ダイヤモンドより平和がほしい: 子ども兵士・ムリアの告白

著者 :
  • 汐文社
4.23
  • (32)
  • (36)
  • (13)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 242
感想 : 50
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (105ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784811380018

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表紙男の子の目の下の傷跡。それが全てを物語っている。自分の家族を殺し、自分の体の一部を切り落とした相手を許せるか。でも「許す」と話すのです。シエラレオネで何があったのか。私たちにできることとは。

  • 日本という国に生まれて小さい頃から当たり前にしていたことが、このシエラレオネという国では存在しない暮らしなのだと思い知らされました。
    幼い頃から戦争と隣り合わせで、12歳で兵士にさせられた子の話はほんとに読んでいて同じ世界なのかと胸が苦しくなりました。

    ー兵士になるか、死ぬかー

    子供たちはこの二択しか選択肢がないのです。

    今この時もこの国では戦争が繰り広げられています。私たちはどうすればいいのか。考えなければいけません。

  • 亡くなった後藤健二さんの著書。
    手に入りにくいということで。
    (増刷されたことでしょうが。)
    イスラムだけでなく、アフリカも訪れていてくれた、少年兵問題も取り上げてくれていた。
    こんなに温かい眼で世界のことをしらせてくださっていたのに…
    今となっては、ただこちら側から観ていただけの私としては言葉もありません。
    合掌。

  • 最近ちょうど、人工的だけれど天然のものと全く成分の同じダイヤモンドが販売されているニュースを見ました。
    大学の講義で映画「ブラッド・ダイヤモンド」を鑑賞し、ショーケースに並ぶダイヤモンドはただキラキラと輝く高価な石ではなく、アフリカ(シエラレオネ)の紛争に関わる物(かも知れない)と知りました。それを思い出して、もっと実態を知りたいと思い、ジャーナリスト後藤健二さんの書かれたこちらの本を見つけました。

    個人的に1番衝撃だったことは、戦闘兵士に育てられた子供達は体に傷をつけ麻薬を埋め込まれて、人を傷つけるということに対して無感情になって実行しているということでした。
    子供向けの本ですが、読んでいて非常に痛ましく、同年代の子供達が読んだらどう思うのかなと思いました。と同時に、グローバル化する世界で生きるための教養を身につけ、思いやりのある人に育てるために、自分に子供がいればぜひ読ませたいと思いました。

  • シエラレオネ アメリカ西部 大西洋岸に位置する国
    「平均寿命が世界で最も短い国」
    長引く戦争は、国民を苦しめ、多くの人が戦争に巻き込まれて命を落とす。
    質が高いダイヤモンドの産地としても知られていますが、それが国民の生活を豊かにすることはなかった。その利益は戦争の費用になり、銃などの武器に変えられた。
    そして、その銃は、大人だけでなく、子供もにぎった。
    10年近く続いた政府と反政府軍の激しい戦い
    首都フリータウンの市民の7割以上が家をなくす

    アンプティと呼ばれる人たち
    国境なき医師団
    ハンディキャップ・インターナショナル
    国連食糧計画(WFP)

