巷の空

著者 :
  • 田畑書店
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本棚登録 : 17
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784803803853

作品紹介・あらすじ

明治も終りに近い頃、江戸川橋の鰻屋に生まれながら、家業を嫌い靴職人となった主人公・伊之吉。独立して事業主となり、折り重なる浮き沈みに揉まれながら生き抜いて行く――関東大震災前の“古きよき東京”を緻密に再現しながら、市井に生きる日本人の姿を丹念な心理描写をもって描く。
私小説を志した著者が珍しくも客観小説に挑んだ大長編小説。
太平洋戦時下、「不要不急の作」として紙が配給されずお蔵入りになり、戦後、刊行間近で出版社が倒産、不幸な運命をたどった“幻の名作”が、いま蘇る!

感想・レビュー・書評

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  • 読了後、一日経ってみると素晴らしい物語だったとしみじみ感じる。
    個人的なことを申すと私の祖父母は神田、銀座の人であった。神田の親戚は職人を雇う家業をしていて、銀座の親戚は舶来物の時計を販売する商人であった。子供の頃、祖父母から聞いたその当時の話がそのまま展開されているようで、野口冨士男氏の重厚な文章力も相まってその世界観に大変魅せられた。

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著者プロフィール

1911(明治44)年、東京生まれ。慶應大学予科中退後、文化学院文学部に移り、同校卒業。紀伊國屋書店出版部に入社。のち都新聞(現・東京新聞)、河出書房を経て、40年、初の著書『風の系譜』を刊行。44年、海軍に召集されるが、翌年、栄養失調のため横須賀海軍病院に入院。半年後に復員する。48年「文藝時代」を創刊。また「キアラの会」に参加。60年、同会によって創刊された「風景」の初代編集長となる。65年『徳田秋聲傳』にて毎日芸術賞を受賞する。76年『わが荷風』で読売文学賞(随筆紀行部門)、79年『かくてありけり』で読売文学賞(小説部門)、80年「なぎの葉考」で川端康成文学賞、86年『感触的昭和文壇史』で菊池寛賞を受賞。また82年には日本藝術院賞が授賞された。93年、呼吸不全のため死去。翌年、越谷市立図書館内に野口冨士男文庫が開設された。

「2021年 『巷の空』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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