先生、キジがヤギに縄張り宣言しています! 「鳥取環境大学」の森の人間動物行動学

著者 :
  • 築地書館
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806714194

作品紹介・あらすじ

イソギンチャクの子どもがナメクジのように這いずりまわり、フェレットが地下の密室から忽然と姿を消し、ヒメネズミはヘビの糞を葉っぱで隠す。自然豊かな小さな大学を舞台に起こる動物と人間をめぐる事件を人間動物行動学の視点で描く。

感想・レビュー・書評

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  • おや、最初に8ページのカラー写真のページがある!
    白黒の本だったので、このカラーは嬉しい。
    最初の写真が小林先生の研究室で、人間性をさらけだしているようにゴチャゴチャしている。
    これでも写真撮影用に精一杯整理したのだろう。

    最近、鳥の巣の本を読んだばかりだったが、本編に入る前の「スズメバチの巣に巣を作ったスズメ」の話(と写真)でグッとつかまれた。
    鳥の巣の本には、ツバメの巣を乗っ取るスズメの話題があったが、スズメは何でも利用して巣を作る鳥なんだと改めて認識した。

    本書で驚いたのは、イソギンチャクの子どもは這って動くということ。
    驚いたというより、今まで考えたことがなかった。
    そこでふと思ったのが「サンゴは?」ということ。
    調べてみたら、幼少期の時はクラゲのように水中を漂って移動するが、1度海底に固着したらそのまま動かないのだと分かった。

    本書はシリーズ5刊目であるが、しばしば以前の話題が出てくる。
    何処から読んでもいいのだろうが、最初から順に読むとより楽しめる本だ。

    次作の主役(?)のモモンガが、最後にチョットだけ登場する。
    木の上の方に設置した巣箱から顔を出しているのを見つけたのだ。
    この後たくさんのモモンガと遭遇することになるらしい。
    どういう展開になるのか楽しみだ。

  • とても面白かった。なんと、なんとなんと、超ハッピーエンドではないが、ある意味ひとつのハッピーエンドではある。オスカーの決断、非常に理解できます。ティナーシャとの結婚も優しく和んだ。色々と辛いエピソードもあるが、とても読みやすく引き込まれる。超個人的見解だが、挿絵のタイミングとチョイスが悪い、だいたいこの本に挿絵が不必要。もし、普通のラノベでないレーベルから挿絵なしの文庫版が出るなら、大歓迎です。
    一応この3冊で表の話が終了らしい。次は裏面の話になるらしい。楽しみだ。

  • 何冊読んでも変わらない小林先生の動物愛。キジの「ゴン」はヤギに縄張り争いをしているし、小林研究室には沢山の動物たちがいます!面白いです!!

  • このシリーズ好き!
    考え方の枠が広がる

  • おもしろかった!!
    なんか以前から新聞の下の広告で書名を見ちゃー気になっていたので、読めてうれしい。

    イソギンチャク餌やりすぎ事件に吹いた。

    本当に動物好きな人って、飼うんだなあ、と。
    世話することも背負い込める好きっていいなあ。

    文章は正直、なんか学校新聞を読んでるようなノリではあるんだがちょいちょいはさみこまれてくる、
    そーなんだー知識とかさすが専門家。
    実験の内容とかも、全く触れることのない分野なので大変興味深い。
    んでもって、文句言いたいんだけど、直接は無理、
    と遠くからヤギをにらみつけるキジが、いじらしくて、おかしくて・・・。

    この大学行きたいなあっと思う子どもとかいるかもなー。

  • 小林先生は、いったいいつ研究論文を書いているのだろう?
    大学で飼っている動物の世話だけでも大変だと思うのに、講義やらゼミやら大変忙しいと思うのね。
    ヤギ部の顧問でもあるし。
    近くの小学生に教えることもあれば、ラジオ出演もある。

    野生動物の観察、捕獲、そしてついに、海産生物の飼育にまで乗り出したのである!
    しかし不慣れな海産生物。
    大失敗をしてしまうのだが、ちゃーんと正直に学生たちに話すのである。
    それもまた教育。

    あと、大学のテニスコートに閉じ込められた特大のクサガメ。
    すっかり干からびて、保護されたときは目の周りが落ちくぼんでいたのだが、ゆっくりと先生に水につけられ元に戻った姿を見た先生「お前はカップヌードルか」
    めでたくラーメンと名付けられた件のクサガメの他に、小さなクサガメが2匹。ウドンとソーメン。

    湖の中の無人島に1頭で棲んでいる野生の雌ジカ。
    長いこと先生と、一定の距離を保ちながらも互いを認識し合っていたのだが、ある時姿を見せた雌ジカのツコは、前足が自分の体重を支えられないくらいに体力が衰えていた。
    通常群れを成して生きる鹿が、なぜたった1匹でそこに棲んでいたのか。
    島はけっして脱出不能な場所ではなかったのに。
    先生はツコにそれを問いただすことなく最後の別れを心の中で告げる。

    目次は以下のとおり。
    ・子どものイソギンチャクはカタツムリのように這って動くのだ!
    ・フェレット失踪事件
    ・テニスコートで死にそうになっていたクサガメ
    ・ヤモリの恩返し?
    ・ヒメネズミの子どもはヘビやイタチの糞に枯れ葉をかぶせようとする
    ・小さな無人島にひとりで生きる鹿、ツコとの別れ
    ・先生、木の上から何かがこちらを見ています!
    ・ヤギのことが気になってしかたないキジの話

  • 『先生!』シリーズ第5弾。
    鳥取環境大学の小林朋道先生の周りで起こる動物珍事件に、いつもわくわくさせられます。
    何より先生ご自身がとっても楽しそうなのがいいのですよ!

