コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799323144

感想・レビュー・書評

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  • ー 一般的な会社は、腹が出た中年を思わせる“凸レンズ”、型になっている。つまり、中期計画を主軸とした経営だ。 短期の計画はおろそか、長期計画
    はもっとおろそかにする「中期計画症候群」。近年おかしくなってしまった東芝は、まさにこの状況だった。そもそも計画は、先が見える時代には効果的だが、非連続な時代には向かない。三年前に考えたことを実行しても、時代からずれていくだけだ。ではどうするか、というと、「ローリング」と称して、毎年計画を変更しているわけだ。結局、中期計画は守られないが、それは環境変化のせいになってしまう。

    いい会社の場合“凹レンズ”になっている。毎週、毎月といった超短期の計画と、たとえば2050年の展望のような超長期計画を立てる。企業として大切な視点は、この短期と長期の視点なのだ。大前さんのように先を見る目はとても大切だ。が、それと同時に、KPIを定めて短期をしっかりやり切ることも大切なのである。 ー

    基本から応用まで、理論から実践(実際のコンサル体験話)まで、内容が詰まっていて良かった。

    ボスコンかマッキンゼーか、の議論が面白い。

  • 初めて、コンサルティングの本を読んだが非常に奥が深い内容だった。

    コルサルする上で大事なこと!それは、課題設定であり、本質と構造を見極める必要がある。

    では、具体的にどうする?
    本質を見極めるのは、チョークポイントという問題の根っこを探る。この方法として、「イシューから始める」これは、闇雲に色々試すのではなく仮説を立てながら検討していくことが1番の近道である。

    問題解決は4段論法を用いる。ここでは、
    1.何が問題なのか?
    2.なぜ、それが問題なのか?
    3.なぜまだそれが出来ないのか?
    4.それができるようになるためにはどうすればいいか?
    筆者は特に3.の要素が重要だと述べていた。

    次に構造化については、色々述べられていたが、重要なのはマトリックスを作る2軸の設定だと述べられていた。ここでは、縦軸にマーケットのシェア率、横軸にマーケットのシェア率を設定にしていた。コンサルは、このマトリックスの右上に行くように戦略を立てていく

    そして、未来のコンサルにとって必要なのはJQと呼ばれる判断力である。データから真実を読み解くのはゆくゆくはAIにとって変わられるが、社会や経済、環境的な観点も考慮して判断できるのは人間だけであると述べている。これを養うには、トライアンドラーン、すなわち、挑戦して学んでいくことである。

    そして最後に、これからは問題解決だけでなく価値創造ができる人を目指して挑戦していって下さいと述べられていました。

  • 問題解決については、いきなり読むと内容がたくさんすぎて少し困惑するかもしれない。
    シンプルなものを読んだ後に、さらにスキルアップするにはとてもよかった。



    ・ファクトベースと心理ベース
    ・so whatとwhy soとwhy not yet
    ・仮説を立て、通説を疑い、20:80を見極める
    ・インパクトと速度の二軸評価と優先順位

  • マッキンゼーとBCGという二大コンサルティングファームに勤めたことのある著者によるロジカル・シンキングから仮設思考、問題解決に至るまでの思考法をまとめた本。
    コンサル行きたい人は、みな読んでそうな本ですね。

    結構なボリュームではありますが、コンパクトにまとまっていて、
    なおかつ著者自身のオリジナリティが随所で出ているところがグッド・ポイント。
    (有名フレームワークの使い方とその限界を知ることができます。)

    こういう類の本は、読んで終わりではなく、
    その後使ってナンボの世界なので、
    読んで満足することなく学んだ手法を実践し続けることが求められます。
    続編として、練習問題があれば、ナオヨシ!(出なさそうだけど。。)

  • ◾️概要
    自信と納得感を持って仕事を進められるようにするため、読みました。最も印象的だったのは「21世紀のバリューを作るのは何が価値なのか判断できる、つまり磨き上げたJQを持っている人。重要なのは、自分だけが本当に生み出せる価値は何か考え続けること。」です。

