先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学

著者 :
  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806714583

作品紹介・あらすじ

捕食者の巣穴の出入り口で暮らすトカゲ、<br>猛暑のなかで子育てするヒバリ、<br>アシナガバチをめぐる妻との攻防、<br>ヤギコとの別れ……。<br><br>自然豊かな小さな大学を舞台に起こる<br>動物と人間をめぐる事件を<br>人間動物行動学の視点で描く大好評シリーズ第7弾。<br><br>ヤギコのアルバムも掲載。<br>

感想・レビュー・書評

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  • 今回は、ヒバリ、アシナガバチ、ヒグマとヘビ、カエル、トカゲとカナヘビ、モモンガ、ヤギ。

    ヤギのカラー写真が8ページに渡って載っていた。
    本大学に2001年に生後2か月でやってきた"ヤギコ"が2012年に亡くなった思い出アルバムでした。

    ヒバリは人通りの多い地上の草むらに巣を作ったのを学生が見つけて、子育てを見守る話。
    本書の表紙はヒバリの幼鳥。かわいい。

    アシナガバチも集団で命をつなぐ、巣作りと子育ての話。
    一つの巣を増築しながら3回子育てをしていた。

    ヒグマはヘビの匂いになぜか警戒し、たじろぐようだ。
    ヘビの形態や行動を嫌がるのではない。

    オタマジャクシの食性、生まれた時は草食で、足が生えてくるころには肉食へ変わる。
    実際に飼育してみてよくわかったみたい。

    本書のタイトルの大型野獣の正体はイノシシでした。
    だが、イノシシの話題はほとんどなくて、カナヘビとトカゲの話だった。
    自分の捕食者であるタヌキの巣穴の出入り口近くにわざわざ自分のねぐらを作るトカゲ。
    その理由は不明。

    前作に引き続き、モモンガ登場。モモンガの湯のある芦津の森の状況報告。(といっても10年前の話)
    小学生向けの「モモンガ森の営みとその恵み」というエコツアーの様子。
    こういう自然体験は子供の記憶によく残るのでイイね。

  • 先生!シリーズ第7弾。と言っても第1・2弾までしか読んでおらず、随分飛んでしまったけれど。
    3冊目の今回が一番読みやすかった、と言うより自分の興味のある話が多かったのですいすい読めた。

    鳥取環境大学の敷地内における食物連鎖に驚いた。立派な生態系がそこには存在している。
    ミジンコに始まってメダカ、カエル、イモリ、ヘビ、トカゲ、タヌキ、キツネ、アナグマ、イノシシ、ヤギ、そしてヒト。
    大学内に集まる様々な生き物と、それぞれの関係性を見ていると実に面白い。
    地球上に生きる”生き物”として、共存していくことの大切さ、厳しさについて考えさせられた。

    「科学者にとって、現場こそ命なのだ」
    「人間は、野生動物と接することによって成長できることがある」
    小林先生の仰る通り、大学内で科学者の指導のもと科学者の卵たちが目の前に広がる”現場”で、のびのびと野生動物の観察や生きた実験を行うことの素晴らしさ。恵まれた環境で勉強できる科学者の卵=学生たちが羨ましい。

    自宅でその姿を見掛けると、もう追い出すことしか思いつかないハチ。小林先生の話を読むと、ハチに親しみを感じてしまうから不思議だ。
    今度ハチの巣を見掛けたら先生のように巣の中を覗いてみよう…とはさすがに思えないけれど。

    そして大学創立以来ずっと大学内で小林先生や学生たちと共に生きてきた、ヤギ部ヤギ部員・ヤギコの死。
    ヤギコの子ヤギの頃からのアルバムを見ながら、たくさんのヒトやヤギに囲まれて楽しそうな様子が微笑ましい。
    最期を小林先生に看取られたヤギコは、幸せな生涯をおくったのだとしみじみ思う。

  • このシリーズ、随分前に読んでたんですが、なんも書いてなかったんで再読。
    ・ヒバリの巣
    ・セグロアシナガバチ
    ・シマリスのヘビ臭利用、ヒグマ対策
    ・アカガエル
    ・トカゲ
    ・芦津モモンガプロジェクト
    ・ヤギコの思い出
    ヘビ臭、非常に興味深いです。
    アカガエル、トカゲが非常にそそられました。
    語り口も非常に面白く、読みやすいです。ハイクオリティ娯楽。

  •  鳥取環境大学の小林朋道教授による,キャンパスでの動物と人々の出来事を書いた作品。

     動物の大好きな先生と学生たちが,キャンパスで日夜繰り広げられている日常は,トホホな話もあり,ヤギたちとの心温まるふれあいもあり,森林に分け入って研究する冒険譚もあり。

     キャンパスの石段に巣を作るヒバリたちを学生や小林教授が見守っている姿はほほえましいです。野生の動物との接触の心構えやどうしたらいいのかも考えさせられます。

     大学のヘラジカ林に棲む動物たちでは,アナグマ,イタチ,テン,ノウサギ……。それぞれ直接観察したり巣穴を見たり,糞や,足あとの形跡などから見つけたり,動物学の研究者ならではの視点がとても楽しいです。

     また,全国的にも非常に珍しいヤギ部の話が出てきますが,創部当初から飼われていたヤギ子が2012年に11歳で逝去。生前のヤギ子たちのエピソードもほっこりします。

  • 自然豊かな大学を舞台に繰り広げられる
    面白い実話でした。

    このような 先生に出会ってみたかったなぁ~って
    思える先生でした。

    生き物に対する
    この好奇心は 素晴らしいです~~

    おたまじゃくしの 行動は 全く知らなかった事なので
    とってもびっくりしましたが 自然というものは
    学べば学ぶ程 面白いですね。

  • シリーズ7作目。

    身近な生物たちを相手にする動物行動学者の頭の中がのぞけることが楽しいシリーズです。
    観察し、仮説を立て、実験する。
    それが日常の中であたりまえになっているからこそ、1つ1つの発見にわくわくさせられるのだろうな。

