日本人はなぜ貧乏になったか?

著者 :
  • 中経出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806146315

作品紹介・あらすじ

日本人を貧乏にする「21のウソ」を見抜け。

感想・レビュー・書評

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  • 経済の事はよくわからないので、この人の主張が正しいのかどうかははっきりとは分かりませんが、ちょっと話の進め方が強引な感じがしました。とは言え、読んで納得できる部分も多く参考にしようと思います。日銀にすべての責任を押し付けている感じがとてもするのですが、いろいろ調べてみようと思います。

  • 経済
    歴史

  • 「2〜4%のインフレ目標政策」「ゼロ金利政策の長期化」「大規模な量的緩和政策」の3点セット
    →本当にマネタリーベースの残高を増やしていくだけで景気が回復するのだろうか?

  • 2014/07/04

  •  金融問題などを一つの軸から考えているだけで信頼感を得られないやっぱりこのような考え方は嫌いだ。

     感情論では経済は動かない?多くは感情論で解決するのにこの人のような外国をむいている考え方そしてアベノミクスを信奉している時点でこの国の先行きを感じてしまう。

  • 経済関連の書籍が大量に出回っている今、リフレ派の考え方の参考として読むことにしました。

    構成は全てQ&A方式となっている上に、データも示されていて、著者の主張の意図は非常によく分かる内容となっています。

    過去の日銀の政策を批判し、デフレの責任は日銀にあると主張し、ゼロ金利、量的緩和、インフレターゲットの政策をとることでデフレから脱却できると説いている。現在の異次元緩和での結果を楽しみに待っていたい。

    確かにいろいろなデータによる実証で主張は明確だが、今後について日銀の政策のみで明るい未来が描けるのか、というと若干理解しにくいと言わざるを得ません。藻谷浩介さんの『デフレの正体』を批判していますが、少し藻谷さんの意図とは違う解釈されているような気がするので、比較しながら再読したいと思っています。

    誰もが景気回復を願いながら、識者の意見は違います。自分なりに咀嚼しながら、どういう道が正しいのか、自分の頭で考えていきたいものです。


    ◇著者の意見が納得できたところ
    ・「失われた20年」にも日本人の給料は増えていた
    ・デフレは、モノよりも給料が安くなり、貧困を深刻にしている(デフレは不況の結果である)
    ・デフレの原因は、日銀が大規模な金融引き締めによってバブルを崩壊させ、その後も景気回復のために必要な金融緩和策を怠ったこと
    ・1%未満のデフレは、ストレートに雇用状況を悪化させる(フィリップスカーブ)
    ・中国からの安い輸入品の増加でデフレは起こらない
    ・日本人は豊かになったから買いたいものがなくなり。消費が減っているというのは誤り。所得が減っているため買い控えているだけ
    ・価格破壊戦略をとる企業もデフレの被害者である
    ・大規模な金融緩和でハイパーインフレになったことはない
    ・インフレ率が低すぎると財政赤字が改善しない。政府の税収のうち、主要なもの(消費税・所得税・法人税)は不況下で減る傾向にある
    ・自殺するほど仕事がないのに、過労死するほど仕事がある


    ◆理解できなかったところ
    ・給料の源泉はGDPであるので、ある程度連動するのは理解できるが、1人あたり賃金伸び率で考えると、団塊の世代が定年した今、賃金は相対的に減っていくので、必ずしも景気と給料が連動するとは言えないのでは?
    ・GDPの計算には純輸出も基礎となるはずなので、国外でのシェアが高まれば、国内でのシェア奪い合いによりGDPに影響はないという考えは違うのでは?
    ・人口減少と経済成長は無関係と言い切っているが、本当にそうか?これからも同じことが言えるか?
    ・生産年齢人口の減少とデフレの同時発生は日本だけ、と『デフレの正体』を批判するが、諸外国の年齢構成は日本と同じように変化しているのだろうか?また、戦後復興の流れにあって団塊の世代の影響力は他国と比較できるのだろうか?
    ・生産年齢人口の減少は、人手不足による賃金上昇によりインフレ要因になるというが、工場等の海外移転などを考えると本当にインフレ要因といえるのか?
    ・円高による悪影響を指摘しているが、円高が解消された今、なぜ貿易赤字となってしまうのか?本当に円高は悪いのか?




    <目次>
    ◆Chapter 1◆ 日本人はなぜ貧乏になったのか?
    ---賃金低下、バブル崩壊、バーナンキ、金融引き締め、日本銀行…
    ◆Chapter 2◆ 日本人を貧乏にした「デフレ」の正体
    ---人口減少、フィリップスカーブ、価格破壊戦略、満たされた日本人…
    ◆Chapter 3◆ 「アベノミクス」が貧乏な日本人を救う!
    ---金融緩和、ゼロ金利、量的緩和、インフレ目標…
    ◆Chapter 4◆ 日本人を貧乏にした「ウソ」にダマされるな!
    ---インメド政策、ハイパーインフレ、マッカラムルール、財政赤字…
    ◆Chapter 5◆ 日本経済「これでいい」なんて思ってはいけない!
    ---成熟経済、脱成長、円高、日銀理論、日銀法改正…

  • 長谷川慶太郎氏が彼の著作でずっと主張してきていることに、日本のデフレは最低30年は続くというものがあります。これを最初に聞いたのが、社会人になりたてのバブルが弾けた平成2年頃だったと思います。あれから20年以上経過しましたが、いまだに日本はデフレで、他のアジアの国とは対照的に、給料も上がらないけれども物価も上がらないことに慣れ切っています。

