発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体 (ディスカヴァー携書)

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799329344

感想・レビュー・書評

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  • トラウマというと、「大きな事故や生死の境をさまようような体験をしたことが原因」のようなイメージが多いですが、それほど深刻なものでなくてもトラウマになりうるし、そういった場合はこういうものが原因として考えられますよ……ということを提示してくれている本です。

    「生物は短時間のストレスには耐えうるように出来ていても、長時間の小さなストレスには適応できない」ということを初めて知りました。自分たちの社会がストレス社会と呼ばれていることを、改めて考え直さなくてはいけないですね。

    他にも、矛盾するメッセージを浴び続けて育つことによって、認知が歪んでしまうこと(「あなたのためよ」と言われながら育つと、相手がしてくれることが正しく自分の嫌な気持ちは間違いなのだと信じてしまうなど)や、感情を封じられてしまうこと(怒っていると、「ほらすぐ怒る。お父さんにそっくりね」といわれるなど)については、結構多くの家庭にあるあるなのではないかと感じました。

    トラウマってもっと身近にあるもので、グラデーションなんだよ、ということを教えてくれる一冊です。

  • デカい、ハデなトラウマしか目に入ってない馬鹿が多い。
    それは常々かんじていた。

    レイプや災害、戦争体験、知らない人にいきなり殴られるなど「わかりやすい」「納得できる」トラウマしかトラウマでないと世間一般では思われている。
    まぁ、それはそれで大変な心の傷ではある。
    だけど、「目に見えやすい」ことは、イコール「治療する範囲が明確」「人に理解してもらいやすい」そしてなにより「再現されることを避けやすい」ってことなんだよな。

    逆に、日常で「些細な嫌なこと」を繰り返し受けてきたトラウマは、まず人に理解されない。「そんなことくらいで」って笑われることもしばしば。

    例えば、薄口信奉の母親の元で育ったわたしの友人は、幼少時、食卓でおかず(塩気ゼロ)に醤油を一滴でも垂らそうものなら、母親から「お母さんの料理は不味いもんねぇ」「健康のことを考えられないんだねぇ」「作った人の気持ちはどうでもいいんだねぇ」と嫌味を浴びせられまくった。そのために、独立した今でも、おかずに調味料を追加するときには、毎回、母親の嫌味が頭の中でリフレインし、罪悪感でしんどくなるそうだ。「薄味」「素材の味」って言葉も大嫌い。
    このエピソードを「そんなことで」と思うやつは、頭の中お花畑だと思う。
    食事という避けようのない日々の営みがずっと苦痛なんだぞ。飯食うたびに、イマジナリー毒母に嫌味を言われる生活を送ってるんだぞ。

    そういう家庭で育った子は、たいてい他の「生活に密着した」嫌味や理不尽な文句を常に浴びせられまくっており、大人になってからも、めちゃくちゃ嫌いな上司が24時間365日となりに張りついているような、ストレスフルな生活を送っている。
    複雑性PTSDの一丁あがりだ。

    複雑性PTSDの、現在は脅威ではない事象にストレスを感じる症状は、トラウマそのものである。
    にも関わらず、その様子は、他人から見たら理解しがたい、大変に奇妙で馬鹿げたものである。
    複雑性PTSDを負った本人からしたら、そういった他人とのズレや無理解が、さらにストレスを呼ぶ。
    そもそも、嫌な気持ちに常に襲われている原因が「些細な傷の積み重ね」にあることに、トラウマ主本人が気づいていないことも多い。
    結果、人や社会と上手く付き合えなくなる。そして、発達障害を疑うようになる。

    人はいい加減、創作物によくある分かりやすいトラウマだけがトラウマであるという思い込みから脱却すべきである。

  • オーディブルで聴了。

  • まさに自分かも。
    本で読みたい

  • 幼少期に抱えた小さなトラウマにより、発達障害的兆候や抑うつなどいわゆる生きづらさを呈しているという提言。具体例も多く、自分もそれが原因かというところもある。緊張し過ぎなど、みんなより〇〇とネガティブに感じるところにはこれがあるかもしれない。個人的には栄養と精神のところで、栄養が偏ると鬱になる。バランスを取ると改善するのところが興味ある。

  • 愛着障害やHSPかもって思って、類の本を読んでもなんだかしっくりこなかった。子どもの頃は確かに息苦しい家庭環境だったけど、虐待とまでいかないし、、世間的に見たら良い家族だし、、

    と思って手に取った本。
    自身の生きにくさを代弁してくれるかのような内容だった。

  • 発達性トラウマについて。
    愛着障がいで悩んでる私にとって、この発達性トラウマの理論はとてもあてはまり、勉強になった。
    参考文献もたくさん載せてくれていて、これからその他の本も読んでいって、自分の発達性トラウマと向き合うチャンスにしたいと思った。

    図書館で借りたいけど、良い本すぎて買いたい。

  •  

  • 自分には合わなかった。HSPと同じく自分をカテゴライズしてなんとなく安心する道具として解説してるようにしか思えなかった。もう少し学術的かフラットな視点からこの概念を観察する必要があると感じた。

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