健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 (BuzzFeed Japan Book)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
4.16
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本棚登録 : 275
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799322093

感想・レビュー・書評

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  • 結局は、自分の直感や違和感を信じるしかないと思った。コーヒー浣腸や胎盤を食べるという健康法。私はこれに違和感を感じる。ただ、否定はしない。科学的なエビデンスも大事だが、現時点でエビデンスがなく非科学的であっても効く場合はあるからだ。要は自分が何を信じるか。そして身体にプラスになっていることを実感できるか。これにつきる。(KindleUnlimitedで読了)

  • BuzzFeed Japanの医療部門コーナーで記者をやっている朽木誠一郎さんが書いた一冊。
    あやしい医療情報に対して丹念に取材を行い、その怪しさをひもといたり、そういう情報への精査の仕方も書いています。

    医療デマがなくなるように、と書き始めた本ですが、その難しさや背景も後半で語っています。
    正しさを伝えるだけでは、どうにもならないという難しさ、悩みも伝わり、考えさせられる部分もあります。

    途中、出版業界においての健康本問題にもメスを入れています。
    その途中で、出てくる本に関わる人たち(匿名が多かったけど)の悩みやつらさも、構造的な問題から出てきていることもあった。
    また、そうしたことが表現の自由という正しそうな言葉でかぶしているが、国際人権規約から引いて”国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護の目的においては、表現の自由が制限される”という話も書かれており、情報発信(おもに出版に関して)に関わる立場としてもいろいろと考えないといけないと読み終えたあとに考えた一冊でした。

    • だいさん
      読んだ
      著者が、ネットの仕組み?世界?と、メディアをよく知っているので説得力がある、と思った。
      読んだ
      著者が、ネットの仕組み?世界?と、メディアをよく知っているので説得力がある、と思った。
      2018/06/10
  • ☆本書のメッセージ
    正しい医療情報を選択できる社会を作る

    ●読んだきっかけ
    audiobookのセールに惹かれて

    ●本の概要
    医療ジャーナリストである著者が、今日のメディアにおける誤った医療情報の氾濫について叙述。この問題を食い止めることの難しさについても述べながら、どのように医療情報と付き合っていけばいいかを語る

    ●本の面白かった点、学びになった点

    *「ヘルスケア大学」を運営している、リッチメディア最低やん...。就活してたときに目立ってたけど、、やっぱ儲かって、自社が成長していくことにしか興味がない会社ってあるもんなんだな

    *大学の研究教育で誤った情報の選択は防げるだろう
    ・著者は正しい情報を選択するための手法について様々書いているが、多くは大学の研究・レポート教育で行われることと一致する
    ・少なくとも、大学での研究教育が一般国民まで浸透すれば、防げるかもしれないが..
    ・誤った医療情報を信じ込むのは、そういったリテラシーがもともと低い層が多いため、なかなかに難しいかもしれない
    *医療情報は、真摯に伝えようとすると、伝わりづらくなる。医療において絶対は存在しないため、明確に言い切ること、シンプルに表すことが難しい
    →そういったところをついて、都合のいい、過度にシンプルな医療情報が人々の間で流行してしまう
    *「健康になりたい」「痩せたい」「病気を治したい」そうした人々の根源的な欲求に付け込んで、金もうけをたくらむ企業は少なくない。エビデンスの弱い

    *「絶対的」な証拠、というものは存在しない。したがって、情報の信頼性は、複数の観点から測るようにする。発信者、掲載媒体、引用があるか、記述の論理性など..

    *医療情報の問題は、ネットメディアだけにとどまった話ではない。出版業界にも同じことがあてはまる
    ・売れることを優先し、過激なタイトルを付けた「健康本」が量産されてしまっている

    *動物実験の信頼性は、かなり低い

    *ネットの情報は、TwitterやSNSによっての自浄作用が働いた。出版業界はそれと比べてどうなのか?

