- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802612623
作品紹介・あらすじ
簿記や会計の知識は一定程度勉強したし、決算書の読み方に関する入門書を読んでみたけど、実物の決算書を前にするとどのように読み進めていけばいいのかが分からない。
本書は、そのような悩みを持たれた方に、「実物の決算書を自力で読み解くためのチカラ」を身に付けていただくための教科書です。
ただし、教科書と言っても、決算書における財務指標の意味等を解説するのではなく、実際に上場企業が開示している有価証券報告書、決算説明資料、統合報告書等の様々な情報をフルに活用し、数字の裏に隠されたストーリーを「見える化」していくアプローチを採っています。
なぜ、家具販売の王者「ニトリ」は一人勝ちができたのか
なぜ、メルカリは赤字でも勝負を続けられるのか
なぜ、スカイマークや江守グループは倒産したのか
なぜ、日本電産はM&Aで成功し続けたのか
本書を読み終えた方は、こういったことがファクトベースで説明できるようになるでしょう。
決算書は、会社の全てが凝縮された情報の宝庫です。
そんな決算書を活用しながら会社の実態を紐解いていく面白さを、本書でぜひ体感してみてください!
感想・レビュー・書評
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担当者なら定期的に実務を通して経験値が高まるが、私のように実際に担当しない人には、このような事例を盛り込んだ教科書は有難い。有価証券報告書についても解説があり、単に財務三表の切り口だけでは無い事も視野を広げてくれた。
関係会社株式評価損が計上されていると言う事は子会社のどこかが赤字続きになっていると言う事。百貨店は在庫リスクも保管責任も仕入れ販売をするケースが多い。一方ショッピングセンターがテナント貸しと言う商売形態。日本で初めてクレジットカードを発行したのは丸井グループと知識を学びつつ、丸井グループにおけるファクタリングの話。売掛金を現金に変えるファクタリングを行うことでバランスシートの肥大化を防ぐ。これにより売掛金が減り見かけ上、ROICを高めることができる。
買収時に貸借対照表の資産と負債を時価ベースに置き換える作業PPA。時価に評価替えをすると同時に、商標権や証券等の無形資産を識別することもある。日本語で取得原価の配分と訳される。買収金額=余剰価値+純資産=純資産+商標権+土地含み益+のれん+知的財産権。のれんにはシナジー効果や優秀な人材等の特定が難しい価値が含まれる。M&Aの解説は助かる。
銀行からの負債で資金調達をする方が利息は低いが倒産リスクが高まる。そのため企業価値を毀損してしまう。リスクが相対的に低い投資を行う際の資金調達を負債で、リスクが相対的に高い投資を行う際の資金調達は自己資本で行うというのがコーポレートファイナンスの大原則、など。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●営業利益 vs CF:営業利益が改善しているのにCFが長期的に振るわない/赤字の
場合は注意が必要(e.g.RIZAP)
●ROIC=税引後営業利益 / 投下資本(有利子負債+純資産)
ROIC=税引後営業利益/売上高 × 売上高/投下資本
=営業利益率 × 棚卸資産回転率
日系大手を中心に、内部留保が厚く(ほぼ現金)、事業用に投下しているリソース
が”肥大化”して見えてしまうため、当該ビジネスの核となる資産(ニトリなら店舗(有形固定資産)などで売上比較をする、などブレイクダウンが必要。
●減損損失=短期的には業績下降のシグナル+本来期待した利益計画の達成が不可能(投資の機会損失が発生)のシグナル。
Cashoutはないものの、事業価値を毀損しているわけで、実質cashoutと同様。
●CCCー棚卸資産回転期間+売上債権回転期間ー仕入債務回転期間
棚卸資産/売上原価×12 , 売上債権/売上高×12, 仕入債務/売上原価×12
●税務上の繰越欠損金:資産計上(将来の納税額を減少できるので)
但し、Startup企業の場合は、”税務上の繰越欠損金にかかる評価性引当額”で全額
控除される場合も。メルカリも2019年決算では、まだ黒字化が見通せないので
控除していた。 -
簿記の知識はあるがそれを具体的にどう活かすべきかについて非常に面白く解説してくれる良本だった。決算書からそんな背景を汲み取れるのかと新たな視点を育むことができた。
ただ、簿記の知識があったからこそまだ理解が及んだといっても過言ではないくらい、専門性に長けている。
