- Amazon.co.jp ・本 (131ページ)
- / ISBN・EAN: 9784805830192
作品紹介・あらすじ
「誰のために生きているのか、母さん…」アルツハイマー病になった母に注がれる、切なくて哀しくて優しい詩たち。
感想・レビュー・書評
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認知症の父を思いながら読む。
父の介護に疲れ始めている母を思いながら読む。
仕事があるから、子供の面倒があるから、距離があるからは単なる言い訳か。
休みに顔を見に行く事は自己満足か。
いろんな思いが渦巻いた。
私は正直泣けなかった。
何にもしてない自分に嫌気がさす。
本を読んでいるだけの自分に嫌気がさす。
それぞれの介護の形。
それぞれの家族への思い。
心にしみる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めから最後までなみだなみだでした。
悲しいとかではなく、切なすぎるのです。
誰が悪いとか良いとかではなく・・・
自分の気持ちと同じで共感しました。 -
あとがきの谷川さんの詩がすごい。素敵とか言うレベルではない。藤川さんの詩も。お母さんと自分、ときどきお父さん+αなんだけど、宇宙に広がる世界を感じる。松尾さんの絵も。挿絵にしておくにはもったいない。これらで一つの展示にしたくなる。職業病だな。しかし、いい表現ができるならキュレーションしたくなる。
誠実なる生活。
存在することの大事さ。 -
図書館の本棚から、ちょこっとはみ出ていた。
まるで手招きをするように。
なんだろうと手にして、ドキッとする。
やさしい画と色の中に、静かに題字が記されていた。
詩人である作者・藤川さんは、認知症となったお母様の介護をしながら、
怒りや苛立ちなどを、きれいごとで濁さず、真っ直ぐな言葉で詩に著している。
ふいをつかれてしまい、図書館で目を真っ赤にしてしまった。
気持ちが重なる部分も多い。
>母が認知症という病気にならなかったら、こんなに母と手をつなぐこともなかったでしょうし、
その気持ちが、よくわかる。
手をつなぐと、「あったかい手だね」と言われる。
そうして、確認しあう。
現実は無理なことが多くても、でも、いつも側にいるからね、と。 -
20年も認知症のお母さんを介護した体験から生み出された詩。第1章始めの「おむつ」でもう私はすでに号泣。これ図書館に返して買おう。うちの母も大事にしよう。(と思い出すために)
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今年の長崎県作業療法学会で、聴いた講演。認知症になった、お母様の介護をしながら生まれた詩集。「殺せばあなたのこの認知症という病も、そして私のこの苦しみも、跡形もなくなってしまう。だからあなたを殺してしまおうかと思ってしまったことがあった。」介護はきれい事ではない。正直な詩は、ずっしりと重く強く、心に響く。
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号泣。谷川さんが薦めていらっしゃったので気になっていたのですが期待以上。母への愛と不安と苛立ち、全てがリアル。母や祖母の顔が浮かびました。母に読ませたいような読ませたくないような。
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なぜか本屋で装丁にひきつけられたので、
後日図書館にて借りてみました。
私は介護の経験はないけれど、
なぜだか途中感情移入して、
読んでいた湯ぶねの中でおいおい泣いてしまいました。
後半はなぜだかすーっとたかぶった気持が治まり、
とても冷静に読めたなぁ。
最後谷川俊太郎と対談していましたが、
やはり彼の言葉は深い! -
私の祖母は施設で死んだ。
認知症で徘徊が酷くなり、いろいろなことがわからなくなり、それでも何かをしようとして怒りっぽくなっていった。
両親は何とか家で見ようとしていたようだったが、ある日祖母に包丁を突き付ける私を見て、ついに祖母を施設に入れた。
私に祖母がしてくれたことで思い出すのは3つ。
高熱を出して風呂場で動けなくなった私を抱えて助けてくれたこと。
具合が悪くなって車から降りられなかった私をなんとか抱き上げようとしていたこと。
昔元気だったころのおにぎりがおいしかったこと。
祖母に私がしたことで思い出すのは2つ。
認知が進み、自分自身にいらだつ祖母に包丁を向けたこと。
最後の時、抱きしめて別れの言葉を言ったこと。
どちらも祖母は、黙って受け止めてくれていた。 -
きれいごとではないリアルな詩が並んでる。お母さんをうざったく思ったり、他人の目を気にしたり。だからこそお母さんを思う気持ちがストレートに出ていて。泣けます。「祈る」っていう詩にやられました。