- Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800202895
作品紹介・あらすじ
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に"検察の正義"と"己の信義"の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。
感想・レビュー・書評
-
柚月裕子3連読となる連作5話短編集。
シリーズ2作目となる本作を最後に読んだこともあり、前読した『検事の死命』の【業をおろす】を先読みしてしまったが、本作【本懐を知る】を読んでさらに感慨深い気持ちになった。
本作の中では【罪を押す】が良かった。無実を暴くというケースのストーリーで被疑者の不器用さにウルっと。
佐方シリーズ、善き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
またまた、新たなヒーローに出会ってしまった!
この前、五人の作家による短編集で初めて読んだ柚月裕子さん。
面白かったので、図書館にあったこの本を借りてきました。
その人は、地方検事・佐方貞人。
この作品は5つの独立した短編で成り立っています。
時間が前後していて、順番に語られるわけではありません。
でも、5話それぞれが繋がって
佐方貞人という人物の輪郭が浮かび上がります。
一話では 佐方が事件に向き合う姿勢が
二話で 上司の筒井が佐方に感服する様子が描かれます。
三話は 佐方の高校生時代のエピソード
四話では 正義が理解されない悔しさ
そして圧巻の第五話で、佐方の生い立ちが
父親の過去の秘密を通して語られます。
この作品は佐方シリーズの第二作なのだとか。
第一作目の『最後の証人』は、あいにく貸し出し中。
順番が回って来るのを待って、ゆっくり辿ります。
私の魅力的なヒーロたち
御子柴礼司、岬洋介(中山七里)、加賀恭一郎(東野圭吾)
彼らに加えての四人目!
また楽しみが増えました☆彡 -
面白かった
佐方貞人シリーズ第二弾。2013年大藪春彦賞受賞作品!
短編連作でした。
短編とはいえ、佐方の人となりが明確になる物語
一遍一遍が骨太の物語です。
何が良かったかって最後の「本懐を知る」が素晴らしい
■樹を見る
連続放火事件の解決を焦る県警上層部。被疑者は1件の犯行を否定。その真相は?
■罪を押す
出所した当日に時計を盗んだ被疑者。再犯で片付けようとした上司の筒井。その真相は?
筒井が佐方の優秀さを目のあたりにします
■恩を返す
高校時代の同級生のために、悪徳警官に対峙する佐方。
佐方の高校時代が明らかになります。
■拳を握る
東京地検からの応援要請で政治家の贈収賄事件の捜査へ。自らの信義を通すことで、組織の壁に阻まれます。
■本懐を知る
横領弁護士として汚名をきせられたまま亡くなった佐方の父親。週刊誌の記者が結果的にその真相を明らかにします。
佐方のルーツが、信念のもとを感じました。
この物語には熱いものがこみ上げます。
本書を通して、佐方の人間そのもの、正義、信念があぶりだされていると思いました。
とってもお勧め! -
柚月さんの本は『最後の証人』に次いで2作目。
ヤメ検弁護士・佐方貞人の検事時代を描いた連作短編。
このシリーズ、面白い!
第3弾を読まなければ~ -
2011年11月作品
「樹を見る」
東野作品なら放火娘が無実時効を迎えてキーパーソンとなる。そんなに刑事は??というところである。
言葉「事件を起こす人間を見るんです」
ヒロスエ、エイトがTVを賑わしている今日日。
残り返却のため、後日。 -
佐方検事の原点を知ると同時に、父佐方弁護士の真実に心を揺さぶられました。
-
皆さんのレビューが良かったので、読んで見ました。
結果、読んで良かった!
最近歳のせいか些細な事で涙してしまうけれど、この本も読む途中泣いてしまった。
各章に登場する主人公の周りの人々につい共感してしまって。
若い頃勤めていた会社では、真面目に誠実に仕事をしていたので、仕事ぶりはそれなりに認められていました。お世辞やおべっかは使えないし、美人でもなく、愛想もよくなかったけれど。
でも、今の会社ではそれではダメだなって思う。たぶん、認められるのは、上と仲良くやれて、愛想が良くて、プレゼンテーションの上手い人間。「真面目に働くとバカをみますよ、ここは」と若い同僚にも最近言われたし。
この小説の登場人物は、そんな私みたいにバカを見る人だらけ。その中で佐方検事は、「希望」。
まともに生きようとする人にも冷たい社会の中、佐方検事のような非凡な人間が現実にいたらよいなあと思います。できれば身近にいてほしい。
シリーズ本なので順を追って読もうと思う。