先生、シマリスがヘビの頭をかじっています! 「鳥取環境大学」の森の人間動物行動学

著者 :
  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806713753

作品紹介・あらすじ

大学キャンパスを舞台に起こる動物事件を人間動物行動学の視点から描き、人と自然の精神的つながりを探る。今、あなたのなかに眠る太古の記憶が目を覚ます。

感想・レビュー・書評

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  • 鳥取環境大学の小林先生の本でシリーズ2作目。
    今年中に残り16作全部読みたい。
    2カ月で3冊のペースならクリアできるので一応年内読破を目標にしておく。

    "人間と自然の精神的つながりの理解" というテーマのもとに書かれているらしいが、そんなことは気にせず気楽に読むことにする。

    本書の最初の2つは、
    ・田んぼの稲を食い荒らし、あぜ道を掘り起こしグチャグチャにするイノシシを捕獲する計画。
    ・駅前の緑地広場に池と小さい丘を作ってヤギを放牧する計画。
    だが、どちらも計画失敗!そんなもんだ。
    世の中、そう簡単に自分の思いどおりにいかないようにできているのだ。

    小林先生、イモリやドジョウにまで名前をつけている。
    我が家にはグッピーがいるが、名前はつけていない。
    そこまで愛着を増しちゃうと、死んだときの悲しさも増してしまうから。
    不思議なことに、植物に名前を付けて育てている人には会ったことがない。
    こんなことを考えながら読んでいるということは、
    無視したはずの "人間と自然の精神的つながりの理解" というテーマにどっぷり浸かっているのかなあ。

  • このシリーズ、ずいぶん前に1冊を読んで、楽しかったのだけど、どれを読んだのかもう忘れていた。
    とりあえず被らないように気をつけてこれを借りてみた。
    たぶん未読の一冊だったと思う。

    鳥取環境大学の動物行動学の先生による、にぎやかなキャンパスライフであり、田舎生活の記録である。

    動物への愛と、学生たちとのわちゃわちゃ。
    ポジティブでユーモア。明るい気持ちになれる。
    動物や虫のこと、今でもまだわからないことがたくさんあるんですね。
    後半に出てきた、湖内の無人島におけるネズミの遺伝子の話が興味深い。
    直径二百メートルの島にシカまでいるんだなー。すごいなーと思ったけど、シカはきっと泳げるね。

    さらっと読めるので助かります。

  • 二冊目読了。

    面白かったし、とてもためになった。
    タイトルの一部のげっ歯類がヘビ類の匂いを身体に付けることによって、身を守っているという話。
    しかもそれは、遺伝子レベルで組み込まれている反射ともいえるような行動であること。
    これって猫の首に鈴を付けるようなものでもあって、確実に死んでいる個体であれば問題がないけれど、そうではなかった場合は自殺行為に等しい。
    排泄物であればまだ安全性は高いが、当然その個体が近くにいる可能性は高いし、何より遺伝子レベルで組み込まれている捕食者の匂いをつけることは相当の恐怖を伴うことは想像に難くない。

    しかし、それが獲得されている。
    これは興味深い。

    ヘビに対する恐怖って人間も持っている。
    かく言う私もあまり得意ではない。
    悲鳴をあげるほどではないが、安全な距離が取れるなら目を背けずに観察ができる程度。
    耐性をつけるために、一度じっくり観察したことがあるけれど、途中で気持ち悪くなってしまった…
    ヤギなど他の動物もヘビに対してはとても反応するらしい。
    生き物の歴史の中で、どれだけヘビとその他の動物がやりあってきたか…という証明でもある。

    これが視覚情報に基づくものだというのが一番の驚き。
    (匂いだけでは反応しないが、姿を見ると緊張するらしい)。
    果たしてどういう風に組み込まれているのか。。
    こういう忌避情報もあるし、安心する風景(原風景ともいえるか)というのも同様に視覚情報で記憶されているらしい。

    生き物って面白いし、素晴らしい存在なんだと改めて思う。

  • 鳥取環境大学教授の、人間・動物行動学のエッセイ(?)本。研究や実習で起こった様々な動物たちの行動をとおして分かったことや、得た内容を面白おかしく描写している。動物行動学に興味がある人、動物園の動物の動きに魅了されたことがある人は読んで損はない。シリーズ化していることもあり他のタイトルも是非読んでみたい。

  • 小林先生の性格丸わかりな本?
    いや、動物のウンチクの深さに驚く本です。
    また、動物たちの防衛本能にも驚かされます!

  • おもしろかった~
    動物好きには、たまりません!

    作者は動物行動学を研究されている大学の先生。

    難を一つだけ言えば、写真が白黒だったこと。
    ここは頑張って カラー写真を載せていただきたかった!!

    我が家のシマリス、「ころ」にも一度ヘビの抜け殻をプレゼントしてみたい。

  • 1作目と同じく脱力感が心地よいコメディ気味な動物エッセイ。
    動物行動学はオマケというかスパイスなのも相変わらず。
    特に飽きないのでシリーズを通じて電車でちょっとずつ読むのに適していると思う。

    タメになるわけではないけど誰が読んでも楽しめるので飽きるまで続編を楽しめるシリーズ。
    ただ大人買いして読みふけるようなものでもないので箸休め的に楽しむのがよい。

  • 動物行動学の研究者による、趣味を兼ねた動物の行動観察、そして大学で行っている実習系の授業をエッセー風に紹介した本。

    中々面白そうな研究&実習内容だ。最終章の、飼い主を自分で選んだ犬や猫の話も面白かった。動物は、人間が思っているよりもずっと賢いのかも知れない(飼い主を替えてまんまとボスイヌになったケンには、予知能力がある? シンクロニシティ現象だったりして)。

  • 前作に続き、軽快で、とても面白かった。
    動物愛に溢れ、とても和やかな気持ちになる。

    あらゆる行動の理由に対して、
    進化の過程で有利に働いてきたという視点で見る。
    これがまた楽しい。

    本作では「まだ言えない」ことも、
    次以降には進展が見られるのかもしれない。
    そんな期待を持って、次以降も読んでみよう。

  • この本を読む度に、小林先生のような愛情深い人にはなれないと思いつつ、でも何故か動物が近く感じるようになる。ペットを飼ったことはないけど、動物に優しくありたいと思える本

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著者プロフィール

1958年岡山県生まれ。
岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。
岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005 年教授。
2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。
専門は動物行動学、進化心理学。
これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。
現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺や森の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる。
中国山地の山あいで、幼いころから野生生物たちとふれあいながら育ち、気がつくとそのまま大人になっていた。
1日のうち少しでも野生生物との"交流"をもたないと体調が悪くなる。
自分では虚弱体質の理論派だと思っているが、学生たちからは体力だのみの現場派だと言われている。

「2023年 『先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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