- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800311054
感想・レビュー・書評
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「本が好き」だから、本に関わる働き方・暮らし方を選んだ人たち。
そんな女性たち10人を紹介した本。
どれもみな主宰者の個人の力を大切にし、地域に根差していてスタートから10年に満たない。
初版が16年12月だから、現在はもっと増えていてほしいな。
書店を開くためのハウツー本ではないが、写真も豊富で本人たちのお薦め本3冊も載っているし、Shop Dataもきっちり掲載されている。
ネット本屋が多い今、貴重な記録だ。そして読むと無性に行きたくなってくる。
標高400メートルの山奥の書店、「古本・お酒・珈琲」の看板がある古本バル。
初心者ふたりで始めた古本屋、月イチ読書会を開く洋館の古書店。
移住した瀬戸内の島で廃屋を改修し、図書館にしたひとも。
元編集者だった人や出版社勤務だったという人もいるが、ほとんどは未経験の方ばかり。
始めるまでにそれぞれ乗り越えてきたものがあり「本」のそのまた先の未来を見つめる視点がある。だから、何かに左右されてしまう不安定さがない。
どの方の言葉にもキラリと輝くものがあり、「好き」を仕事にした喜びを感じる。
嫌なことも当然あるだろうが、それを乗り越える力も本が与えてくれるのが伝わってくる。
「お金を儲けることは大事だけれど、そのために無理をするともっと大事なことを見失う」
「休みが少なくて大変でしょうとか言われますけど、好きなことだから全然平気」
「ひとりになりたいとき、気持ちが弱っているときでも行ける。そんな店になりたい」
「図書館だったら、そこには本を読んでいる人がいて、何となく人がいる安心感をつくれる」
Case9は、震災後に南三陸市で木造校舎をリノベーションして始めた文庫。
Case10は、こちらも震災後の熊本市で移転・新装開店した書店。
このふたつは出色の章で、読みながらいつの間にか涙を流していた。
「いつまで生きるかわからない。だから、やろうと思ったら、やる」
「普通の生活をしていると本を読むのって当たり前のことですけど、実は本を手に取れるというのはすごいことなんだな」
これらの言葉が響かないひとっているんだろうか。
あの震災のあとは読書しようという気持ちさえ生まれなかった。
健康上の不安や金銭的な悩み、あるいは家族と不仲とか仕事がうまくいかないとか、何かしら困っていることがあるかもしれない。
それでも本を手に取って読めるなら、あなたの現在はまんざらじゃない。
むしろ幸せかもしれないのだ。
本が好き、という思いがひとを強くする。新しい仲間を引き寄せる。
5%程度と言われる読書人口だけど、本の力は本当に強い。
それにしても、ここに載っている場所の全部を回りたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本のある、いろんなカタチの暮らし。
本が好きな女性たちの、さまざまな生き方。
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この本は、ただの本屋さんや図書館ガイドブックではありません。
さまざまなカタチで、本のある暮らしを営む女性たちを紹介した本です。
女性たちの人生を通してみる、それぞれの“本のある場所”は、とても新鮮で、だからこそ「この場所を訪れてみたい!」という気持ちに自然となりました。
以前、著者のおひとりである北條一浩さんの「わたしのブックストア」(2012)を読みましたが、その本で紹介されていた「橙書店」の2016年の姿を、「本の時間を届けます」のなかで見ることができました。
2012年から2016年のあいだには、4年の月日が流れていますが、橙書店の変化を感じ、時間は確かに進んでいるし、店主さんの人生も迷いを抱えながらも、すこしずつ進んでいるのだなと感じました。
今は2021年なので、2016年からさらに5年の月日が経っているわけですが、この本に紹介されている居場所たちの今の姿をこんどは自分の目で見たくなる、そんな1冊でした。 -
本好きが憧れるのは、小さな店で自分好みの本を並べて売る。こじんまりとしていてあくせくせず、のんびりと本と共に生きる。そんな光景ではないでしょうか。
ところが本を売るという事は、今の現代ビジネスモデルとしては完全に衰退の一途を辿っている為、他に副業があるかお金持ちにならない限り踏ん切りがつかない夢と化しています。
そんな中でも本に関わりたいという人たちが荒波に漕ぎ出して、懸命にそして楽しげに本を手に毎日を過ごしている姿を垣間見ることが出来る本です。表紙にも題名にも書いてありませんが、全員女性店主です。
女性店主という括りに反応する辺り、私自体まだジェンダーレスになれていない証拠でありますが、カフェ等でも女性が店頭に居る方が落ち着きます。
山奥の書店や、離島の図書館。行ったことは無いけれど知っている古本バル。色々な魅力的な店が満載で、一軒一軒訪ねて回りたいです。簡単な地図が載っていますが遠い距離にため息つきながら読んでいました。
行けそうなのは西荻の「月よみ堂」と栃木の「ハナメガネ商会」でしょうか。西荻へ行って書店巡りをしたあと、ゆったりと飲みに行きたいものであります。
皆さんに共通するのはリスクを考えるよりも、自分の一番生きたい人生を考えて実行に移しているという所でしょうか。本とともに生きるという事が自然だという人々は絶滅危惧種だと思いますが、その中でも本を生活の糧にして、しかも組織に属さないということは、その中でも相当なひねくれもの、そしてチャレンジャーです。
毎回こういう本を読むと羨望が体を満たしますが、自分も後に続くかと言われれば、店を楽しむ側でいいやという結論になります。 -
本を扱う仕事を、自分たちで始めた女性たち。憧れるし羨ましい。もちろん楽なことばかりではないと思うけれど。
いつか彼女たちのお店に行ってみたい。 -
取捨選択。きっかけと縁と、それから勢い。本が好き。
だけでもなく。何かを始めて、続けていく強さ。 -
皆さん、私には想像出来ないくらい苦労などあったと思いますが、大好きな本に囲まれて仕事が出来たり生活したり素敵過ぎてとても憧れます。
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知らない本屋さんや、新しい本に囲まれた空間に入った時のワクワクが文章で感じられる。
本を読む空間を1から作り出した方々の、色んな考え方や生き方を知ることが出来る。また、その方のおすすめの本も知れる。本好き、書店、図書館、古本屋が好きなら手元に置いておきたい1冊。 -
"出版不況と言われている中でも、地道に本に関わるビジネスを営んでいる人達がいる。
この本では、小さな新刊を扱う本屋や古書店、図書館運営などに取り組んでいる女性を紹介している。個性的な店舗ばかりだ。
廃業する街の本屋さんが多い中、頑張っている人達がいることで元気付けられる。
いつか、私もと漠然とした思いだけがある。
そろそろ50歳も近づき、次のステップに向けて準備をしないといけない。まずは貯金から。" -
日本各地の素敵な本屋さんの成り立ち。本好きの方におすすめ
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古書店や図書館を開く女性たちとそのお店の紹介。
私は天井まで本があって、それが円形の部屋で、全部私が読んだことがある本棚を作りたい。。(お店を作るほどの意欲はないけど、願望はある。)