- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800237545
作品紹介・あらすじ
たかじん最後の741日-後妻・さくらは天使だったか?元マネージャー、前妻、家鋪ファミリーが証言。"純愛ノンフィクション"の疑惑を徹底解明!
感想・レビュー・書評
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まず断っておかなければいけない。騒動の元になった作品で
ある百田尚樹『殉愛』を読んでいない。だって百田尚樹なの
だもの。『黄金のバンタムを破った男』でとんでもなく残念
な目に遭い、ベストセラー『永遠の0』を読んで「なんでこれ
が感動を呼ぶんだ?切り張りじゃないか」と思ったのだもの。
でも、一連の『殉愛』騒動はほぼリアルタイムでネット上の
動きを知っている。そして本書の著者のひとりである西岡
研介氏がTwitter上で宣戦布告していたのを覚えていたので、
新刊書店で本書を見てなんのためらいもなく購入した。
執筆予定が数年先まで埋まっているという売れっ子作家が
緊急出版したという『殉愛』は、やしきたかんじんの最期を
看取った3番目の妻・さくら氏の闘病生活を綴ったノンフィク
ションとして出版された。版元は幻冬舎。
そもそも『殉愛』の帯の惹句が胡散臭かったんだよね。「愛を
知らなった男が云々」って。たかじんが愛を知らなかった?
そんな人があれだけ多くの「愛の歌」を情感を込めて歌える
かね?まぁ、センセーショナルで売り出すのがお得意の幻冬舎
だからこんな帯をつけたんだろうね。
さて、本書である。『殉愛』で描かれたさくら氏の一方的な
言い分をバッサバッサと切り崩していて非常に気持ちがいい。
気持ちがいい反面、さくら氏という人物が次々に繰り出す嘘
に背筋が寒くなった。
百田尚樹って人は「ノンフィクション」のなんたるかを分かっ
てないんだろうね。さくら氏の言い分を正当化する為にたった
ひとりのたかじんのお嬢さんや、長年、たかじんのそばにいた
マネージャをとことん落としてることしかしてない。
たかじんのお嬢さんなんて芸能関係者でもなく一般の人なの
にね。しかもご本人に取材することすらしていない。いいで
すか、百田センセイ。取材を申し込んでそれが叶わなかった
のなら、本書のようにその理由を明記すべきなんですよ。
それを取材すらずに一般人を悪しざまに描くってのは売れっ子
作家の驕りじゃないんですかね。
さくら氏に騙されたのであればそれを正直に白状すればいい
のにね。ちょっとでも批判されると恫喝ともとれる発言ばかり
しているから、圧倒的に取材力の違う人たちに本書のような
裏取りをされちゃんじゃないのかな。
「百田をウォッチしてきたあるジャーナリストは、そもそも
言論がどういうものなのか理解さえしていないと指摘する。」
『殉愛』騒動もそうだが、百田尚樹という人の数々の発言を
見ているとこの文章に納得だな。彼は「作家」ではなく、
所詮は「テレビ屋」の域を脱してないだけの人なんだろう。
これに懲りてもうノンフィクションには手を出さないでね、
百田センセイ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
百田尚樹氏の「殉愛」という著書がノンフィクションという触れ込みで出版されたそうだが、内容に偏りがあるとして、糾弾する本。
「殉愛」を読んでいないが、ガンで2014年に亡くなった歌手、やしきたかじん氏を亡くなる2年前から世話し、亡くなる直前に入籍した女性の看護日記のような内容らしい。たかじん氏が多額の遺産をその女性に遺したことや、その女性が32歳も若いことから、遺産目当てで近づいたのではないかとたかじん氏の死後憶測が飛んだ。
たかじん氏は関西ではとても有名らしいが、関東出身の者にはなじみが薄く、歌手と聞いても歌を聞いたこともない。だから、誰が遺産をもらうかとか、醜い内輪もめは正直なところ、どうでもいい。がん患者の看護・介護は壮絶だと聞く。2年間もお世話をしてくれた女性に遺産を遺すのは本人の遺志なのだから、それでいいではないか? -
なるほどなぁ。百田尚樹氏の「永遠の0」を読んだ時の、ノンフィクションじゃないのにノンフィクションのフリをした小説ってどうなんだろうと思った感じが継続していたのかーってなった。
永遠の0は直接の利害関係者がお亡くなりのケースが多いから、被害者の数は少ないのかなぁとは思うけど(それでもよくはないけれど)、殉愛に関しては、この本を読む限り「どうしてこうなった」っていう感じ。出落ちか。
フィクションとして書くなら、もう少し面白くかけたんじゃなかろうか百田尚樹氏。仕事選ばなかった理由は何なのか。金なのか。むしろそのあたりが知りたかった。
