- Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
- / ISBN・EAN: 9784805110348
作品紹介・あらすじ
歴史が歴史として体系化され、人類が知恵を武器に世界を広げていった道行きを、アイデンティティ、自然観、暦や時間、奴隷、地図、倉庫、法と王権、教養、といった具合に、いくつかのテーマを設定しながら、特別講義のかたちで解説します。
感想・レビュー・書評
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【配置場所】工大特集コーナー【請求記号】204||K
【資料ID】11501041詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者が1980~2000年にわたって発表した論文。幅広いテーマについて、その変遷(≒歴史)を考察している。地域を欧州のみに限定しているが、少なくとも19世紀までは欧州がその中心と考えるならば、その変遷をたどるのには妥当な選択だと思う。また、価値観のダイナミックな転換がなされた地域という点でも欧州が選択されるのは当然かも知れない。
書かれたタイミングもテーマもバラバラな論文をまとめているが、それらの並べ方は非常に上手い。「神話」・「宇宙」・「自然」そして「個人」という流れでマクロからミクロへと視点を移した後、「奴隷」・「身体変工」・「医術」という何らかの形で個人を縛るものへと視点を移す。その後は「倉庫」・「口伝」・「科学」・「美術」というモノと情報の蓄積に関すること、そして「法」・「王権」という社会構造を土台に蓄積したモノ、情報が「教養」・「知の繋がり」としてどのような変遷を辿ったか、そして最後に「グローバリゼーション」について触れることで総括としている。広範な話題を論じることのできる知識量もさることながら、編纂の上手さもすばらしい。