新しい経営学

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799325551

感想・レビュー・書評

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  • 三谷さんが経営に関する本を出したということで読んでみました。
    三谷さんの本は好きなので、全てではないけど、結構読んでいるはず。

    今回は、経営を俯瞰的に、しかも分かりやすく、
    そして、三谷さん流のエッセンスを加えて料理してくれています。
    三谷さん流エッセンスとは、MBAの基礎科目別(戦略とかマーケとか会計とか)に学ぶのではなく、
    ビジネスモデルを組み立てる際の重要な要素別(ターゲット・バリュー・ケイパビリティ・収益モデル)に学ぶことができる点です。
    なるほど、ビジネスモデルと経営って、
    こんな感じで繋がっていたのかと全体像を知ることができます。

    どうしても各要素はエッセンス(要約)にならざるを得ない部分がありますが、
    それでもこの本をまず読んでおけば、経営学の地図のようなものが頭の中にできて、
    より深く学んでいく際に全体像を見失うことなく学べそうです。

    同じ著者の「経営戦略全史」「ビジネスモデル全史」と一緒にどうぞ。

  • 経営学を「機能別」ではなくて、「目的別」に整理統合したもの。

    そうそう、経営学って、こんな感じでつながっているんだよね。少なくとも実務的には。

    が、なかなかこういうのが今までなかった。多分、部門横断的にかける人がいなかったんだよね。

    経営戦略の分野では、いまだにポーターのポジショニングとRBVの議論の紹介と実務的な策定プロセスくらいのところまでの「入門書」が多いが、それだけでは現実の世界の実務はまわらない。むしろ、理屈ぽくなって、害もあるかもしれない。

    入門書なんだけど、ビジネスモデルの新しいところまでをちゃんとおさえてある。さらには、経済学とか、経営戦略史もかんたんにおさえてある。(この辺は、2つの「全史」の資源活用か?)

    事例も、「越後屋」からはじまり、最近のネット企業系の事例も多い。

    やっぱ、入門といっても、その辺の新しいところまでをカバーしないと使えないだよね。

    という意味でも快挙だな〜。

    とくに初めて知ったという内容があるわけではないのだけど、頭のなかが再構成されていく気持ち良さがあって、久しぶりに「経営学」の本をワクワクしながら、一気読みした。

  • 経営における基礎的な学べる入門書


    1年周期に読む事でさらに理解が深まると思う。
    日々の会社生活で起きていることを、経験と勘ではなく、より専門的に、よりロジカルに見れるようになるかもしれない。
    知識やスキルをしっかりと習得し、部下だけでなく役員に伝えられるようになりたい。

  • 経営学とはどんな学問なのか?、本書を通じて概観を掴むことができた。最初の1冊目としては良い教材と思う。

    また、事業がどのように回っているのか、この概観を掴めたことが非常によかった。(事業を経営する)
    事業の全体感を掴んだ上で、自身の業務の立ち位置や求められるものを考えて行動できると、よりよい業務に繋がりそう。

    経営学への興味関心問わず、学生や新社会人にはぜひ読んでみてもらいたい。

  • 事例も多く読みやすくなっており分かりやすい。
    大学で教えていてるようにわかりやすく書かれている。

  • 実践的な経営学を体系的に学ぶに最適!

  • ビジネスマンにわかりやすく経営学を説明していたという点で価値がある本。経営学を学ぶにあたっては浅く、これをベースに興味がある領域を深めるのがよいと思う。

  • 表題のとおり新しい視点での経営学。出典も明らかにしており、関連付けた学び直しにとてもいい本。

  • 著者の本はビジネスモデル全史以来2冊目。
    豊富な事例と明快な解説が印象的だったので、バラバラと学んできたビジネス知識の棚卸しのために購入。

    世の中に多くあるMBA本に比べ、以下の点が優れていると感じた。
    ・事例が多く、その事例分析が新しく深い
    ・説明の仕方が非教科書的で頭に入ってきやすい
    ・しかし、記載されていることのレベルはかなり高い(初学者向けに平易になりすぎていたりはしない)
    ・筆者の「ビジネスの面白さ」を伝えようとする姿勢が強い
    ・理論の羅列ではなく、学ぶ理由やコーヒー事業に例えたコラムなど読者が共感できる要素が詰まっている