    ●具体的なアクション&学んだことをどう活かすか
    *陳腐なアフィリエイトメディアはできるだけ読まない。あてにしない
    *過激で経済合理性に訴える本、甘い文言のタイトルな本は買わない
    *情報の信頼性は、常に複数のエビデンスをもとに測るようにする

  • WELQ問題の後、Googleが検索機能を大幅更新したのはエライと思う。本にあるように、ネットでは膨大な偽情報があふれているが、自浄作用がはたらいているのは救い。「リテラシーをみがけ」と説教するだけではない点が優しさを感じる。

  • 「デマで騙される人をゼロにしたい」というのは非現実的かと思うし、医学部出身の筆者とは医学の知識量も違えば医療に対する見方も違う。けれど、自分がこの種の問題を考える上では大いに刺激があった。

    リテラシーを高めるということについて、筆者は懐疑的だ。だがメディアリテラシーというよりは科学や医学の基本的な考え方すら習得していない日本人が多いので、ここを改善できれば悪質なデマの流通は大幅に減るのではないだろうか。

  • 見返し
    健康や医療についてのウソや不正確な情報に騙されていない人なんてたぶんいません。

  • 情報を「疑う」「調べる」「比べる」ことは容易なことではない。だから、ジャーナリストいる。

    メディア、行政、企業が暴走しないように「相互監視」が必要。誤報・デマなどの「通報」をしやすくする。

  • 健康問題に関心がある、医療従事者ではない一般の人が、ネット検索するときに嘘の情報が前に出てくると(その情報を鵜呑みにして病院の標準治療を拒否して)最悪命にかかわるので、ネットから信頼できない(エビデンスのない)情報を排除しようと活動している、医学部卒業されている人の書いた本
    ネットを見ながら出てくる広告は個人ごとに違うので、違和感があれば通報してほしいとのこと。そしたらこの方が調べて対策してくれるそうです。

  • 文字通り、氾濫するメディアでの医療情報についての正しい取り扱い方を指南した一冊。

    他の情報と異なり、医療情報は知識の非対称性(多くの一般人は医療知識にたけてない)があり、騙されやすいから、単に自分で調べるだけでなく、医師やセカンドオピニオンなどを通じて気を付けなければならない、ということを改めて感じた。

  • 「医療情報の5W2H」は参考になる

    本書は、BuzzFeed Japanで医療記者として活躍する朽木誠一郎氏が、WEQL問題を始めとするネットメディアや健康本における医療デマを紹介しつつ、医療情報との付き合い方について説明している本です。
    題材に上げている医療デマについても具体的で説明もわかり易く、信頼性のもてる内容だと思いました。
    一部、重要度があまりにも違う健康食品とがん治療・ワクチンが混在している点で訴求力が弱まっている点が残念。

    【医療情報の5W2H】
    著者が医療情報を判断するときの着目点
    著者は「WHAT(何を)」「WHO(誰が)」「WHERE(どこで)」「WHEN(いつ)」「HOW MUCH(いくら)」「WHY(なぜ)」「HOW(どのように)」の順で確認している
    ・WHAT(何を)
     「すぐに」「らくに」「だけで」などの禁止ワードを含まないこと、強いエビデンスがあること、因果関係があること
    ・WHO(誰が)
     発信者の名前、プロフィール、資格、所属、実績
    ・WHERE(どこで)
     発信媒体(SNS、専門誌、週刊誌など)
    ・WHEN(いつ)
     発表時期(医学は日進月歩で発展している)
    ・HOW MUCH(いくら)
     標準医療が一番エビデンスが高い。「先端」「高度」「先進」が必ずしも有効性が証明されているものではない。
    ・WHY(なぜ)
     その情報が「なぜ」発信されたのか
    ・HOW(どのように)
     危険を煽るような伝え方をしている情報には注意が必要

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著者プロフィール

1986年生まれ、茨城県出身。朝日新聞withnews副編集長・同医療記者。群馬大学医学部医学科卒。2014年メディア運営企業に入社、有限会社ノオトを経て2017年にネットの報道機関へ。医療報道部門の立ち上げに従事し、「医療記者」としての活動を開始。2019年に朝日新聞社に転職、2020年3月より現職。著書に『健康を食い物にするメディアたち』(ディスカヴァー携書)がある。

「2023年 『健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本 1日3秒から始める、挫折しない20日間プログラム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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