内側から見る 創価学会と公明党 (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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本棚登録 : 70
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799322017

作品紹介・あらすじ

社会学の新鋭にして創価学会員の著者が、緻密な資料分析をもとに解き明かす!

感想・レビュー・書評

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  • バリバリの学会員が客観的かつ自嘲的に書く創価学会と公明党における"宗教と政治の関係"の自己解釈本。かなりのハイコンテキスト。全体を読んで思うことは、創価学会とは"選挙"を教義と聖戦としている宗教なのだな、ということ。これはある意味でとても現代的集団だと思える。うーん、すごい。ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。

  • 著者の浅山太一氏(1983年~)は、関西創価学園高校、創価大学出身の生粋の創価学会員で、書店員を経て、現在は出版社に勤務しながら、創価学会をめぐる社会学を研究している。
    著者は、①社会にとって、政権与党に参画するまで巨大な影響力をもつ創価学会という集団の組織原理や内部事情がブラックボックスになっていることはリスクである、②創価学会にとって、議論が(学会の)内と外で閉じていることは好ましくない、という問題意識に基づいて、社会と学会の双方が創価学会と公明党というテーマをともに論じるための足場を構築することを目指して本書を書いたという。
    宗教団体の内部の人間の著書というと、その団体の全てを肯定し、外部の人間からはなかなか受け入れ難いものか、何らかの理由で脱会したことにより、その団体を極めて否定的に語ったものが大半だが、本書は、「生れた時からずっと。たぶんこれからも」創価学会員であると語る著者が、学会への批判的な眼を失わずに語ったものであり、さほど構えることなく素直に読み進めることができる。
    著者の考察は概ね以下である。
    ◆創価学会は、1950年以降、急激な工業化を背景にした農村から都市への人口移動により急増し、村落共同体からも企業別組合からも疎外された都市下層住民たちを取り込み、「新しい村」として機能した。しかし、70年代に社会が安定化すると、企業と核家族に彼らを吸収され、会員数は伸び悩んだ。
    ◆一枚岩と思われがちな創価学会という組織にあって、公明党支援という活動については様々な見解が併存している。創価学会の公式メディア上では、公明党支援を信仰活動として描くことについては極めて慎重な配慮がなされている。
    ◆「聖教新聞」は広宣流布(法華経の教えを広く宣べて流布すること。創価学会の教義のひとつ)の指導者である池田大作から会員への日々の激励の手紙であり、「聖教新聞」に掲載されたものは、池田大作の公認を得たものとして会員には受容される。
    ◆第二代会長・戸田城聖が推進した政治進出の目的は、国立の戒壇(僧になることを時の権力者から公式に認めてもらう場所)を建立するために、国会での過半数の議決を取ることであり、よって政党を結成する必要はなく、会員の政治的自由にも干渉することはなかった。
    ◆その後の政治参加は、全ての社会事象の根底には宗教があるという観念(=宗教還元主義)に基づく、日蓮仏法という唯一の正しい宗教を唯一保持した創価学会という自分たちによる世界変革運動における、政治領域における展開といえる。
    ◆現在の与党化した公明党の支援の内的論理は、創価学会の意思はすなわち仏の意思であり(=創価学会仏)、学会員は存在するだけで周囲を平和にすることができ(=存在論的平和主義)、公明党は池田大作によって作られた日蓮仏法をもとにした政党であるのだから(=宗教政党への回帰)、たとえ軍事介入政策を容認したとしてもそれは苦悩の末の判断であるから武力行使ではなく(=知恵の原理)、そうした同士を信用できないメンバーは本当の味方ではなく(=仏法優先原理)、もし現在の組織の決定と過去の三代会長の著作の内容が異なるのであれば真実の弟子が時代に合わせて文章自体を変更することができる(=弟子の聖筆論)、とまとめられる。
    学会外部の人間にとっては、歴史を深掘りした部分などやや重たい内容もあるものの、創価学会の組織原理・歴史を知る上では有用な一冊ではないだろうか。
    (2017年12月了)

  • 他教を邪教と批難していたからか、公明党が与党となってから民主党支持となった宗教があることを、融和政策となった今の創価学会と与党の公明党はどうとらえているのだろうか?と、信者でもない人間は思う。

  • 公明党は、創価学会のフロントである。
    「フロント」とは、暴力団のような反社会的組織が、世間と接点を持つために合法的収益事業の企業をオモテに出すことを言う。
    民音、創価学園、第三文明社、芸術部、大鳳会…
    つまり、創価学会が、「あらゆる宗教は邪教である、人を幸福にする力を持たない(人生の目的は幸福である)」という過激な教義を持つ宗教団体であり、信仰心のあまり反社会的行為を敢えてすることもあり得るという懸念に対抗して普通の

  • オイラ自身は信者ではない、嫁さんの友達に信者さんがいて選挙前には電話があるらしい、とは言えたまに会っても別に勧誘とかはされないらしい、店頭にいた頃には「新刊が出たら買ってくれる幸福の科学と並ぶ」上得意様、知らん土地を車で走ってて「何この立派な建物?あっ、そうか」ってくらい、要するに何も知らない。
    そういう人からすると「人間革命」は読む気しないし、かといってヘイト本もどうかとも思うし。ちょうどいい本。厳正中立なんて世の中どこにもないやろうけど、信者かつ狂信的でないってのはかなり良い立ち位置かと。いちおう信仰はしつつも懐疑的、良い意味でおちょくるようなところもあって読みやすいし、入門書としてはかなり良いかと。
    ただなぁ、どう売るんやろ?新書としては版元が弱いし、人間革命の隣にあっても違和感あるし、政治の棚なのかな?まぁ岩波、中公ではせっかくのPOPさが消されそうやし、+αではヘイト本になりそうやけど。新潮、文春あたりから出てればもっとあちこちの書店で売れたような。直取引、かつこの版元の得意分野でもなさそうなところが惜しいなぁ。

  • 東2法経図・開架 188.9A/A89u//K

  • 創価学会ものは全面肯定と全面否定の両極端な中で、批判精神と悪ふざけの心を持つ学会員の著者が社会学的に整理をしながらも、大胆に大づかみでまとめていく好著。今の創価学会は指導層がかなりフリーな状況にあるが、この資源を活かして何をしたいのだろうか、していくのだろうか。

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