もっと知りたいカラヴァッジョ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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  • 東京美術
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784808708702

感想・レビュー・書評

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  • ケンカっ早く、とうとう殺人を犯して「死刑宣告」(好きに命を狙ってもいいですよ、という許可)を受け、刺客から逃げながら絵を描いたという画家カラヴァッジョ。

    彼の人生も劇的なら、うみだす絵も劇的。漆黒の背景に浮かび上がる人物たちのドラマチックな表情といったら……
    さらには、晩年の「ダヴィデとゴリアテ」なんか、斬り落とされたゴリアテの首を自画像として描いていてすさまじい。
    バロック美術のさきがけと言われる。
    ちなみに描き方もダイナミックで、下準備せずにいきなり描いたという。なんと、1枚もデッサンが残っていない!

    「リアルな静物描写を味わう」というコラムがあって個人的にこれは嬉しかった。というのもカラヴァッジョといえば静物画だと勝手に信じているから。

    ミラノのアンブロジアーナ絵画館にある「果物籠」は、これまで見た静物画のなかでベストだと言い切れる。

    じつは劇的な演出のほうはあまり好みではなく、彼ら彼女らがもっている果物や装飾物やらにばかり注目して見ている。
    もっとも、「聖マタイの召命」など、大傑作であることにはちがいないのだけれど。

    (今回あらたに気になったのは、カラヴァッジョが「アッシジの聖フランチェスコ」を繰り返し描いていること。この人、本をはじめいろんなところで出くわす。最近ではオリヴィエ・メシアンのオペラ、下村寅太郎のエッセイで。)

  • ”罪と絶望のどん底から一条の光を求め続けた犯罪者の画家が身を削って描いた絵は、同じく罪の泥濘にまみれ、奇跡を信じられなくなった私たちをも浄化してくれるのだ。”

  • これは非常に親切な、カラヴァッジョ解説書だと思った。

    美術の教科書を読んでいるような感じで読むことができる。
    内容は時代背景や人間関係にまで及び、時系列で芸術家の作品と人生を知ることが出来る。

    絵画の解説も親切でわかりやすく、カラヴァッジョの作品について詳しく理解することが出来る。

    著者のカラヴァッジョに対する思いが伝わってくる本だと思う。

    本の体裁はあまりパッとしないが中身が濃い本。
    とてもコストパフォーマンスが高い本だと思う。

  • ガラヴァッジョの生涯を辿りながら作品を見ていく構成はわかりやすい。ガラヴァッジョの描いた作品に負けず劣らず、その私生活も圧巻だ。何かしら私生活のアンバランスさは残念な気もするがそうだからこそ生み出された作品なのかなぁと思う。

  • もう6年も前になる国立西洋美術館めのカラヴァッジォ展で、「法悦のマグダラのマリア」を見て甲骨としたマリアの顔にドキッとしたことや、先日のメトロポリタン美術館展で、初期の自画像が描かれた「音楽家たち」を見て、最初から才能のあった人なんだと感じたことも思い出しながら、再度、カラヴァッジォの人生をおさらい。

  • メトロポリタン美術館展で展示されていたカラヴァッジョの作品は、「音楽家たち」だった。

    カラヴァッジョの作品の登場人物は、最近の氷川きよしの様なイメージの人物が多い。

    でカラヴァッジョをもう少し知ろうと思い本書を手にした。

    音楽家たちは、14ページに合奏という題名で紹介されている。2009年に発売されて本なので、古い解釈での題名なのかもしれない。

    カラヴァッジョは殺人者で逃亡者であるのは本書で知った。

    展覧会の図録では、
    カラヴァッジョはバイセクシャルであったと考える人が多い
    と書かれている。

    本書でもホモエロティックとかカストラート(調べてね)とか色々と出てくる。

    作品に中々妖しい世界が描かれているのは、そう言うことなのだろう。

    カラヴァッジョは、ほどほどにしておこう。

  • よくわかる

  • 2019年8月4日読了。

  • やっぱこのシリーズわかりやすいし、見やすいよな。
    絵がでかくてカラーってのが助かるし。

    それにしてもカラヴァッジョって、迷惑なヤツだな! てか犯罪者だもんなあ。
    あれかなあ、天才肌な芸術家にありがちな偏った性格と能力の持ち主だったってこと?

    というわけで、カラヴァッジョ展、ますます楽しみになってきた-。

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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