    明日からビジネスの楽しさが1.3倍くらいになるので、ビジネス書が好きな人にはおすすめの内容。

    最も印象的だったのは、「ケイパビリティを作るのはオペレーションとリソースで、オペレーションを先に決めよ」という点。
    今あるリソースの活用で考えてスケールの小さいアイディアしか出てこなかったり、オペレーションを考えていないがゆえに絵空事のようなビジネス案しか出てこなかったりすることが往々にしてあるので、この点を意識した発想をしたいと感じた。

    【感想】
    ・うちの会社はケイパビリティを無視して絵空事をいうか、既存のケイパビリティにしか目を向けられない人が多すぎる
    ・「ケイパビリティ」目線でのビジネスモデルの引き出し(単にうわべの仕組みを理解するだけでは物知り止まり)を増やさないと何も事業に貢献できないと痛感
    ・リソースを鍛えるためにどうするかを真剣に考える。やる気を高めるだけで上手くいくなら苦労しない

    【メモ】
    ○経営学(≒MBA)が必要な理由
    ・経営に必要なビジネスモデルを描き実現するためには、機能横断的な共通の事業視点が必要で、MBAの知識はどれもこれに不可欠なものだから
    ・ビジネスモデルは以下の4つから構成される。ビジネスは必ずこの4点を踏まえて構想すべきだし、経営学の知識は構想のための武器になる。
    ①ターゲット(狙うべき相手)
    ②バリュー(提供価値)
    ③ケイパビリティ(価値の提供方法)
    ④収益モデル(マネタイズの方法)
    ・ちなみに、組織戦略などに関わる立場にないのであれば問題意識も生まれず、学びの嗜好や実践の場も持てないので、経営学を学んでも学びが深まらず、自らのスキルにもならない。

    ○ターゲットについて
    ・使用者、意思決定者(DMU)、支払者がそれぞれ誰なのかしっかり考える
    ・STP思考(マーケティングの戦略を決めるプロセス)
    Segmentation:顧客のタイプを分析
    Targeting:どの人に集中するかを選ぶ
    Positioning:その人に向け、自分がどうなっていくか
    →これは個人のポジショニングにも使えそう

    ○バリューについて
    ・ウォンツを見極める。ドリルを買う人は、ドリルの穴が欲しいのでもないかもしれない。DIYで子供からの尊敬を集めたいのかもしれない。人間を心理的に観察し、見た目以上の真因に辿り着かないと意味がない
    ・バリューの構造
    A)使用価値→使った時の嬉しさ
    ①中核価値:それがないと買わない
    ②実体価値:それがある物を買いたい
    ③付随価値:そうだとちょっと嬉しい
    B)交換価値→金銭的な価値
    C)知覚価値→エモさ・期待
    ・B2Bで顧客が感じるのは、QCDS
    →顧客企業は「そのサービスを採用したときに自社システム全体のQCDSはどう変わるか?」を考えている。提供する側もそれを意識する。
    ・究極系は、「自社の世界で唯一の商品でしか解決できない問題点を、顧客に対する無料コンサルティングを通じて明らかにする」こと!
    ・キャズム(アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間の谷)を越えるには、アーリーマジョリティへのマーケティングが不可欠。

    ○ケイパビリティについて
    ・リソースとオペレーションによって構成される。オペレーションは「どうやってサービスを作り、運び、提供するか」
    ・垂直統合と水平分業に正解はなく、どんなターゲットにどんなバリューを提供しているかで異なる。アップルは個性的なPCのデザインのために垂直統合をし、IBMは水平分業で勝負した。
    ・オペレーションが先でリソースが後!設計図やスケジュールがないと必要なリソースは決まらない!
    →リソースを先に固定してしまうからイノベーションが生まれない。足りないなら調達するか鍛えるしかない。
    ・オペレーションの中核はSCMとCRM。総合してバリューチェーン。
    調達→生産→流通(物流)で顧客に届ける体制を作り、
    マーケティング→営業→サービスで顧客を囲い込む。
    ・リソースについて
    カッツモデルとは階層ごとに求められるスキルが異なることを示した図。大きく以下3つに分かれる。
    ①ヒューマンスキル(対人関係力)
    ②コンセプチュアルスキル(問題の核心を捉え概念化する力)
    ③テクニカルスキル(専門性)
    ・ソリューションビジネスは上位下達では成立しない
    ・ケイパビリティの変革方法はサウスウエスト航空に学ぼう!→同社が社員に求めたのは「ユーモア」。ユーモアがあれば厳しい状況も耐えられるし、顧客を感動させようとする原動力にもなる。変革への抵抗を乗り越えるには心理的安全性を与えることが必須!

