もっと知りたいバーン=ジョーンズ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 東京美術
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784808709518

感想・レビュー・書評

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  • アート・ビギナーズ・コレクションということだったが、収録されている絵、歴史背景、関連する文学/歴史などかなりの情報量が包括的にまとめられていて非常にわかりやすかった。文章も読みやすかったし、知っているつもりで知らなかったエピソードや関係性を知ることができて勉強になった。他のシリーズも読んでみたいと感じた。

  • まさに画家バーン=ジョーンズの生涯と作品、時代背景を知り、まさにビギナーが基礎知識を得るのにはうってつけの一冊。著名な作品がテーマ別に収録されていて、参考資料も充実。バーン=ジョーンズ展開催にあわせての刊行で、企画者による執筆でもあり展覧会のお伴に良いだろう(わたしは展覧会場で購入)。もちろん実作の輝きや存在感はなかなか印刷では再現できないので、やはり可能なら展覧会で実物に接してほしいが・・・。入門にはお得な一冊。編集もよい。

  • 失礼ながら、バーン=ジョーンズは青白い無表情の女性を描く画家、というイメージがあった。しかし実際は、表情、色合い、タッチなどのバリエーションが豊かで、すっかり惹きこまれてしまった。

    以下、お気に入りの作品。

    「黄金の階段」…一見すると連続写真の趣があるが、画面から音楽的なリズムが流れてくるようで衝撃を受けた。目を離した隙に少女が動きそうで、目が離せなくなる。

    「運命の車輪」…青銅色の女神と、セピア色の人間だけで構成される、色味を抑えた画面ながら、こってりとした塗り方と王の姿態の美しさが印象的。
    まったく同じ理由で、「果たされた運命」も好きだ。

    「いばら姫」…あどけなく幸せそうに眠るいばら姫に、愛娘への愛情が感じられる。あたたかい作品。

    「ラウス・ウェネリス」…赤・青・白の対比。色調の美しさで言えば、この作品が一番。

    「シンデレラ」…宴の後のシンデレラを描くなんて面白い。背景の藍色の陶磁器が、彼女が着ていただろう美しいドレスを思い起こさせるよう。

  • 三菱一号館美術館で開催されていたバーン=ジョーンズ展。物語が現実として存在する世界に行って見てきたものを描いているかのようで、時間を忘れて鑑賞させていただきました。この画家のもっといろんな絵を見たくなって購入した一冊。
    ページを開くと、夢の世界が広がっています。こんな夢を見てみたい、こんな世界に行ってみたい、と見とれてしまいます。伝説や神話を題材にした作品は、実際にあったことだと信じそうになるくらいの説得力。それぞれの絵の題材となったお話のあらすじを合わせて載せてくれるのも嬉しい。こんな挿し絵の本を手にできたら…一生目を離しませんねきっと。タペストリーやステンドグラスも、生活のなかに夢の世界を再現させようとしているみたいです。展覧会にも展示されてましたが、私信などに描かれた絵がユーモアが効いていて可愛い。ただ、できればシリーズ連作は全部見たかった、なんていうのは贅沢でしょうか?せっかくなら昔の教会に飾られた宗教画のように、絵を見て話を知る、って見方をしてみたかった…。

  • 時代背景や作者の事を知るのに
    とても参考になりました。
    モデルに成ったファムファタルのことも
    いい意味で書かれていたと思います。

    テーマにした物語のあらすじが
    あったので、いっそう鑑賞が楽しかったです。

  • 三菱一号美術館で行われている「バーン・ジョーンズ展」に合わせ読了。
    人生と作品についての説明は分かりやすいけれど、ちょっと物足りないような。

  • 2012年6月23日から8月19日まで、三菱一号館美術館で開催される「バーン=ジョーンズ 装飾と象徴」展に合わせて出版。共著者加藤さんは同館学芸員。同展を見る方には願ってもないテキストです。

    「もっと知りたい」シリーズは初めて買いました。「芸術新潮」や、美術特集の時の「BRUTUS」のような雑誌っぽいレイアウトで、本文テキストがコンパクトにまとまっているので、初心者にも非常にとっつきやすいです。作品の図版はもちろん、当時の時代背景や人脈の紹介など、トリビア的なコラムも豊富で飽きずに楽しく読むことができました。印刷もとても良いと思います。

    バーン=ジョーンズはウィリアム・モリスとの親交が深いことでも知られます。産業革命により近代化しつつある英国で、大衆が美的感覚を失いつつあることを危惧した二人は意気投合。家具やステンドグラス、タペストリーといった美術工芸の分野でも優れた作品を残しました。
    当時やはり絵画彫刻などの純粋芸術よりも、工芸はランクが下に見られていたそうです。バーン=ジョーンズは両者に優劣をつけず、工芸デザイナーと画家の両方を同じ比重でこなしました。

    若い頃からアーサー王伝説やギリシャ神話に強い傾倒を示し、イタリアでヴェネチア派ルネッサンスに触れたことで、独自の作風を確立。見ればすぐに分かりますがとにかく色彩が美しく、デッサン力はすさまじいまでに完璧。装飾的な構図や、あえて動きを感じさせない中世的な人物のポーズが、吸い込まれるような静謐さを放っています。
    素直に美しいなあとうっとりしてしまう素晴らしい絵ばかりです。題材である神話のストーリーが簡単に説明してあり、鑑賞の助けになります。この本をあらかじめ読んでおけば、展覧会に行ったときにいちいち説明板を読んで時間をとられることもなさそうです。

    アカデミーやサロンの主流だった新古典主義と、それに対抗する印象派がアート界をにぎわせていた19世紀後半。そんな中バーン=ジョーンズが、ギュスターブ・モロー、フェルナン・クノップフといった象徴主義の画家たちと共鳴しあっていたという話は非常に興味深かったです。

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著者プロフィール

日本女子大学文学部教授。英文学専攻。明治大学大学院文学研究科博士後期課程退学。主な著書に『増補 オーウェルのマザー・グース――歌の力、語りの力』(岩波現代文庫、2021年)、『ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌』(岩波新書、2020年)、『葉蘭をめぐる冒険――イギリス文化・文学論』(みすず書房、2013年)、『ジョージ・ベストがいた――マンチェスター・ユナイテッドの伝説』(平凡社新書、2010年)、主な訳書に、オーウェル『動物農場――おとぎばなし』(岩波文庫、2009年)、『オーウェル評論集』(編、共訳、平凡社ライブラリー)などがある。

「2022年 『オーウェル『一九八四年』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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