寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか 女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド
- 大和出版 (2019年9月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784804705705
作品紹介・あらすじ
「“わかりみ”が過ぎる」「丁寧で優しくて鋭い。すごい人だ」「ポカリの浸透圧みたいに心に入ってくる」と共感度200%の人気コラムニスト、待望の初書籍!恋から親まで、しんどい毎日がラクになるメッセージと本を教えます。
感想・レビュー・書評
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最近は専ら女性作家さんの作品ばかりを読んでいる。特に同世代が主人公の作品を。
ある日、他にも同世代の女性が主人公の作品はないかな~と、Google先生に相談していたところ、出てきた答えがこの作品だ。
32歳、独身、非正規雇用の彼女が、「自分自身」と「社会」の間でもがき、モヤモヤしがちな女の人生を、35冊の本を紹介しながら向き合っていく、サブカルクソアラサー/アラフォー向けの自分探し指南本。
何かにつけ「そもそも論」を考えてしまう、常に「普通」を疑う人生ハスり野郎のわたしには納得しかない言葉の数々。
そんな「モヤモヤ」するテーマの中で紹介される本はさらに興味深く、読書欲をくすぐられる。
しかもこの作品のタイトル「寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか」というサブカル感溢れる感じもたまらない。
好きな人ができる→結婚を考えようになる→結婚する→子どもを産む
ここには、そもそも論として、結婚や出産以前に、誰かと生活をするということ、つまり、「誰かと生きる=幸せ」であるという前提がある。
産まれた時、わたしには家族がいた。それを当たり前のように享受してきた。でも、じゃあ自分が家族をほしいと思うかどうか。子どもをほしいと思うかどうか。そこを疑うって、たぶん「家族」という当たり前の存在に違和感を持っていたからだ。子ども時代が楽しかったというより苦しかったからだ。
優しい同僚は言う。「naonaonao16gには幸せになってほしい」。ありがたい話だ。けれど、同僚が言う「幸せ」はおそらく、そもそも論の「幸せ」のように感じている。では、わたしが思う「幸せ」とは。それをここで一言で言えるのなら、この作品を手に取ってはいないだろう。
誰かといて「幸せ」と感じることもあるし、誰かといることに閉塞感を感じて、一人の時間を「幸せ」と感じることもある。いつもわたしの中で、この「誰か」と「一人」のシーソーがぎったんばっこんしているのだ。けれど、ここでもやもやしているということは、結局「誰か」といる選択肢を捨てられないからで、だからそれを見抜いた同僚が、そもそも論の「幸せ」をわたしに願うのかもしれない。
このとてもシンプルな「幸せと呼ばれるもの」を疑いだしてしまうと、様々なことに対して当たり前を疑い出す。そして、そういう奴は基本的に「めんどくさい奴」として距離を置かれがちなのに、距離を置かずに関わってくれる多くの人たちがいることには、まじで感謝しかない。みんなありがとう。
さて、独り言つきでこの作品の印象的な部分を抜粋すると、
P46「空腹は一度満たしても、数時間したらまた訪れる。同じように、どんな夢も理想も、叶っては現れ、叶っては現れで、生きているうちに完全に満たされることはない」
→ええええ!この満たされない感じ、ずっと続くの!?という気持ちと、うーん、悲しいけどそうなのかもな、という気持ち、その両方が、同じくらいの割合で存在している。そして、こう続く。
P47「彼氏がいない女性は彼氏がほしいと悩み、彼氏がいる女性は結婚したいと悩み、結婚した女性はセックスレスや育児に悩み、子どもから手が離れた女性は『寂しい、孤独だ』と嘆き…と、まあそんなもんである」
→確かに、わたしはいつも彼氏ができたらできたでその関係性に頭を悩ませている(笑)仕方ない、これを80歳まで続けていこう。
P57「ライフイベント高発生系ゲームは、結婚したら夫婦の共同生活、子どもが生まれたら育児と、課題が向こうからやって来てくれる。でもライフイベント低発生系ゲームは、ボーッとしていると目にみえるような課題は降ってこない。課題自体を自ら創造する必要がある」
→そうなんよ!!!孫の成長は早いから年に何度も実家に顔を見せる価値があるけれど、アラサー/アラフォーは年1回の帰省でも、ちょっと白髪とシワが増えたくらいしか変化がないのよ!!