    今回は小林先生のネーミングセンスが光りました。
    テニスコートで保護したクサガメに「ラーメン」と名前を付けているのですが、その由来に思わず吹き出しちゃいました。

    小林先生と行く無人島探検イベントはとっても魅力的です。
    参加した子供たちは、さまざまな発見をしながら、自然を見つめて考える楽しさに気づくのだろうなぁ。

    • くんたろうさん
      わわわっ! 先生!シリーズ、続いていたんですねー! 知らなかった…というより、忘れてました(汗)
      先生、相変わらずイイ感じですねえ。あ、クサ...
      わわわっ! 先生!シリーズ、続いていたんですねー! 知らなかった…というより、忘れてました(汗)
      先生、相変わらずイイ感じですねえ。あ、クサガメにラーメン?! 私が知っているころ(3冊読んだ辺り)の先生だったら、「クサ」か「カメ」ってつけてるハズ。進化してますねえ。早速、4、5と読んでみます!
      2012/05/03
    • すずめさん
      くんくんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます(*^^*)

      「先生!」シリーズ、実は3月に第6弾が出てるんです。
      そちらはどうや...
      くんくんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます(*^^*)

      「先生!」シリーズ、実は3月に第6弾が出てるんです。
      そちらはどうやらモモンガが出てくるらしいですよ!
      読むのが楽しみです(*^^*)
      2012/05/04
  • 先生、写真がカラーで綺麗になって、しかも増量してます!
    朋道先生の「先生」シリーズの新刊。
    「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」のタイトルに図書館で遭遇して以来、5巻目です。相変わらず、「何事!?」っていうタイトルが素敵。
    朋道先生の目を通すと、蛇やミミズやイノシシの糞やトモミチ先生に、うっかりきゅんとしそうになります。(落ち着いて、わたし)ちっちゃい頃、空き地や田んぼのあぜで、ショウリョウバッタやおたまじゃくしを素手で捕まえていたこととか、その時の草と土の匂いを思い出したりします。
    大人になると、小さな生き物のこと、彼らの生きてる場所のことを、すっかり忘れてることに気づきます。
    「里山」っていう言葉を教えてくれたのは、TVの「DASH村」でした。ヒメネズミとか生態系とか、朋道先生が書いていたのはこれなのか、って自分の中でリンクさせながら見てました。(整いはじめていた村の里山が無事でありますように。鎮守の神様にのんのんしておこう)
    しかし、いつ読んでも愉しそうですね、先生の研究室。

  • 先生シリーズの中の一冊です。

    各章で完結するため、非常に読みやすいです。
    小林先生の語りで構成されており、大学のゼミを受けているような感じでした。

    比較的簡単な文章で面白く書かれているため、小さい子どもにも十分におすすめできる書籍です。

  • 小林先生の先生シリーズ5冊目、個人的には4冊目読了。

    先生がテーマとされている、人間を含めた哺乳類のヘビの対する対応についての実験結果についても少しご紹介していただいてました。
    最近の研究では、ヘビを検出する神経回路というものがあることがわかってきているそうです。
    視覚情報の反復でヘビに対する反応が活性化していくようです。
    一個体としては知らないもののはずなのに、知っているって本当に不思議だと思います。
    今あるのは自分だけの命のように思ってはいますが、実際は違うんだなぁ、と。
    実際に脈々と断裂することなく繋がってきた存在なのだと自覚、まではいかないけれど、納得せざるを得ない感じですかね。。

    齧歯類でも、集団行動をする種と単独行動をする種で行動に差が出る。

    本書の中でクサガメとイシガメの行動の違いについても触れられていますが、成長段階においても、そういった行動の差が出るのも不思議です。
    行動が切り替わるきっかけって何かがあるのか、気になります。

    最後の方には、次作の主役であるモモンガも登場していて、本当に自然豊かな場所なんだなぁと思いました。
    モモンガといえば…ちょしちゃんw
    くりくりの目が印象的なニホンモモンガのお話も楽しみです。

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著者プロフィール

1958年岡山県生まれ。
岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。
岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005 年教授。
2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。
専門は動物行動学、進化心理学。
これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。
現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺や森の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる。
中国山地の山あいで、幼いころから野生生物たちとふれあいながら育ち、気がつくとそのまま大人になっていた。
1日のうち少しでも野生生物との"交流"をもたないと体調が悪くなる。
自分では虚弱体質の理論派だと思っているが、学生たちからは体力だのみの現場派だと言われている。

「2023年 『先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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