかしいけど、なんとなく怖がる気持ちや引いてしまう受けが理解できて苦しくなった。
    切ないけど、2人の気持ちが通じた時は泣きそうになって嬉しくなった。

    すごく面白かったです。

  • ちょっと泣けた。
    目の見えないやんちゃ×相貌失認の臆病者
    仕事がらみで一緒に食事をした岩崎は昔は目が見えなかったと言う。夏休みに図書館でゆかりちゃんという子に本を読んでもらった思い出話をする岩崎。縁にはそれが自分だとわかった。もう二度と岩崎と会うこともないと思っていたが、岩崎は何かと縁にコンタクトを取ってきて、いつしか身体の関係に。次第に惹かれてはいくものの、縁はゆかりちゃんが自分であることも、自分が抱える障害についても岩崎には言えずにいて…

    何度会っても、どんなに好きになっても、顔が覚えられない。相手の笑った顔も怒った顔もわからない。そんな障害を抱え、対人関係をシャットアウトしてきた縁の苦悩と孤独を昔は手を引かれていた岩崎が今は強引に引き上げていくようなお話でした。
    最後あたりまで縁の秘密は告白されないけど、ふと何かを感じとった岩崎がぐいぐい縁の懐に入り込んでいって、過去と今を繋げていく感じがうまく描かれてるなーって思いました。

  • 幼少期失明していた過去を持つ編集者と、
    相貌失認のアートデザイナーのカップル。
    どっちもノンケだけど、幼少期の関わり合いでが
    恋に落ちるのが早い・・。
    こすりあい、スマタ、挿入と段階踏むのが
    愛おしいし、攻受役割の話し合いもするし、
    好感あり。
    叔父さんが目印のサングラスを貸す展開も
    面白かった。
    小倉ムク先生の挿絵もおっとり風味が素敵。

  • 元全盲の少年だった攻めと、その頃図書館で読み聞かせしてあげてた受け。「見ること」についてよく練られた構成だった。受けが過去に、攻めに酷いことをして…というほのめかしもあってか、するすると読めました。あと、受けの秘密とか。

    とてもネタバレになりますが、


    受けの秘密は、TVの知識で知っていたので、途中でそうかも?と勘づいた。この障害を持った人の小説を読んでみたかったので、それがBLとして読めたのは棚ぼたでした。とても興味深く読ませてもらいました。

    しかし受けの、相手を傷つけても逃避する、保身的な態度が、理解はできるけどいまいち受け入れがたく…。秘密を打ち明けられないトラウマみたいなエピソードが具体的にあったら納得いったかもですが。

  • 特殊なお仕事、複雑なバックグラウンドを持ったが故の固有の物の見方考え方を持った人たちの心情の捉え方を書かせると強いなあ。
    すごーく好きなお話でした。

    かつて目が見えなかったことから触れることで確かめる癖を持つ数馬と、相貌失認の病から人と深く関わることを避けている縁。
    初恋の相手との再会と、心の傷をゆっくりと回復していくまでの優しさ満ち溢れたお話。
    数馬のフットワークの軽さには驚かされますが、この軽やかさと会話のテンポの軽妙さは一穂ワールドの本領発揮だなと。綺麗でやわらかく心を掬い取っていく言葉運びは切り抜いてしまっておきたいものばかり。

    序盤から思いっきりエロシーンがあり、ムクさんの挿絵もがっつりその手の場面でおっ、おうとなりましたが(なんせ口絵もそのシーン)一穂節ならではのざっくばらんな男同士のやりとりが楽しくて好きなのです。
    会話のやり取りの楽しさ、いまひとつしっくりこない翌朝のやり取りを経て、「友達なんだかなんなのか」な和馬が縁にとってかけがえのない相手に変わり、それ故に真実を知られることを恐れてしまう縁の気持ちの移り変わりがとても切なかった。
    縁の抱えた癒えない孤独や不安をそっと包んでくれる数馬の優しさがとても好きです。
    タオルケットに添えたメッセージ、愛おしくくるまって目を瞑る縁、突然泣いてしまった縁に何も言わずに寄り添ってくれる数馬のくだりがすごく好き。

    ひとの顔、表情がわからないゆえの寂しさや戸惑い、孤独感が数馬の存在によって丁寧にやわらかに溶かされていく様が心地よく穏やかで、小椋ムクさんの優しいイラストにとてもあっていました。

  • 縁がかかえている問題は他人事ではなくて、はらはら読んだ。  小椋ムク先生の絵は好きだけど、数真のあっけらかんとした強引さには少々物足りない感じが、、、。見かけと違う意外さ、でいいのかな?

  • 見えないのに見えている、見えるのに見えない。とてもこのお話を表\現した言葉だなぁと。

  • うるキュン。色々克服して幸せになって欲しい。

  • かつて目が見えなかった数真と偶然再会した縁。過去に自分が行ったことを思いつつも彼に惹かれていくのを止められない。
    しかし好きだからこそ知られたくないことが縁にはあった…。

    この隠したいことに関する縁の独白、諦念にすごく胸を突かれた。
    数真と過ごす時間をすごく楽しそうにしていたのに、それよりも彼に知られることが怖くて終わらせてしまおうとするところがとても切ない。
    そして「知られた」と知ってからの強い拒絶に今までの苦しみが出ているようで胸を突かれる。

    ラストの数真の告白で彼の印象が(縁と同じように)変わった。
    彼も焦って一生懸命だったんだな。なんだかすごく微笑ましかった。

    数真を受け入れて縁が前に進もうとしている姿がとてもよかった。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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