心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

  • すばる舎
4.00
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本棚登録 : 2008
感想 : 188
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799107218

作品紹介・あらすじ

89歳の精神科医・中村恒子。今なお現役で働き続けるのは、「患者さんに求められている」から。
彼女の生き方は、「たんたん」に尽きる。余計な力が入っておらず、それでいて愛にあふれ、出会った人すべてを元気にしてくれる不思議な言葉の力を持っている。
そんな中村氏の生き方を、同じく精神科医の奥田弘美氏が書き下ろし(聞き書き)。「人生100年時代」と言われるなかで、生き急ぐことなく、力強く、自分らしさを失わずにいるにはどうすれば良いのか。やさしい語り口(関西弁)で教えてくれる本です。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医の奥田弘美さんが、88歳現役の精神科医中村恒子さんの語りを聞き書きされた本書は、中村さんの語りそのままを筆記してあるので、言葉もほんわかすっと心に届く

    88年波乱万丈の人生を歩んでこられた方の言葉だけに、重みがある。それでいて、押し付けがましくなく、とことん優しい

    中村さんが生きていく上で支えとした考え方は、『人は、一人である』ということ。自分は結局一人だと開き直っていくと、他人に必要以上に執着しなくなってくるという

    だから、かえってしてもらったことに対してちょっとだけしたことにも感謝できるようになるという

    職場の仲間たちとも、一定の距離感を保っていて気持ちよい
    実に、凛として清々しい

    *歳をとってきたら、己を知って「もっともっと」を一つずつ捨てていくとラクになる

    *あきらめるというのは、自分の生き方をハッキリさせてやること、自分で納得していくこと

    *最近の傾向として、嫌なこと辛いことがあったら、すぐに「どうすべきか」の結論を見つけようとする人が多い。何でも極端になりがちで、自分のほしい答えを求めている

    *「こうあらねばならない」と思いすぎると、それが頑固さ偏屈さになって、柔軟性を失う
    柔軟性を失うと、自分の辛さが増してくる

    *先のことを心配しても誰にも分からない
    目の前のことがおろそかになっていないか、それだけを気にかける
    今日一日生きていくことだけを考える

    「折り合いをつける」という言葉、何だか自分の主義主張を曲げて、妥協するというあんまりいいイメージがなかったが、とても優しい言葉だなと思った
    みんなが自分を主張するばかりなら、ぶつかり合い、傷付け合い、疲弊してしまう

    これから老いていく上で、とても大切なことだと知らされた

  • 人生不思議なのはどの学校でも職場でも合わない人は必ず出てくる事。

    挑戦しても逃げても、どこに行っても一緒なんやなぁ。

    けど、だからって合わない人全員を変えようなんて絶対に無理。

    変えれたとしたら才能です。

    そんな事より自分がどう動けば快適になるか考えた方が圧倒的にコスパが良い。

  • 出版当時89歳の現役精神科医 中村恒子さんの口述を後輩精神科医である奥田弘美さんさんが1冊にまとめ上げたもの。

    「折り合い」
    私も日頃大切にしている言葉だが、艱難辛苦と共に年齢を重ねてこられた中村さんもこの言葉を強調されている。

    「こうありたい」「こうであらねば」という理想像と、現実の自分の状態や感情の乖離。
    他人と上手くやれない不甲斐なさ。

    私たちは誰しも日頃からこうした悩みに苛まれ、ある時は優越感により自分の価値を確認し、またある時は他者に承認評価されることで心の空虚を満たそうとする。

    足りない。もっともっと良くならなければ。
    皆はもっとちゃんとしている。
    頭の中でこうした思い込みが自分自身を雁字搦めにしているのかみしれない。

    自分自身と折り合う。
    他者と折り合う。
    自分の本当の充足や心地よさwell-beingを求めることに軸足を置くこと(他者からの承認や他者への優越感ではなくて)。
    大事だなあ。