P97「自分に自信を持っている人間は、『待つ』ことへの耐性が高い。メンヘラ気味の人ほど次々にLINEを送ってしまうのは、その人が自分に自信を持てていないからと言えるかもしれない」
→ぐぬうぅぅぅぅ。最近はどちらかというとわたしが誰かを待たせているような気がしている。そして、待たせていることに時折苦しくなっている自分がいる。これも自信のなさなんだろうか?
P113「ひとり相手に自分のアイデンティティのすべてを託そうとするからこそ、私たちは不倫や浮気を人類史上でもっとも恐れる時代を生きている」
P117「おそらくいいカップルとは、ずっと変わらない愛を誓い合う2人ではなく、揺らぐ心も気持ちの変化も、妥協して受け入れ続けられる2人なのかもしれない」
→この章では、「なぜ不倫が起こるのか」に対して、それは「あまりにも多くのことを結婚に求めがちだからなのではないか」という筆者の答えを、村田紗耶香さんの「消滅世界」を取り上げながら説いている。そして、村田さんの作品を読んでいれば当然ぶち当たる「普通とは何か」に対して、さらに上野千鶴子さんの「女ぎらい ニッポンのミソジニー」も取り上げ、「あたりまえ」を疑ってみることの重要性を説いている。「あたりまえ」の背景には、表面化されてこなかった差別や不都合なルールが潜んでいることが多いのだ。
P164「セクハラや#MeToo、男女の問題も、『抑圧する男性』『抑圧される女性』なんて、きれいに分かれた単純な構造で考えることはできない。考えられるのは、『何か特定の態度を他人に強制しないほうがいいんじゃないかな』ということである。(中略)同じ女性とはいえ、男の人をいなすのがうまい人もいれば、下手な人もいる。特技を活かしてうまくやっていけばいいのだけど、それが苦手な人に『それくらいできなくてどうすんのさ』などと言ってはだめなのだ」
→そうだよね…今日書いた社会派エッセイ(下記にリンク有)はまさにこのことを書いていて、わたしは「男性」「女性」といっしょくたにしてしまったなと反省…だけどね、人の金メダルを噛んじゃいけないよ!
わたしももう少し受け流せるようになりたいし、受け流せる子と仲良くなりたいし、もっといろんな人を責めずにフェアに捉えてみたい。
P193「大切な人だから言えないんじゃない。大切な人だからこそ、言うべきことは言わなきゃいけないんじゃないか」
→これ今まさに読んでいる角田光代さんの「太陽と毒ぐも」でも思ったし、仕事でもプライベートでもぶちあたりまくりのことで。嫌なことを嫌っていうことの大切さ。最近ほんとにこの大切さが身に染みて感じることが立て続いているのだけれど、いざ実践しようとすると、これって本当に難しい。
そんなことを悶々と考えている時に起こった事件が、名古屋市長金メダル事件だ。わたしはこの事件に最近見たホラー映画以上の恐怖を覚え、文章にしたためることにしたのだ。もしよろしければ、お盆休みにでもお読みください。
https://note.com/tattychannel/n/n0f1cec9efbcc -
今ひとつでした…
色んな本が紹介されていて、1冊は買ったけど他はあまり興味わかなかった…
独りで生きていくことに寂しさや疑問を抱えてる方には力になるかもしれない -
今現在、将来がみえないからこその自分への不安や、他人への気持ちがすっきりしないもやもやした時に読んだ。独身女性は今の日本では生きづらい。孤独ではないけど孤独を感じるときがある。もやもやする。そんな抽象的な直接友達には恥ずかしい気がして話せない、なにかプライドが邪魔したり認めてしまうようで話したくない、そんな心の中を文字に表してくれた本だった。周りがキラキラしていてまぶしい、心が苦しくなる、だけどそのまま落ちていきたくない、そんな時によいかも。読んだら少し楽になった。そして嫌いな他人に対して意識を向けないことも、心のために必要だと感じた。
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読みたい本探しのために借りたのでパラッと流し読み。
でもあんまり増えなかったかな。個人的には日本作家かつ現代小説が好きで読みたいのだけど、半数は海外作品と古典文学だったから…。そして読みたいジャンルに該当するものには既読がチラホラあった。ちょっと残念。 -
30代シングル派遣社員。ぼんやりしたわだかまりと、色々な本を通じて向き合う。