一回読んだからと言ってすぐに決算書を読み解くことができるわけではなく、色んな決算書から自分なりに読み解く実践を重ねること、またこの本に何度でも触れて考え方を洗練させていくことが重要だ。 -
決算書を読めるようになりたくて、いろいろ揃えた本の中の一冊。
読んでいる時はわかった気になるが、実際に企業の経営状態を分析できるようになるまでにはならない。
複数の本を並行して読んで勉強したいと思う。 -
さまざまな業界の上場企業の実際の決算書を例に使って、その開始者の状況を業界特徴とともに解説してある。結構細かく解説しており、難しいが何度も読む価値はありそう。
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○基本情報
タイトル︰決算書の読み方
著者など︰吉田有機
ジャンル︰インプット、金融
読了期間︰2021年2月
ページ等︰多分5時間ぐらい 300ページぐらいの中型本
目的:金融インプット。簿記関係スキル。
○感想
簿記会計のルールを知っていても、実際の会社の財務諸表を読んでビジネスの実情を知るように努めないと、実務上耐えうるような決算書の読み方はできない、というのが筆者の抱えるテーマで、解決したいテーマ。
確かに自分も諸々の簿記関係の知識はインプットするものの、知識がすり抜けていって全然定着していない印象がある。
本書では相当数の実例を挙げており、該社のビジネスや財務状況の具体的な理解に根差した解説をしており、こうした訓練の導入としては非常にためになった印象。
ただし何より、繰り返しの練習が必要かと思うので、筆者のようなスキルを磨きたいのであれば、本書を読めばいいというわけではなく日々訓練が必要。
○疑問
104ページのいうFCFはnet profitでは?
CFADSが税金引いたあとなのはなぜ?
○引用・まとめ
・不動産業でも、賃貸用の不動産(キャピタルゲイン)は固定資産、分譲用は在庫と一緒で流動資産
⇒例えば、販売用不動産を不動産会社が買った場合は、営業CFにマイナスになる
・店舗小売業における主要な販管費は、人件費・広告費・賃料
・商品と売上原価から見る在庫回転率
・工場や製造機械は有形固定資産
・製造業は、売れたものの売り上げと原価だけがPLに乗り、残った資産はBSに乗る(原材料・仕掛け品・完成在庫)
・買収時は資産と負債を時価に引き直す。資産は事業資産と非事業資産
⇒EV(事業価値)+非事業資産(現金など)-デット、株主価値(純資産)が求められる
・DCFやEVマルチブルは、まず事業価値を求めるということから、エンタープライズ法という
・ラクスルもサンサンもキャッシュが厚い。しばらく赤字を掘る前提になっている
・ソフトバンクのようなIFRSは、投資先(ファンド持ち分も)を未上場でも時価評価し、変化分はすべてPLに乗ってBSの評価額も変更する。 -
運転資本の考え方が非常にわかりやすかった。
最後にかけて少し難しい -
PLしか見ていない人が多い。
BSやCFも見ないといけない。
この3つを横断的にみて、会社のストーリーを読み解くことができる。
実際にBS、PL、CFを見ながらの解説は納得させられる。
しかし、これを一人でできるようになるためには、一体どれほどの時間と勉強が必要だろうか。
まずは少しでも企業の決算資料に目を通し、疑問に感じた項目を深堀していく必要があると感じた。
また、この本を読んだことで、"借金=悪"という考えが変わった。
危機的状況に陥り借金をしようとした場合、既に貸し付けがあれば、倒産して貸し倒れになると銀行も困るため貸してもらえる可能性もある。
新規の顧客では、リスクしかないため金を貸してもらえない。
さらに株を発行し資金調達するよりも、借りた方がいいこともあると言っている。
借金の場合、1%程度の利子を付けて返せば、銀行は満足してくれる。
株の場合は、1%程度上昇したところで投資家は満足してくれない。
なるほど納得でした。 -
決算書を学びたい人は是非読んでみてほしい。
決算書を読めるようになるために一番大切なことは、読む実践を積むこと。
簿記の基本を勉強することでも、決算説明の動画を眺めることでもない。
でもどうやって実践積めばいいかわからない。
本書では上場企業の決算書を通じて各業界ごとに見るポイントを解説している。
“決算数字とビジネスモデル”をつなげるイメージを体感させてくれます。
実践を積む前の『実践方法』を学びたい方は是非本書を手に取ってください。 -
決算書の数値がなぜそのような数値になったのかを分析する際の考え方を丁寧に解説した本。王道ではあるが、数値を細かく分解してブレークダウンするのが要因を掴む基本だなと改めて感じた。
会計専門家にとっても参考になる一冊である。