    「ぼっち」とか「孤立」に完全なネガティブの意味合いを持たせる雰囲気があるけれど、一人を愉しめることは大事だと常日頃思う。

    さらにいうならば、他者への「共感」「肯定」「同調」が「イイ人」の大前提という雰囲気が強すぎると感じている。
    それが友達や家族、親の役目という妄信。
    テレビのバラエティ番組のひな壇は典型的。
    皆で和気あいあい、自虐や多少の突っ込みを入れながら、「◯◯ファミリー」的な笑。

    子どもが幼い頃の子育て期は別として、相手が大切な存在であればあるほどに、「適切な距離」が必要という中村さんの考えに大賛成。

    他者への没入は危険。相手を支配したくなるからなあ。
    最近世に出回る表現「感動させる」「勇気と感動を与える」なんて傲慢の極みの表現だと思うのだけれど。(「感動をありがとう」という表現にも違和感至極。「感動した」でいいのに。)

    中村さんご自身のご実家との複雑な関係や、ご主人のアルコールの問題等、様々な困難を抱えながら、ご自身をも大切にし年齢を重ねて、発せられる言葉は含蓄に富む。
    映像化もいいかも。

  • 90歳近くになってもなお現役で精神科医の仕事をされている、中村恒子先生の著書。恥ずかしながらわたしはこの先生のことを存じ上げていなかったが、戦後の混乱期に女医になり、多くの苦労をされながらも強くしなやかに生き抜いて来られた方。自身の人生経験に加え、精神科医としてたくさんの生きづらさを抱えた患者さんに接して来られた方の仰ることはどれも重みと説得力があり、ためになった。

    全体を通して感じたことは、他人に過度な期待を抱かず、こうであるべきと縛らず、自分の人生に責任を持ち、自分らしく生きることが大事だということ。人は一人で生まれ、一人で死んでいく孤独なものであることを忘れないということ。仕事も人間関係も淡白に、来るもの拒まず、去る者追わずの姿勢で取り組む。世の中の名声などという無駄なものに拘らず、一隅を照らせれば十分で、足るを知ること。変に周りを気にしたりせず、自然体で生きていれば、自然と目の前にその時必要なものが現れ、人生は進んでいくということを教えられた気がした。

    実際はその時々の状況で気持ちに余裕が持てない時もあるが、「死ぬこと以外擦り傷」という感じで、良い意味で気楽に柔軟にやっていけば十分なのだと再確認でき、少し気が楽になった。

  • 著者は89歳、現役精神科医師として活躍されている中村恒子さんです。
    言葉に重みと説得力があり、すっと心に入ってきました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい

  • 89歳の現役女性精神科医の言葉集。今の自分に刺さる言葉が溢れるように多くて、メモがぎっしり。

    どんな自己啓発本よりも、スッと心に落ち、頑張りすぎていたことに気づき、幸せであることに気づく。

    家庭の分野に関しては、親になった時にもう一度読み返したい。


    「ご飯が食べられて、そこそこの生活さえできたら上出来。さらに、自分の仕事で目の前の人が喜んでくれたらもうけもんです。」

    「人は一人で生きていくもの。各々に意志があり、人生がある。
    情は執着の証。自分は結局一人なんやと開き直っていくと、他人さんに対して必要以上に執着しなくなっていきます」


    「何かをしてくれることはあたりまえではないと考えて生活できると、ちょっとしたことにも感謝できるようになる」

    「実際、人が人を注意したり、怒ったりするときなんていうのは、だいたい身勝手なもんなんです。」

    「元気でいられる時間は限られているんやから、過去のために使ったらあきません。」

    「「ちょっと無理かなあ、どうしようかなあ?」と思うとき、判断する大事なポイントは自分が健康で元気でいるかでしょう」

  • 解決策が書いてあるわけではないです。
    母親に相談している時より、
    おばあちゃんに相談している時の感覚で読んでいました。
    歳の近い先輩からのアドバイスより、歳の離れた先輩のアドバイスが沁みる、あの感じ。
    身近にいるからこその細かいアドバイス、というより、
    全体の、ほわっとした、生きてきたから、いろんな経験をしてきたから言えるアドバイスでした。