なんとなくしんどいな、モヤッとするなと言う時に手に取りたい本を紹介してくれるブックガイド。
ブックガイド読むと知らないうちにポチっていて積読がずんずん増えていくねえ。
チェコさんのモヤモヤを言語化するセンスが素晴らしいと思う。主に他人と自分を比較することによって生まれるモヤモヤについて、無視するでもなく、妬むでも僻むでもなく、諦めるでもなく、ただ言語化し向き合う。
アクションする必要はない。ただみつめることができればそれでいい。
*気になった本*
男ともだち/千早茜
神さまを待っている/畑野智美
ここは退屈迎えに来て/山内マリコ
待つ力/春日武彦
不倫と結婚/エスター・ペレル -
私はもともと、この著者の文章がとても好きで、ブログを日頃から読んでいる。そんな著者が新刊を出したと聞いて飛びついて買った。ただ、本の帯に「女の嫉妬・皮肉・愚痴・足掻き…」と書いてあって、同じ世代の女なのでわからんこともないけれど、私は著者に対してそれらへの処方箋のようなものよりも、新しい世界を見せてくれるのを期待していたので、「うーん、ちょっと違うかも」と思いながら本書を手に取った。内容もちゃんとその帯通りで、個人的にはブログに書いてあるような本のレビューの方が好きだ。
ただ、やっぱりこの筆者が好きだなぁと改めて思う部分もあった。フィツジェラルドの「夜はやさし」のレビューでこんな文言がある。
”「幸せにならなくちゃ」「成功しなくちゃ」というプレッシャーから、自分を解放してくれるから、かもしれない。
まあ幸せになれるもんならなったほうがいいんだろうけど、幸せにならなくても価値のある人生はあるし、途中で選択を間違えても最終的に崩壊してしまっても、なお美しさが損なわれない生き方もある。
…
だけど、どんな決断をしても、そしてその決断がのちに誤りだったと気づいても、『日の名残り』のスティーブンソンのように新しいスタートを切ることができるし、あるいはそのまま朽ち果ててしまっても、私たちが「生きた」ことに、何ら変わりはないのである。”
「幸せ」や「成功 」に縛られない、すべての生を肯定する姿勢が、やっぱり好きだ。この辺の文章を読むだけでも、この本は価値があると思う。 -
既婚友人が、ライフステージクリアしていく感覚、焦燥感に対して自分で課題や節目を作るっていうのは良いなと思った。
AM読んでたから、既に読んだものが割とあったけどそれでも本読みたい本リストが増えた。 -
面白かった。
けれどこの本で紹介されている本を自分も読んでから読みたかったと、1冊だけ読んだことのあった本についてのコメントを読んで思った。
でも、何冊か読んでみたい本があったので読んでみよう!
p.117
おそらくいいカップルとは、ずっと変わらない愛を誓い合う2人ではなく、揺らぐ心も誘惑も気持ちの変化も、妥協して受け入れ続けられる2人なのかもしれない。
内容とは関係ないが…文中の傍線は著者が引いたのかな?
この本を書く著者が傍線を付けるのは違和感があるなと思うが、じゃあ誰が?私は傍線はないほうがいいなと思った。 -
モヤモヤがちょっとスッキリした!
生き方の視野をもっと広げようと思った
そうですね…不幸があるからこそ、幸福を感じるし、その程度や感じ方も人それぞれ…誰しもプラマイゼロであるとすれば、平等と言えるのか...
そうですね…不幸があるからこそ、幸福を感じるし、その程度や感じ方も人それぞれ…誰しもプラマイゼロであるとすれば、平等と言えるのかもしれないですね。
願望…(笑)
少し違うかもですが、わたしはメンタルの波激しいので、揺れ動きながらやっていくのはたぶん日常茶飯事。人一倍揺れが大きく多いので、そこが難しいです…
大変ですよね。親しい人からは、わかりやすいと指摘されます。
だから、浮気したらすぐばれます(笑)
全然関...
大変ですよね。親しい人からは、わかりやすいと指摘されます。
だから、浮気したらすぐばれます(笑)
全然関係のない話になってしまいました…申し訳ありません。
こんばんは!
読書に没頭するって、揺れに敏感な人が多い気がします。というか、だからこそ読書に没頭するんだな、っていう。
...
こんばんは!
読書に没頭するって、揺れに敏感な人が多い気がします。というか、だからこそ読書に没頭するんだな、っていう。
わたしも素直なのでなんでもダダ漏れです(笑)浮気向いてません(笑)
またいつでも関係ない話しに来てください^^