    ダイヤモンドを手に入れようと反政府軍はダイヤモンド鉱山のある地域を襲い、支配していった。
    反政府軍の兵士である10歳前後の子供たち、リーダーは12歳
    忘れることはできない、消すことはできない
    体に麻薬を埋め込んで、正気でいられなくする
    彼らはただ戦闘マシンで、自分たちの意志などなかった
    正気を取り戻したとき、多くの家族を傷つけ、命をうばったという事実と
    向き合わなければならない
    セント・マイケルズ・センター 神父
    ふつうの子供たちが与えられる生活を取り戻していく
    自分を取り戻すには、周りから緊張させられないようなリラックスした時間が必要
    麻薬が子供たちを殺人マシン変えた
    国家 讃美歌 お祈り
    法や教育制度はほぼイギリス
    国連や他の国々の援助で、教育や医療、その他すべての費用をまかなう
    先生たちのお給料は安い上に、支払われない時もある。
    「彼らは望んで兵士になったのではない。親を殺され、誘拐されて無理やり戦わされた。彼らもまた悲しくつらい思いをさせられたのです。
    彼らはもう兵士ではありません。わたしたちの友だちです。
    わたしたちは受け入れてあげなければなりません。」校長 朝礼
    「子供たちを救わなければなりません。本当に平和を願うのなら、兵士だった子供たちへの見方を変えなくてはいけません。
    確かに、彼らは罪をおかしたかもしれません。でも、彼らは同時に犠牲者なのです。子供たちは強制されて兵士になったのです。
    人殺しが好きな子なんて、どこにもいないのです。」チェマ神父
    「もし今、子供兵士が目の前にいたら、俺はこう思う。
    彼らはまだ幼い子供だし、何も知らずに兵士として使われたのだろう。
    もし、その子がおれの目の前にいたとしても、おれは彼を責めない。
    たとえ、そいつが知っている子だったとしても、おれは何もしない。
    俺たちはこの国に平和がほしい。何よりも平和だ。それがすべてさ。
    彼らを許さなければならない。でも、絶対に忘れることはできない。
    答えはいつも同じだよ。理由は、この右腕さ。
    朝起きると、おれはどうしてもこの切れた右腕を見てしまう
    いやでも見えるからな、もともと、俺には2本の手があった。
    だから彼らを許せても、絶対に忘れはしない」
    今ぼくは変わった。新しい人生を手に入れた。
    許す、けれど、決して忘れない。
    (讃美歌〉-ぼくは、ここにいる
          どうか愛してほしい
          どうか受け入れてほしい
    「…この国は破壊を重ねます。
     …この国は分裂しています。
     …この国には強い部分もあれば、もろい部分もあるのです。
     …この王たちの時代に天の神は1つの国を興されます。この国は永遠に滅びることなく、…永遠に続きます。…」ダニエル書2章
    「今、ぼくは人を殺すのはいけないことだと思う。だって、彼らを創ったのは、ぼくを創ってくれた神さまなんだ。同じ人間なんだよ。神さまが創った人を、人が殺してはならない。
    たった1度でも、人を殺したら、そのことは決して消えないよ。何も悪いことをしていない人たちを殺すのは悪いことなんだ。
    でも…よくわからない…。
    今は戦争なんだよ。ぼくの両親は殺された。お父さんもお母さんも何も悪いことはしていなかったのに、殺された。それが戦争なんだ」ムリア
    心の傷は頭の中だけではわかるはずがない。わたしはそう思いました。
    「ぼくは今、こうやって新しい生活をしている。ぼくは変わった。新しくなって毎日生きているんだ。それが、神さまがあたえてくてた「許し」なんだと思っている。
    ぼくたちは誘拐されて、好きで兵士になったわけじゃない。
    ぼくたちを許してほしい。
    あの時は…自分が何をしていたのかわからなかったんだ」ムリア
    兵士として戦うのか。さもなければ死ぬのか。
    戦うことは「生きる」唯一の手段だった。
    戦争がひとたび起これば、すべてが破壊されるということ
    建物、街の風景、人の心に持っていた大事なもの
    戦後、貧しい生活が続けば、戦争が終わった時に抱いた明るい未来への期待は失望へと変わっていき、次第に貧しい生活への不満が生まれてきます。そうした不満がまた新しい戦争へとつながっていくのです。
    わたしたちは、そうなる前に戦争で傷ついた人たちにさまざまな手法で手をさしのべなければならないと思います。今、自分が生きているこの時を同じように生きている人(隣人)に、わたしはまず何をしたらいいのか。

