- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784806136590
感想・レビュー・書評
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入社後6年目ごろに読んだ本。
特急は自分たちの月はいかに守るかと言う観点ではなく事業をいかに守る下、言い換えると、他者の技術はどうやって完成するかといったことを繰り返し述べている本。
それが凝縮されているのは、あとがきのところにもあるように、蕎麦屋さんを開いた店主が、ライバルのそばだけを消すのではなく、同じ麺料理、ラーメンやパスタも牽制したい、こういった表現に集約されていると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
知財戦略について書かれている本の中ではピカイチ。結論だけ挙げれば、知財戦略と事業戦略、技術戦略の三位一体が重要だと述べているにすぎないのだが、これは各社各様であり、いかに難しいかは体験した人でなければ分からない。個人的には、トップダウンがベストだと感じているが、この本は、実際に会社の戦略に直接携わることのできる方、特に事業部長クラスの方が読んで十分納得のできる簡単な事例で戦略が語られている。ぜひ、知財の重要性について悟り、事業部全体に号令をかけてほしい。
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自分の会社の特許戦略はどうなのでしょうか。現在担当している部署の昨年の特許戦略会議の資料を見てみました。資料では、特定の他社と件数比較していました。「自社の方が件数が多い」、「他社は、ある年を境に件数が急激に伸びている」」などど書かれていました。何か意味があるのでしょうか、よくわかりません。資料の行間を汲み取りきれてない自分が未熟なだけかもしれません。
他社と比較することは大事です。独占実施もライセンスも、他社の存在があってこそだと思います。今まで事業化からかなり離れた研究の出願業務にしか携わっていなかったので、特許に他社が関わってくることは新鮮であり、意義深いものがあります。
是非、事業に貢献しうる特許、つまり、本書で挙げられていた「単なるラーメン屋の特許ではなく、蕎麦屋もうどん屋も出てこられないような特許」を創生・育成したいと思います。そのために自分は何を出来るか、今年度の特許戦略会議までに考えたいと思います。 -
20100325発行。著者は元三菱化学の知財部長。
急ぎさら読。
特許出願は守りではない。出願時点で、出願特許の重要性を理解しているか。
特許戦略の戦略の意味を理解しているか。戦略とは、ある目的を達成するための大きな方針。
発明の本質の議論。防げなかった他社参入の原因とは。広い権利範囲では不十分。
分割出願を使って、取りこぼした部分やあとから気づいた部分を出願する。
特許の価値と発明の価値は違う。実施しているから価値があるとは言わない。
「防衛出願」なんて、自己満足以外の何物でもない。利益にはもちろん結びつかない。防衛したいのなら、出願せずに公開すればいい。15000円のお金はかからない。
ブレスト、事業目的、自社技術の特徴、競合企業、競合技術。
三位一体。 -
事業との繋がりがいまいち見えない特許出願が多く見られる昨今において、効果的な特許戦略とはいかなるものであるかを論じた本。
本書の内容は以下のようにまとめられる:
・特許を取得する目的は、他社の参入を遅らせる「排他力」にある。特定の市場を攻略する上で高い効果を持つ手段(技術)の使用を、独占権を以って制限することで、他社の参入を遅延させ、攻めあぐねている間に、自社の牙城を築く。
・上記を達成するためには、他社の打つ手を予測する必要がある。この予測をせずに、自社の技術のみを見据えて出願すると、他社に容易に迂回される。
・他社の打つ手を予測するには、研究部門・知財部門・事業部門の全てが参加した、「三位一体の特許戦略」を策定する必要である。
一々ごもっとも、そのとおりであるが、これを伝えるために300ページ必要であったかは、甚だ疑問である。序盤に失敗事例を紹介した後、冗長でもったぶった記述がひたすら続いた末に、上記の「当たり前」な指摘が出てきて、その後は新規性にかける論理的帰結を密度の薄い文章で書き連ねているのみである。有効な特許戦略を生み出すオペレーションにしても、「3部門で良く話しあえ」以上のことは書かれていない。序盤の失敗事例80p+上記の指摘3点20p、の計100ページで十分であっただろう。
主張の陳腐さと、密度の薄さにより、☆2つ。 -
発売当初から存在を知ってはいましたが、タイトルがあまりにも狙いすぎなので購入していませんでした。機会があり読んで見たところ、家電・電機・精密系には耳の痛い話ばかりです。当たり前のことを実践するのが如何に難しいかを痛感します。ただ戦略と名の付いた組織やスローガンがどこの会社でも怪しそうだということが判り、やや安心です。
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企業は、競合他社が事業への参入を自ら断念する状況や、競合他社が事業に参入する時期が大幅に遅れような状況を、意図的に作り出すように、特許を出願したり活用すべきである。
特許を出願するにあたって、競合他社がわからない段階では、発明の本質を議論し、第三者がこれを見たときにどのような類似技術を開発するかをできるだけたくさん発想する。すでに競合他社がわかっている段階では、他社が、自社技術から簡単に模倣できるポイントを徹底的に議論する。
このようにして想定された、類似技術・模倣技術を、排除するように権利範囲を設定した特許を出願することで、その事業への高い参入障壁を築くことができ、自社の事業利益を最大化できる。
実際はなかなかうまくいかないかもしれないが、知財部スタッフと事業部門と研究者が三位一体となって議論すれば可能であると本書は述べている。
決して敵に塩を送る特許を出願してはならない。他社が、自社が公開した特許から技術の本質だけを模倣し、自社が公開した特許の権利範囲外の製品を作り、利益をあげた事例はたくさんある。 -
題名に惹かれて読んでみた。自分の知財戦略が、曖昧だと感じていたからだと思う。その曖昧だったと思う部分を、明確に表現してあり、自信がついた。特許戦略だけでなく、曖昧な部分を『書いて表現する』ことの重要性を認識でき、非常に勉強になった。特許戦略は企業の利益を最大化するもの。という当たり前のように使われる言葉をバラシて教えてもらった。最近の自己啓発本やビジネス本は、読んですぐに行動に反映できる本は少ないが、本著は今日からの自分の知財活動に影響を与える本だった。
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企業の知財担当者が本書を読んで、耳が痛くない話はないでしょう。
知財部だけでなく、事業部門でお輪読すると良い一冊。