    ◾️所感
    上記を実践に移し、新たな場所で新たな学びを継続していくことでこそ、新結合・異結合が生めるのだと思います。一歩踏み出し、学び、次に生かせるかどうかが重要であって、IQやEQの重要性は相対的に下がっていると感じました。

  • 経営コンサルの『本質』はクライアントが解決したい問題の奥にある別の『真犯人』に迫って潰すことにある、と言う。

    ここで名探偵として名高いマッキンゼーとボスコンが登場する。その2社に居た筆者によると、最初に答えを示すマッキンゼーは、犯人を追い込んでいく刑事コロンボ。相手に答えを気づかせるボスコン流は、謎解きを読者と共に導く名探偵ポアロに例えるのが面白い。

    定期的に『問題解決』系の本を手に取るので何も考えなしに読んだが、2社の対比という切り口は興味深かった。

  • 単なるフレームワークの解説でなく、それを今の時代にどう活用するとよいかという視点で書かれており、事例もあるため読みやすく、興味深い。
    フレームワークは知っているだけでは意味がないがこれらの活用を意識しつつ使うと新たな視点で問題解決ができる可能性もある。

  • 私はコンサルタントではありませんが,コンサルタントがよく用いるであろうフレームワークの良し悪しについて,分かりやすく書かれています.また,定番と思っていたフレームワークが,実はあまり使われていないと言うようなことも書かれており,とても参考になります.タイトル通りの良書です.

  • 【総論】
    部下をもち指導することが多くなったことで体系的な問題解決手法の知識が必要となり、本書を手に取った。著者がマッキンゼー、ボスコンで合計20年のキャリアがあることもあり、問題解決の基本となるWhy-What-Howやフレームワーク、2軸展開の手法がわかりやすく纏められていることに加え、CSV(Creating Shared Value)等の最新の経営戦略に触れることができ、気づきの多い良書であった。また、コンサルをやっていると戦略の領域に近づけば近づくほど「3つのバランス」を唱える方に会うことが多かったが、本書を読んで納得できた。戦略を扱う人種は意識・無意識にかかわらずwin-winを見つけ出すシステム思考で全体最適を考え意思決定を行っているのかもしれない。

    【気づき】
    ■問題解決は「Why not yet」がキモ
    著者曰く、問題解決は下記の順で論理展開を行う

    ①何が問題か(What)
    ②なぜ、それが問題なのか(Why)
    ③なぜまだそれができていないのか(Why not yet)
    ④それができるようになるためには、どうすればいいか(How)

    ・この中でも③が特に重要でありストーリーでいう「さび」にあたる。なぜ本来やるべきことができないのか?これこそが問題の本質となり、そこが見えるとそこに対するHowが答えになる。
    ・定義された「問題」は成長の機会に昇華されることも忘れてはならない。短期的な問題はとりあえず解決するにせよ、そこからヒントを得て、次の成長のネタを見つけることのほうが課題設定として重要となる。
    ・問題の本質、解決する答えもすべて自分の中にある。すなわち、「正しい答え」を見つけるのではなく、自分らしい答えを見つけることが重要。
    ・危機と機会は表裏一体のため、それをどう生かすかの答えは自分たち自身の中にある。その会社の癖、会社らしさに併せてゴールに導くことが本筋。
    ・何をもって問題解決とするかは時間軸の置き方によって全く異なる、結果、何にフォーカスするかが異なる。

    ■MECEはダブりOK
    ・ダブる部分にこそ、新しい発見がある

    ■マトリックスパワー(2軸の取り方)
    ・最もダメな軸の取り方は、同じ動きをする軸や相互に影響しあっている軸をとってしまうこと。
    ・X軸は手段、Y軸はその目的を示す。また、軸をとる際には2つの異なる概念を別の軸上に捉えなおすことで二律背反だと考えられた2つのポジションを両立させる可能性がでてくる。
    ・例えば、品質とコストは長い目でみると決してトレードオフの関係ではない。時間軸の概念を入れると、短期的にはコストが利益を食う可能性があるが、一方で将来的な大きな利益を生む可能性もある。