    シエラレオネ
    人口 約530万人(2005年)
    首都 フリータウン
    民族 メンデ族、テムネ族、リンバ族、クレオール(白人と黒人の混血)
    言語 公用語は英語。他にメンデ語、手ムネ語など。
    宗教 イスラム教60%、キリスト教10%、アニミズム信仰30%
    産業 最大の産業はダイヤモンドの生産
    平均寿命 ‘2002
    シエラレオネ 男性 約38.4歳 女性 約35.7歳
    日本     男性 約78.4歳 女性 約85.3歳
    (出典:the world health report 2004)

    2007年、シエラレオネの内戦を指導した大人を裁く国際法廷において、子どもを兵士として戦闘に用いた罪で、反政府軍の責任者三人と政府軍側で戦った武装集団の責任者の一人の刑を確定しました。
    また、子ども兵士に関する最新の国連の報告書によると、子どもを兵士としてリクルートし、戦闘員としている武装組織の数は確認されているだけで、2002年から20007年までの間におよそ20%増えているといいます。
    特に、いまだに戦闘が続いていたり、戦闘が激しくなった下記のような地域や国々では、現在も子供たちを戦場から救う努力が続けられています。(2008年6月)
    アフリカ…ブルンディ、中央アフリカ共和国、チャド、コート、ジボアール
    アジア…アフガニスタン、インド、インドネシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ
    中南米…コロンビア
    中東…イラク、イスラエル、パレスチナ など

  • ◆後藤健二さんが殺害されて4ヶ月。やっと図書館から回ってきたのでようやく読む。◆遅読の私でも30分で読める、子どもが自分で読める言葉で書かれた児童書。◆戦争によって生み出された残酷な少年兵のノンフィクション。なぜ児童書なのかーー。後藤さんは社会に抵抗することのできない子どもたち自身に〈身を守る〉ことについて伝えたかったのではないか。大人には社会を変える力も意志もないと思っていたのではないかーー◆「やぶの殺し屋」と言われた少年兵ムリアがどのように少年兵になったのか、どう逃げ出したのか、そして抜け出して抱えているものは何なのか。後藤さんが身を挺して集めたシエラレオネの少年の言葉に心に胸が詰まる。

  • 後藤さんが亡くなって、メディアが取り上げる中で、
    数年前に読んだことのあるこの本が、後藤さんが書いた本だと知った。

    当時、ダイヤモンドを巡ってコンゴなどアフリカの国で内戦が続き、私たちの生活の中の一部が、内戦の遠因になっていることを知って、とてもショックだった。そんな中で、少年たちが銃を持って戦うことを強いられたと聞いた。

    後藤さんは、目の前で両親を殺され、誘拐され、人々を殺す兵士となってしまったシエラレオネの一人の少年兵を、丁寧に描いている。なぜ、子供たちまで武器を持って戦う、いや戦わされるのか?ずいぶん前に読んだ本なのに、とても印象的な一冊だった。

    今も、後藤さんが訪れた国では、年端もいかない少年、少女たちが、同じ状況におかれ、戦場へと連れて行かれて、平和に武器をむける存在になってしまっているのだろう・・・

    後藤さんの揺るぎない平和への思いが
    書かれたこの一冊を、心にとどめておきたいと思う。

  • 紛争ダイヤに関する映画を見て読んだ一冊です。
    映画だけではわからない紛争のリアルな様子や悲惨な様子、少年兵など非常に詳しく書かれておりそこまで量はないがとても読み応えがありました。

  • 子供向けに書かれた簡要な文章だけど内容はかなり生々しかった。
    ありきたりだけど日本に生まれて良かったと思う。
    本当は後藤氏のように「じゃあどうするか」まで考えなくちゃいけないんだろうけど・・・。

  • 同世代の日本の子どもたちは、この本に出てくる子たちの話を聞いてどう思うんだろう、、、ショックで暗い気持ちになる子もいるのではと思いましたが、事実。世界で本当に起こっていることとして、子どもたちにも伝えなければいけないんだと感じました。

全50件中 1 - 10件を表示

後藤健二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×