林業がつくる日本の森林

著者 :
  • 築地書館
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715269

作品紹介・あらすじ

半世紀にわたって森林生態系と造林の研究に携わってきた著者が、生産林として持続可能で、生物多様性に満ちた美しい日本の森林の姿を描く。
日本列島各地で、さまざまな条件のもと取り組まれている森づくりのめざすべき道を示した。

感想・レビュー・書評

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  •  日本の林業の現状とこれからの課題を、森林の研究者が俯瞰的かつ具体的に整理した本。難解な内容かと思ったが、一般人の自分にもわかりやすく、示唆に富んだ本だった。

     日本林業の構造的な問題や、森林荒廃・森林被害を訴える本はこれまで読んできたが、目的別に森づくりの指針を示し、森林政策の不備まで指摘した本は初めだった。

     特に、これまでどの本を読んでも何となく区別があいまいだった森林を、機能区分と目標林に分類して示していることはわかりやすく、ひとつの成果だと思う。

    ■生産林
     -経済林(いやゆる林業のための森林)
     -生活林(生活の場としての森林、里山林)
    ■環境林(水土保全、水源涵養のための森林)

     これらを組み合わせた構造が豊かな森林を目指すことで、生物多様性と経済活動を両立できるという著者の主張は納得がいくものだった。
     是非これらを森林行政に役立ててほしいものだ。

  • 請求記号 652.1/F 62

  • 環境関係の本に限って言えば、日本の林業や森林資源について書かれた本は、どれも読んでいてはなはだもどかしい。世界でも有数の森林国でありながら、その貴重な資源は決して活かされているとは言えない現実が語られるからだ。その原因は、日本の林業の遅れと、国としてのビジョンのなさ、背策の乏しさである。本書の筆者は、発刊時点で80近い高齢である。それだけに、半世紀にわたって森林生態系と造林の研究に携わってきた人間として、目指すべき日本の未来への熱い思いが、繰り返し繰り返し述べられている。

  • 『我々が求めるべき社会は「持続可能な循環型社会」である。持続可能であるためには生態系に順応した循環型社会を目指さなければならない。』という一文から始まり、第一部で日本の森林・林業の現状と問題点を整理。第二部でその問題を解決するために必要なことは何か、第三部新たな森林管理のために必要なこと、第四部豊かな日本の農山村と社会を目指してとまとめられています。

    特に「日本の森林は市民、国民から離れてしまっている」という指摘には山側も真剣に対策を考えて行かなければと思います。森林環境教育や木育、森のようちえん、森林浴、様々な形で森林や林業に関心を持ってもらうための取り組みが大切かと思います。

    良い本に出会えて感謝です。

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著者プロフィール

1938年京都市生まれ。農学博士。
1963年京都大学農学部林学科卒業後、農林省林業試験場(現在の独立行政法人森林総合研究所)入省。森林の生態と造林に関する研究に従事。研究業績に対して農林水産大臣賞、日本森林学会功績賞を受賞。1999年、森林環境部長を最後に森林総合研究所を退官。社団法人・日本森林技術協会技術指導と青山学院大学非常勤講師を務めた。気候変動枠組み条約政府間パネル(IPCC)がノーベル平和賞を受賞したことに貢献したとしてIPCC議長から表彰される。

主な著書
『枝打ち―基礎と応用―』(日本林業技術協会)、『森との共生―持続可能な社会のために』『森林と地球環境保全』(いずれも丸善)、『新たな森林管理―持続可能な社会に向けて』『森づくりの心得 森林のしくみから施業・管理・ビジョンまで』『「なぜ3割間伐か?」林業の疑問に答える本』(いずれも全国林業改良普及協会) 、ほか

「2021年 『林業改良普及双書No.163 改訂版 間伐と目標林型を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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