    ○収益モデルについて
    ・市場シェアはあくまで平均値に過ぎず、カテゴリ別に見れば凸凹が見えるので、それを元に市場浸透を進められる
    ・トレンドは替え刃モデル、広告モデル、フリーミアム、サブスクリプション
    →やっぱりサブスクはいろんなとこと被っている気がする、、、
    →フリーミアムは限界費用がゼロのデジタルコンテンツだから成り立つ。無料と有料のバランスがとても難しく、広告モデルや全課金に移行することも
    ・(私見)なぜサブスクが流行る?
    <SaaS>
    ーはやるのもわかる。常に最新版が提供可能、初期投資が安くなるから試しやすい、クラウド機能と繋がる(複数機で使えたり保存できたり)など、便利で気軽に使えるから
    <モノ>
    ーわからない。UDもできないし限界費用高いから詰め合わせでもコストメリットがないから。
    ーエアクロのように「プロのスタイリストが選んだ組み合わせが送られる」とかあかり安心のように「廃棄物処理リスクをパナに任せられる」みたいな付加価値がないとだめ。
    →レーザーブレードに似た話だと感じた。

    ○その他
    ・全社ビジョンが曖昧でも、事業ビジョンは具体化すること!→うちの会社は誰をターゲットに何をしたいんだろう?
    ・比較優位:自分が全部生産性高くできるとしても、最も得意なことに集中しないといけない。ルーチンワークを外出しするのはそのため。途上国ビジネスが残るのもそのため
    「弁護士が秘書を雇うのは、秘書が弁護士よりタイピングに優れているからではない。それが劣っているとしても、自分がタイピングより本来業務に特化した方が全体として儲かると分かっているから」
    ・結局、世の中の成功したビジネスは「計画的に成功した」ものばかりではなく、やりながらフィットさせた例が多い。結局は計画性より創発性だし、人間的要素(もちろんマインドだけでなくスキルも)が強い。
    ・事業責任者としての視点を持って初めて、事業への大きな貢献ができる。だから専門外の分野とも連携しよう!
    →まじでおっしゃる通り
    ・マネジャーが自身のスキルや知識をうまく伝えられないのでは、組織力は上がらず成果も出ない!
    →著者は30代を知識の再編、体系化に充てた。

  • ・ビジネスモデルは4要素
     ①顧客:誰に対して?
     ②提供価値:どんな価値を?
     ③ケイパビリティ(オペレーション/リソース):どうやって提供するのか?
     ④収益モデル:採算はどう取るのか?

    ①顧客:誰に対して
     ・ST(誰に)P(他社との差別化)
     ・ターゲットは顧客以外にもいろいろ
      – 製薬だと、厚労省、健保、病院(薬事委員会)、薬局、卸

    ②提供価値:どんな価値を?
     ・ニーズとウォンツ
     ・使用価値(効用)と交換価値(値段)
      – 使用価値は、中核価値(基本機能:それがないと買わない)、実態価値(品質、ブランド、デザイン:それがあるものを買いたい)、付随価値(保障、アフターサービス、信用力:そうだとちょっとうれしい)
     ・B2BではQCDS
      (使用価値)
      – 中核:基本機能
      – 実態:QD
      – 付随:S
     (交換価値)
      –価格:C

    ③ケイパビリティ:どうやって提供する?
     ・リソースとオペレーション

    ④収益モデル:採算はどう取る?
     ・売上手法
      – 広告:利用者ではなく広告主
      – 替え刃:初期投資ではなく消耗品
      – サービス化:使用した分だけ
      – サブスクリプション:期間定額
      – フリーミアム :一部の人だけ
     ・固定費>変動費
      – 規模と稼働率
     ・固定費<変動費
      – 粗利率アップ

      

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著者プロフィール

金沢工業大学大学院 教授
1964年生まれ。87年東京大学理学部卒業。92年INSEAD卒業。経営学修士。87年ボストンコンサルティンググループ入社。96年アクセンチュア株式会社入社。アクセンチュア 戦略グループ エグゼクティブ・パートナーを経て現職。

「2023年 『マンガ ビジネスモデル全史〔新装合本版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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