なにはともあれ、大切な家族が亡くなった後、その家族が言っていたこととして非難されるというのは、遺族にとってはしんどいだろうなぁ。
(本当の真実はどこにもないのだとも思うんだけど)
ご本人のご冥福をお祈りしつつ、遺族の心の傷が癒えることを願うばかりです。 -
よく取材されていて、本自体はとても良かったのだが、そこに書かれている事実があまりにも邪悪なので感想を書きたくない。
読まずにはいられなかったが、途中で読むのをやめたくなった。知りたいけど知れば気分が悪くなるというか。
私の生活とはなんの関わりもなく、ゴシップ的な興味と言えばそうかもしれないが、百田尚樹ののさばり方、政権との関わり方を思えば、全く自分の生活と関係ないとも言い切れない。 -
「殉愛」を読んで抱いた大きな違和感や、あてどころのない怒りのような感情に一つ一つ細かくこたえてくれた、とても読み応えのある一冊でした。
ボリュームが相当あったけれど、時間ができればすぐ手に取って寝る時間も(多少ですが)犠牲にして一気に読み終えました。この本を手にしたからには少しでも早く色んな事を知りたい、その一心で。
裁判等を経て色んな事が明るみになってから、もう一回読み直してみたいと思います。
なにより、この本が読まれることで「殉愛」や金スマ等で一方的にくさされていた長女や前妻、マネージャーのKさんの実際の姿やたかじんさんとの関係性が知られ、妙な誤解や偏見がなくなってほしいな…と切に願ってしまいます。
私のような、当事者たちと何の関係もないただの一般人がそう願ってしまうほど「殉愛」での描かれ方は酷過ぎたと思うので。 -
紀伊國屋梅田店で購入。
「殉愛」を立ち読みしてなんだこの気持ち悪さと
思わず手を離した印象が間違っていなかったことが
ネットでどんどん裏付けされてゆき
ついにきちんと出版されたことに感動する。
その昔「名を惜しめ」という言葉があったのだが
名より実どころか、金だけを信じてなりふり構わない人がいて
しかも少なくないのだな。 -
先日読み終わった百田尚樹『殉愛』があまりにもできすぎていて不気味さを感じたので続けて読んでみた。さくら氏の隠された結婚歴や、友人や元夫が語る昔の姿、「伯父」とされた人物の本当の姿、取材の甘さと内容の虚偽を追求された際の百田氏の歯切れと往生際の悪さ、結果的に百田氏の暴走を許し続けることになった出版業界のタブーの数々は、どれも読んでいて本当に心を寒々とさせるものだった。『海賊と呼ばれた男』、『永遠の0』のベストセラーで満足しておけばよかったのに、なんでこんな本を出したんだろう。さくら氏は今度は百田氏の愛人になったのか?わたしはやしきたかじん氏については「やっぱ好きやねん」くらいしか知らないけど、なんかやっぱりこういう見苦しい騒動は悲しくなるね。この本をもってわたしがこの騒動に触れるのはおしまい。時間の無駄だー。
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ジャーナリストの方々にすれば、「純愛ノンフィクション」と銘打って発売された『殉愛』は許しがたいものなんだろう。なもんで、この本は西岡研介氏、角岡伸彦氏という一級のノンフィクションライターを擁し、取材と検証という「正しいノンフィクションの手法」で著者および利害関係者たちを追い詰めていく。編集チームの「百田センセイ、これがノンフィクションちゅうもんだっせ」という声が聞こえてきそう。ノンフィクションの教科書として、ライター志望者はぜひ読むべし。あわせて、「売れっ子作家」に圧力をかけられて記事を握りつぶした文春なんかジャーナリズムでも何でもない、結局「弱い者いじめ」しかできないクソ雑誌だということもよく分かった。
ただ、読み終わってまだまだ知りたいことがあるのも事実。なぜ百田氏がここまでさくらの肩を持つのか(どんなメリットがあるのか)?さくらに味方する大阪のテレビ業界人たちはいつさくらの企みを知ったのか?それより何より『殉愛』の本当の仕掛け人はだれなのか?(幻冬舎?)この騒動の中、不思議なくらい幻冬舎と見城徹に関してだれも何も言わない。さくらが「本を出したい」くらいは思ったとしても、実際に出版をプロデュースできるわけじゃなし、一般人にすぎないさくらが「たかじんの遺言」だからと頼み込んだとして、超売れっ子作家の百田が筆をとるだろうか。実録本の場合、出版社が作家にテーマを与えて書かせるんじゃないのか。とにかく「発端」の部分があまりに不透明すぎるのだ。
今後のワタシの期待としては、いつかさくらが「ほんとは『殉愛』なんか出したくなかった。私は出版社と作家のオッサンたちに言われたままにあれこれやっただけ」などと、どっかでブチ上げる日が来ないかということである。