    ■7Sフレームワーク
    ・ストラテジー(戦略)、ストラクチャー(組織構造)、システム(仕組み)【ハードS】
    ・スタッフ(陣容)、スキル(能力)、スタイル(行動様式)、シェアードバリュー(価値観)【ソフトS】
    ・ハードSが手段、ソフトSが目的
    ・システムが変わることでスタイルが変わり、結果、スキルやスタッフが違うところで蓄積され、それらを通じて中核となるシェアードバリュー(価値観)が変わってく。
    ・人が動く大きな動機は3つ。達成感、危機感、使命感。
    ・お金さえあればだれでも持てるようなものは組織の力ではない。外から誰でも持ってこられるようなコモディティ化したものは内在化する必要がない。

    ■共通価値の創造
    ・今後、企業は社会課題に主体的に取り組むことで、社会価値と経済価値を高い次元で実現する企業活動を狙うべき。それをCSV(Creating Shared Value)と呼ぶ。
    ・また最近のESG議論ではマルチ・ステークホルダとの関係を考えることが推奨される。E(環境)、S(社会)、G(組織統治プロセス)。3つのバランスをとることで株価を最大化できる。

    ■経済のトレンド
    ・事業投資の対象が、所有と消費から、共有と循環への経済そのものが大きくシフトしている。

    ■システムダイナミクス(複雑系科学)
    ・本来、複雑に絡み合っているのがシステムであり、その関係の複合性、多重性をあるがままに考察しようとするのが「システム思考」
    ・どちらかをとる(or)でなく、両方をとる(and)ことが構成要素全体がwin-winになるような形を目指すということ
    ・要素分解ではなく統合に向かうという発想は、日本や東洋の循環思想に通じる。いろいろな要素がかかわり合いながら、全体としてバランスを保っているという考え。

    ■働き方改革(自己成長)
    ・インパクトがあって自分らしい能力が生かせるものを優先させる
    ・独自性があるからといって自前だけで全部やりきらないで他力を活用することも大切。
    ・チームメンバーを育て、自分でなくてもできる状態を作る。
    ・逆に自らの独自性が発揮できない業務は、外部の知恵を徹底的に使い倒す。
    ・このようなレバレッジの発想が仕事量の効果的なスリム化につながる。
    ・自分でしかできないところは磨きをかけつつ、それを再現性のプロセスに落とし込む。その結果、標準化、共有化が進んでいく。
    ・業務を外に委託する際にも、自社との業務フローを統合するためには、IFの標準化が求められる。
    ・①業務の重要度の見極め、②自分固有の業務かどうかの判断、③業務フローの標準化。これら3つを行うことで優先度の高い業務量を絞り込むことが可能となる。

  • 『#コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』

    ほぼ日書評 Day733

    Day720の著者が10年前に書いた本。
    近著の方は、正直ピンと来なかったが、本書の前半部分は、いわゆるフレームワークの基礎を確認しつつ、その限界を探るという観点では意味のある内容。(評者もその類だが)G...ビジネススクール等に通って、その気になってしまった向きには、自己を戒める意味で読む価値があるだろう(ただ、著者のポーター嫌いは筋金入りなので、多少割り引きながら読む必要はありそうだが)。

    また第二部冒頭の、大前研一氏のクリエイティブさを支える思考法と具体的なHowは大変興味深い(もしかすると他でも色々紹介されている内容かもしれないが、筆者が直接大前氏に "仕えた" 時代の話はライブ感がある)。

    とはいえ、著者の悪いところが出る(別の書評でも同じ意見を見かけた)後半は、正直、蛇足である。

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著者プロフィール

一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)客員教授
東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。三菱商事の機械(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。マッキンゼーのディレクターとして、約20年間、コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。2010年一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)教授、20年より現職。

「2021年 『稲盛と永守 京都発カリスマ経営の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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