  • 人生に迷った時、悩んだ時に読んで欲しい。
    仕事しかり、人生しかり、頑張らなきゃって思いがち。
    ぼちぼちいこう。
    もっと肩の力を抜いて。

  • 書かれていることのほとんどにうなずけます。
    けれど、若い頃には考えられなかったことです。
    歳を重ねたからこそ このように考えることが出来るようになったのではないかと自分なりに思っています。

    「お金のために働く」でええやない。
    今となってはホントそう思います。やりたい仕事、好きな仕事が出来る人ってそうそういないだろうと思っていて 自分の人生、充実させるために必要なお金のために働く!でいいんじゃないかと思っています。

    「自分がどうしたら快適に過ごせるか」にエネルギーを使う。
    日々、穏やかに過ごすために出来ることをやろうと思っています。イライラするのは嫌なので 避けて通ったりしています。それでいいんじゃない?

    家庭の平和が、何においてもいちばん。それさえ守れれば、あとはぼちぼちで。
    ホント、家庭が平和だと心も穏やかになれます。
    子育て中は大変でしたが 今はわりと好きなことをさせてもらってのんびり過ごせていると思います。
    旦那さんに感謝♪

    孤独死、大いに結構。死に方をあれこれ心配してもしょうがない。
    私も今のところ、孤独死でもいいんじゃない?と考えてる方です。
    大勢でいるより1人で過ごす時間の方が好きだし、自分には大切な時間。

    人間関係の秘訣は、「距離感」に尽きる。
    この人といると楽だなぁと思える人と一緒にいたいです。そうじゃない人とは一定の距離感で...!

    若い頃はいろいろ考え過ぎて悩んでましたが 歳とともにだんだん考えるのもめんどくさい、まぁいっかぁ...って思ったり...
    と言っても 悩んだりしてますけど...人間なんだから悩むのはしかたないですよね...

  • あったかい毛布みたいな一冊。子育て中のパパママにもぜひ読んでほしい。思っている以上にがんばりすぎているから。メインで出てくる恒子先生は89歳の現役精神科医。いくら医師でも89歳で現役で(しかも雇われで)仕事をするってそうそうできません。定年になって「やっと解放された!」と思う人がいたり「FIRE」を目指すための本が出版される中で、「うまいこと」やれなければ高齢になってもなお雇われて働くことって難しいと思います。
    もちろん恒子先生も、順風満帆にいったわけではなく、色々あるのですが、みんなから頼りにされて今に至る。とても素敵な人生だと思いました。

    ■自分はこんな仕事をすべき人間ではない
    そんなことを感じたことはないでしょうか?こう考えてしまうと気を張ってしまいストレスになるようです。お金は持っていても「不安」でクリニックを訪れる人も多いそう。これは少し意外でした。お金があれば大抵のことは解決できると思っていたからです。「目の前の人のために役立てれば」そういう気持ちがうまくやるこつの一つのようです。

    ■幸せでなければいけない と思わないほうが幸せ
    章のタイトルに驚きました。なぜなら、不幸せより幸せの方がいいと思うからです。本書でも鋭く指摘されていますが、その「幸せ」って他の人と比べて決める人が多いのではないでしょうか。いつも頭の中にいる考え、「こうあらねばならない、これが普通」。それは荷物みないなものと恒子先生は言います。つまりストレスでしかないのです。
    ではどうするか。己にとってのほどほどを知り、「あきらめる」とのこと。などなど、この章は長く有りませんが何回も読み返したい充実した内容となっています。

    ■関西地方に縁がある方は一層暖かくなれるはず
    本書は話し言葉が関西弁です。そのため、恒子おばあちゃんから人生ラクに過ごせる方法をゆったりとお話してもらっている感覚になります。
    もちろん恒子先生は精神科医なので治療から感じたことも含まれており、とても納得感がありました。まさに年の功。もちろん、他の自己啓発本でも同じような内容の章もあります。が、関西弁で語られる本ってそうそうない気がします。「涙した」という感想がちらほらあるのも、きっと他の本より親近感が湧いたからでは?と思いました。

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