貝と文明 (螺旋の科学、新薬開発から足糸で織った絹の話まで)

  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715276

作品紹介・あらすじ

数千年にわたって貝は、
宝飾品、貨幣、権力と戦争、食材など、
さまざまなことに利用されてきた。
人間の命が貝殻と交換され、
幻覚を起こす薬物としても使われ、
医学や工学の発展のきっかけもつくる。
気鋭の海洋生物学者が、
古代から現代までの貝と人間とのかかわり、
軟体動物の生物史、
そして今、海の世界で起こっていることを鮮やかに描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 一番気になったのがサブタイトルの足糸で織った絹。
    Sea Silk
    https://en.wikipedia.org/wiki/Sea_silk
    全然記憶に残ってないけど、海底二万里のノーチラス号の船員はこの海の絹で作られたコートをまとっていたとか。英語からの翻訳だと省略されてるらしいので、日本語版でももしかして?そのうち要確認。
    足糸は貝が海底に自分を固定するために分泌する繊維。
    古くはロゼッタストーンにも記述があるそうだけど、sea silkと表記されただけで実際は亜麻布らしい。ミイラ巻くのに使うもんね亜麻布。
    ただミイラと共に発掘された海の絹もあるそう。それはミイラを巻いてたんじゃなくて、足の間にあったって表記だったけれど。
    海の羊毛とか金羊毛とか伝説に使われることが多いし、実在はするけれど、実際に表記通り使われたかどうかは定かではない系アイテム。それが海の絹。
    現在ではたった一人足糸の採集が許可されてるという伝承者がいるそうだけど、ほんとに伝承者寄りなので秘密も多くて科学的な解明は難しそうな雰囲気でした。
    忘れ去られるのは言語道断だけど、注目が集まりすぎて貝を乱獲密漁されても困るので、その辺のバランスが大変なんだろうなと思います。
    現在貝自体は保護されているのですが、手袋一組に150個分の足糸が必要だそうなのでね…。
    日本人の旅行者がブログでその伝承者の方と対面した記事を見たけど、そちらはドロップスピンドルで糸を紡ぐところを見せてもらってて、おぉ~っと。
    あとレモン汁で脱色して金色?にするのと、編んだ編み地も見せてもらってましたね。貝と文明の方でもそういう写真見たかったかも。
    本文に図版少ないのと未処理の足糸(ゴミがいっぱいくっついて汚い)しか載ってないのが残念だったなぁ。
    ブログの方では洗浄後カーディングして紡いだあとの、ドライブ編みの編み地や織物に使ったり刺繍に使ったりとバリエーション豊かに見せてもらえてましたし。
    足糸の繊維なんてそんな長いもんじゃないだろうにと思ってたけど、羊毛も短いのだと3cmくらい、綿花も3cmくらいだっていうから紡ぐのにそこまで苦労はしないのかな。糸紡ぎ楽しそうでした。

    海の絹以外はアオイガイの生態や微小貝は日本で人気とか仮想博物館、順番待ちをするヤドカリがおもしろかったところ。
    自然環境の保護については、同時に人口のコントロールも課題なんじゃないかなって思ったり。
    戦争や人為的な疫病みたいな非人道的な方法以外でね。
    いずれにせよこのまま無計画に増やし続けたら、地球では全人類の食料はまかないきれないという試算は出てるわけですし。
    ちょっとダン・ブラウンのインフェルノを思い出しました。

  • 【新着図書ピックアップ!】
    私は貝が好きだ。つぶ貝が好きだ。寿司だ。
    日本人は貝好きだ。古来から、食べるのはもちろん、飾りとして使われたり、百人一首が描かれたり…。たしかに、貝と文明は深い関係がありそうだ。
    作者はイギリスの海洋生物学者で、貝が大好き。そして訳者も、貝殻をコレクションしているほど貝が大好き。そんな貝好きが組み合わさったこともあり、原作者と訳者の貝への愛がびしびし伝わってくる本である。貝好きのあなた、ぜひ一読を。

    【New Book!】
    I like Seashells. I like Sushi of Tsubu-gai(whelk).
    I think a lot of Japanese like seashells, too. Since long time ago, Japanese have eaten them. They have used it for accessories, Hyakunin-issyu(japanese traditional card game) and so on. As written in this book, there is a connection between seashells and civilization.
    The author is a British marine biologist. She loves seashells. The translator loves them, too. This book is full of love for seashells.
    I recommend this book to seashells lovers.

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著者プロフィール

イギリス生まれ。海洋生物学者。
魚を観察するために数百時間を水の中で過ごしてきた。ダイビングやサーフィンをこなし、ラジオ番組の出演者としてもサイエンス・ライターとしても活躍する。海の語り部として知られ、BBC ラジオ 4 の番組「ザ・インフィニット・モンキー・ケージ」ではロビン・インスとブライアン・コックスとともに深い海の不思議について考え、「取っておきのもの博物館」のコレクションにタツノオトシゴの仮想水槽を寄贈した。BBC サイエンス・フォーカス誌や BBC ワイルドライフ誌には毎号のように記事を執筆している。ラジオのドキュメンタリー番組では夢の水中生活を紹介し、絶滅の危機にある巻貝を追いながら世界中をめぐった。
最新の著書『Spirals in Time』(邦訳『貝と文明──螺旋の科学、新薬開発から足糸で織った絹の話まで』築地書館)は、王立協会生物部門の出版賞の最終候補に残り、エコノミスト誌、ネイチャー誌、タイムズ紙、ガーディアン紙の年間人気書籍に選ばれ、BBC ラジオ 4 の週間ランキング入りも果たした。

「2020年 『魚の自然誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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