    今までに多くの解説がなされてきて、その最大公約数的なものに慣れさせられているのが現状ですが、この本では、それらの21の通説に対して真相について、この本の著者である村上氏が解説しています。今まで私が理解していたものと異なるものもあり驚くこともありますが、そのような見方もあるのだと認識を新たにしました。彼の意見と対立する意見についても勉強して、自分なりの考えを持ちたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・皆が弱音を吐かずに汗水たらして働いても、景気は上向く(GDP上昇)ことは無い(p21)

    ・天才が現れても日本人は豊かにならない、業界の中のシェアは奪えても、景気全体を上向かせる力は持っていない(p23)

    ・日銀の大規模な金融引き締めによって、それまで株や不動産に投資し続けていた人が投資を引き上げた、その結果、買う人がいなくなって株式と不動産市場は暴落した(p41)

    ・日本の景気全体は、日銀が金融緩和をしたときに上向いて、引き締め政策をしたときには悪化した(p49)

    ・インフレ率が高くなればなるほど失業率が改善、デフレが進展するほど失業率が悪化する(p67)

    ・失業率が3.4ポイント上がる(2→5.4%)ことは、日本中に200万人の失業率が街にあふれることを意味する(p69)

    ・世界には生産年齢人口が減ってしまっている国が、日本以外にも数多くあるが、その中でデフレに陥っている国は日本以外は1つもない(p74)

    ・日本人の多くは、手取りの収入(可処分所得)が増えれば消費を増やす傾向にある(p85)

    ・ハイパーインフレの定義は、年率で1.3万%に上昇すること、一月で1.5倍になること(p119)

    ・結果として3%のインフレが起きていることは、消費と投資が3%増えること、経営者は労働者の賃金を1%増えるだけで労働者を雇い続けることができる(p137)

    ・2015年に10%への増税という消費増税案は、名目GDP:3%、実質:2%日本経済が達するまでは上げないという景気条項が残された(p146)

    2013年4月14日作成

  • アベノミクスの柱のひとつである金融緩和とは何か、なぜ必要か、を説明し、それをしてこなかった日本銀行の政策が失敗だったと説く。
    他国と比べて日本が特異なこともわかった。

    100%賛成というわけではないが、具体的な提言は将来に希望を持たせる。グラフや数字を多様しているのはいいが、マジックでもあり如何様にも見せられる。

    ずっと右肩上がりの景気になったときに、エネルギーやエコの観点でどうか、というのは気になる。

  • Twitterにて平日に日経新聞の記事への批評、NY市場の総括、そしてリフレ政策の有益性、反リフレ派への反論を適切に書いている村上さんの著書。


    正直、Twitterで少々口が悪いというくらい痛烈な批判を展開しているので怖いイメージがあったが、本を読むとおしなべて理路整然であり、無駄なものが一切ない表現方法とグラフの使い方で過去十数年のマクロ政策の間違いを指摘している。


    本の作りで-1☆にした。本の内容はいいのだが、このサイズの本で書かれる文量が少なく、こちらの方が初心者向けやアベノミクスって何?金融緩和って何?という人には読みやすいので、そういう層に向けて書いたのであろう。


    しかし、僕個人の感覚としては新書サイズで十分に収まる内容なので評価は4☆とした。


    本自体の内容と構成は素晴らしい。経済学の本の中でも、読みやすさと内容のバランスはかなりいいものである。


    ここでは書かないが、詰み本で今読み進めている某経済評論家の本とはレベルが違う。きちんと勉強され、市場に身をおいた人間の書いた本であることが内容から読み取れる。高評価。

  • マネックス証券のチーフエコノミストによる円高・デフレがどうして続いてきたか、どうすれば解決するかを世に問う一冊。
    基本的にはこれまでの日銀がいかに日本経済にとって弱体化させる方向に施策を行い、それをまるで正しいことのように言い募ってきたかをこれでもかと完膚なきまでに叩きのめし、それと全く逆の施策によって日本経済が劇的に改善していくと、豊富なデータを使って示していく。その中には新聞や書籍などでいかにもその通りと言ってしまいそうになる説(例えばデフレの正体の藻谷氏の説など)を唱えている人に対しても、それを覆す事実を示すことによって否定していく部分もあり、これまでなんとなくわかったようなわからなかったような、モヤモヤしていたものがスッキリと解決していく様は爽快ですらある。
    円高がなぜ悪いのか、を説明した部分は計算が全く逆で、その説明だと円安の説明になっちゃうよ、というところもあって、チーフエコノミストとしては恥ずかしくないかと思えてしまうが、それ以外はいろんな疑問がストンと腹に落ちるように書かれているため、金融リテラシーを高めるためにも、世に流布されているトンデモ論を見破るためにも一読をオススメできる一冊だと思う。

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著者プロフィール

アライアンス・バーンスタイン株式会社マーケット・ストラテジスト。1971年生まれ。1994年東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアをスタートさせる。第一生命経済研究所、BNPパリバ証券、ゴールドマン・サックス証券、マネックス証券を経て2014年より現職。経済予測分析のプロとしての評価が高く、投資家目線で財政金融政策を分析する。著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA/中経出版)、『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』(ダイヤモンド社)他がある。

「2017年 『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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