    今回は私のようなカエル嫌いには厳しいエピソードも…。
    珍しく冒頭でコバヤシ先生が「カエル嫌いは読み飛ばした方がいいかも…」と書かれていたのですが、やっぱり気になって読んでしまいました。(ただし写真はほとんど手で隠しながら…)
    半分鳥肌をたてつつも、やわそうに見えるカエルの卵のゼリー状の部分が果たしている役割に驚かされました…生き物の仕組みってやっぱりすごい。
    ヒバリを見守る鳥取環境大学のみなさんのエピソードは、身近な動物と人間のちょうどよい距離感が感じられてほっこりしました。

  • (No.13-42) ノンフィクションです。「先生!シリーズ」最新刊(といっても5月発行)。

    なんと野生児のように丈夫なはずの小林先生が、帯状疱疹になったそうです。先生のような方でもなるんだ!
    しかし50歳過ぎまで、肩こりやそれからくる頭痛を経験したことがなかったという人っているんですね。それにもまたびっくり。
    というはじめにの挨拶から、ヒバリ、蜂、シマリス、カエル、モモンガなど盛りだくさんの内容です。

    ヒバリは昔から人間の生活圏に巣を作ってきたんだろうな。そして巣を見つけると保護した人達が多かったのだと思う。ヒバリは虫を食べてくれるんだよ、という話を子供の頃に聞かされたこともあったっけ。
    ヒバリがキャンパスの人通りが多い歩道のすぐそばで営巣しちゃって。先生はもちろんだけれど、何人もの学生たちが保護に乗り出します。

    自宅玄関前に置きっぱなしだった板の下に、小さなアシナガバチの巣があるのを見つけた先生。よくここを選んでくれた!誰かと喜びを共有したくなって初歩的なミスを犯す。妻に話してしまったのだ。それは危ないな~取ってしまわなければ、と言われてしまう。玄関前だもの、当たり前の反応でしょ。野生児の奥様は普通の人ですね。
    「玄関のハチは一つ屋根の下で暮らす家族の一員」と抗弁する先生に、「家族の一員ではありません」と奥様。蜂を救うため頭をフル回転させる先生。いや~、こういう人と暮らすのは大変でしょうね。でも面白そうだわ。

    モモンガプロジェクトの話。どういうプロジェクトかは本書を読んでいただくとして、ロゴへの情熱がとっても面白かった。ロゴに対するいろいろな考察、薀蓄。
    モモンガプロジェクトのロゴは先生が描いたのですが、その焼き印を作ってグッズに押すことに快感を覚えた先生は焼き印押し作業を独占!
    素敵だなと私が思ったのは、独占の仕方です。プロジェクトリーダーだからとか教授だからという権威を振り回すのではなく、練習用の板に何回も何回も押印して、数々の失敗を経て完璧に押せるようになり、焼き印押し作業を独り占めするのです。
    その努力を知ったらプロジェクトに参加した人で、「先生一人で押すなんてずるい」という人はいないと思う。そんなにやりたいのか!と驚くかもしれないけれど。

    何度も笑いながら楽しく読ませていただきました!

  • もう毎度お馴染みの小林先生の書籍、読了。

    本書はヤギ子(ヤギ)の追悼書でもありました。
    11年も一緒にいたらいろんなことがありますよね。
    しかし…小林先生に飼われるとうっかり実験に使われるのは、もうお決まりのようです。

    ヘビの実験もちゃんとありました。
    今度の対象はヒグマ‼︎
    もう、コレは脊椎動物に分かれるより前に、獲得した形質なのではないかと推測します。
    ヒトは視力に頼って生きているけど、野生動物はもっと嗅覚を重用してるんだな。。


    しかし、ヘビの匂いってどんなのなんだろう。
    うちのカメは草食なので、排泄物もあまり匂わないんですが、ヘビは肉食だからもう少し臭うのかな…?
    獣に比べたらあんまり臭くはなさそう(イメージ

    それと、興味深い記述もありました。
    人間の脳は分類することを楽しいと感じるようです(若干読み飛ばしたので表現は曖昧です
    だから同定すること、みんな好きなんだなぁ、と納得。

    カナヘビとニホントカゲの違いについても学べました。
    次巻も楽しみです♪

  • 大人気シリーズの最新刊。だんだん有名人になる小林先生だが、研究熱心は相変わらず。そこは面白いのだけど、今回はももんがの湯でだいぶ脱線。マンネリ感も否めず、評価が辛くなってしまった。でも、相変わらずおもしろいんですよ。

  • 職場の人に勧められて読んでみた。とても面白かった。気さくな文体で語られる筆者と野生生物の面白エピソードが読みやすくて一気に読んでしまった。しかも所々に生物学的な知識が埋め込まれているため、(へ〜こんな事ってあるのか)って感じだった。
    アカガエルのオタマジャクシのエピソードとハチコのエピソードが特にお気に入り。作者の同シリーズ他にも読も!

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著者プロフィール

1958年岡山県生まれ。
岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。
岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005 年教授。
2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。
専門は動物行動学、進化心理学。
これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。
現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺や森の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる。
中国山地の山あいで、幼いころから野生生物たちとふれあいながら育ち、気がつくとそのまま大人になっていた。
1日のうち少しでも野生生物との"交流"をもたないと体調が悪くなる。
自分では虚弱体質の理論派だと思っているが、学生たちからは体力だのみの現場派だと言われている。

「2023年 『先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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